持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、カラフルなドーナツ型のデザインが特徴のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)。2015年9月の国連サミットで採択されてから、まもなく8年を迎える。SDGs達成のための中長期的な国家戦略である「SDGs実施指針」の改定が予定されているほか、自治体や民間企業がSDGsに関する資金調達のために発行する「SDGs債」も2022年度は過去最高を記録するなど、目標である2030年までの折り返しの年である2023年において、SDGs達成に向けた取り組みが加速している。

そこで、帝国データバンクは現在のSDGsに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2023年6月調査とともに行った。

<調査結果(要旨)>

  1. SDGsに積極的な企業は53.6%と、前年より拡大 

  2. 規模別では中小企業が初の5割超え 業界別では『金融』がトップ

  3. 現在力を入れている項目は「働きがいも経済成長も」がトップ

  4. 今後最も力を入れたい項目も「働きがいも経済成長も」がトップ

  5. 取り組みによる効果を実感した企業は69.2%、「企業イメージの向上」がトップ

※調査期間は2023年6月19日~30日、調査対象は全国2万7,771社で、有効回答企業数は1万1,105社(回答率40.0%)。SDGsに関する調査は、今回で4回目

※調査機関:株式会社帝国データバンク

※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している

SDGsに積極的な企業は53.6%に拡大、実際に取り組んでいる企業も27.4%に

自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて尋ねたところ、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は27.4%となり、前回調査(2022年6月)より3.8ポイント増加した。また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は26.2%で2.4ポイント減少した。合計すると『SDGsに積極的』な企業は1.4ポイント増の53.6%となり、SDGsの達成に向けた取り組みに対する意識は前年より拡大、5割を超える企業が前向きな姿勢を示す結果となった。

その一方で、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」は34.6%、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」は7.2%となった。合計すると、SDGsを認知しつつも取り組んでいない企業は41.8%となり、前年(42.7%)より0.9ポイント減少、『SDGsに積極的』な企業を10ポイント以上下回る結果となった。

なお、2020年の調査から減少し続けてきた「言葉も知らない」は0.5%、「分からない」は4.1%となり、SDGsというワードが社会に浸透した様子がみてとれる。

規模別では中小企業で初の5割超え 業界別では『金融』がトップ

規模別にみると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.6%となり、全体(53.6%)を大幅に上回った。「中小企業」では50.4%、うち「小規模企業」では42.8%と、依然として企業規模間に格差はあるものの、「中小企業」は調査開始後初の5割超えとなり、規模の小さい企業でもSDGsに取り組む姿勢が高まってきている。また、SDGsに積極的な企業を業界別にみると、『金融』が72.0%で最も高かった。次いで、『農・林・水産』(64.8%)および『製造』(59.9%)が全体を上回った。

現在力を入れている項目は「働きがいも経済成長も」がトップ

2030年までに達成すべきSDGs17目標のなかで、現在力を入れている項目を尋ねたところ、働き方改革や労働者の能力向上などを含む「働きがいも経済成長も」が、32.8%で最も高かった(複数回答、以下同)。

次いで、再生可能エネルギーの利用などを含む「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(25.0%)、リサイクル活動などを含む「つくる責任つかう責任」(24.1%)、カーボンニュートラル製品開発などを含む「気候変動に具体的な対策を」(22.6%)が続いた。

総じて、いずれかのSDGs目標に力を入れている企業は71.9%となり、本調査でSDGsに「取り組んでいない」「理解していない」「言葉も知らない」と回答した企業でも、実際はSDGsに取り組んでいる企業があるという結果も示された。

今後最も力を入れたい項目も「働きがいも経済成長も」がトップ

SDGsの17目標のうち、今後最も取り組みたい項目について尋ねたところ、現在最も力を入れている項目と同様に「働きがいも経済成長も」が12.1%でトップ、全項目のなかで唯一1割を超えた。次いで、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(8.1%)や、「気候変動に具体的な対策を」(7.2%)が上位に並んだ。

企業の約7割がSDGsへの取り組みによる効果を実感、「企業イメージの向上」がトップ

現在SDGs各目標に力を入れている企業にSDGsへの取り組みによる効果を尋ねたところ、『効果を実感』している企業の割合は前回調査(66.5%)から2.7ポイント増の69.2%だった。

なかでも、「企業イメージの向上」が38.1%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「従業員のモチベーションの向上」(32.9%)も3割台で続いた。以下、「経営方針等の明確化」(18.1%)、「採用活動におけるプラスの効果」(15.8%)が続いた。また、「売り上げの増加」が12.7%、SDGsをビジネスチャンスとして捉え「新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発」につながった企業が8.7%あり、社会課題の解決と企業の成長は両立できることを示した事例がでている。

本調査の結果、SDGsの意味等を理解し、取り組んでいる企業は前回調査から3.8ポイント増の27.4%となった。取り組みたい企業と合計するとSDGsに積極的な企業は53.6%で、なかでも中小企業での割合は調査開始後初めて5割を超えた。また、「SDGsという切り口で考えていなかったが、今回の調査の項目を見て実際に取り組んでいることがいくつもあることに気がついた」(紙類・文具・書籍卸売)というように、SDGsを意識せずにSDGsに該当する取り組みを行っている企業もあり、実際に取り組んでいる企業の割合はさらに高いとも考えられる。

SDGsに取り組む企業の約7割が取り組みの効果を実感していることが分かった。「企業イメージの向上」が4割近くでトップとなり、「従業員のモチベーションの向上」など非財務面での企業価値の向上に関する効果が上位に並んでいた。また、「売り上げの増加」や新商品開発等につながった企業もあり、SDGsへの取り組みは社会課題の解決への貢献だけでなく、企業価値の向上やビジネスチャンスの獲得、ひいては業績の改善にも結びつくようだ。

一方で、特に中小企業からは“どのように対応すれば良いかわからない”や“人材面・費用面での余裕がない”といった声が依然として多く聞かれた。しかし、SDGsへの取り組みには、「ペーパーレス化」や「ワーク・ライフ・バランスの推進」などといった、多額の費用や新たな人材を投入せずに推進できるものもあり、気軽にできることから始めてみるとよいではないだろうか。また、官民が一体となって、実際の取り組み事例などの情報発信の強化に加え、費用が発生する取り組みに対して補助金制度など公的支援によるサポートが望まれる。

配信元企業:株式会社帝国データバンク

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