どんなに暑い日でも、広い海の水温は外気温よりも低いから海水浴が楽しめるはずなのだが、それが人間の平熱を超え、ぬるめのお風呂とかジャグジーの温度になってしまったというから驚きだ。
フロリダ州南部の海岸では、7月24日、海水温が摂氏38.3度となり、観測史上最高温度を記録した。
その影響で、フロリダ沖にあるサンゴ礁「ソンブレロ・リーフ」が全滅という残念な事態になってしまったという。
【画像】 フロリダ南部の海水が、ぬるめのお風呂かジャグジー並みの温度に
日本でも猛暑が続いているが、世界各地から2023年の夏の異常な暑さが伝えられている。
米アリゾナ州では、転んだだけで大火傷を負うほどアスファルトが熱くなっているというニュースをお伝えしたが、フロリダ州では海水温がなんとぬるめのお風呂かジャグジー並みの温度となった。
フロリダ半島南東の先端、マイアミの南西約60kmにあるマナティ湾の水深1.5mに設置されたブイで計測したところ、およそ4時間にわたり約37.8度を上回り、ピークだった午後6時には38.38度に達したという。
世界最高水温となる可能性
気象学者のジェフ・マスターズ氏の解説によると、海面水温の公式な世界記録はないが、学術論文に記載されたものとしてこれまでの最高は、クウェート湾の37.6度であるという。
今回のフロリダ沖の記録はこれを塗り替え、新世界記録になる可能性がある。
ただし、これは有効な記録とはみなされないかもしれない。というのも、計測地点が陸に近く、そこから流れてきたものの影響を受けていないと断言できないからだ。
実際にガレキなどがないことを証明する写真がない限り、今回の記録が有効なものであると証明するのは難しいのだそうだ。
サンゴ礁に壊滅的なダメージ
海水温の上昇は、サンゴ礁やそこで暮らしている海の生き物にとっては命取りとなる。
このニュースの数日前には、非営利団体コーラル・レストレーション・ファンデーション(CRF)から、フロリダ南部にあるサンゴ礁が壊滅的な被害を受けたと発表があった。
CRFのチームは、10年以上にわたり「ソンブレロ・リーフ」の回復に取り組んできたが、残念ながらここのサンゴの100%が死んでしまったという。
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さまざまな形や色鮮やかさが目を楽しませてくれるサンゴ礁だが、ただそれだけでなく、多種多様な海の生物が育まれている場所でもある。
アメリカ海洋大気庁によれば、海の生物の25%がサンゴ礁やその周辺に生息しており、その生物多様性は熱帯雨林に匹敵するのだそうだ。
海水温の上昇は人間も無関係ではない。巨大な台風や異常な雨を増加させ、洪水のリスクを高めるからだ。
また、サンゴが死滅すれば、そこに築かれた生態系も破壊され、魚介類などの海産物を得ることができなくなり、食料供給を絶たれることになる。
References:Water Temperatures Off Florida Coast Soar Above 100 Degrees, Possibly Setting A World Record : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
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