水族館や動物園で出合えるカワウソ。特に人気のコツメカワウソは、約60センチから90センチほどの体長で、カワウソの中では最も体が小さい種類。大人でも小さくて愛らしいが、その赤ちゃんが誕生したとのニュースを聞き、「そんなのかわいくないはずがない!」ということで、さっそく会いに行ってみた。

【写真】「お昼寝姿がかわいすぎるコツメカワウソ」など。赤ちゃんもやっぱりかわいかった!

■2023年5月に誕生!名前は「れん」と「つくし

今回お邪魔したのは、日本を代表する人気水族館「鳥羽水族館」(三重県鳥羽市)。約1200種類もの海や川の生き物が世界中から集められており、飼育種類数は日本一を誇る。日本で唯一飼育されているジュゴンをはじめ、ラッコやイロワケイルカなど、貴重な生き物に出合える日本最大級の水族館だ。そんな鳥羽水族館で、2023年5月23日と24日に、コツメカワウソの赤ちゃん2頭が誕生した。

つぶらな瞳がなんともかわいらしいコツメカワウソの赤ちゃん。5月23日にオスが、24日にメスが誕生した。母親は「キワ」、父親は「アサヒ」。2頭の名前は飼育員たちで相談した結果、オスは父親のアサヒから「朝日を浴びて美しい花を咲かせる睡蓮の花」にちなんで「れん」に。メスは「すくすく育つように」という願いを込めて「つくし」と名付けられた。

「れん」は体重79グラム、「つくし」は体重93グラム、体長は2頭とも約13センチで生まれた。それぞれ健康な状態で誕生したものの、母親からの安定した授乳が確認できなかったことから、飼育員による人工哺育に切り替え。懸命な育児により、2頭の体重は7月中旬時点で400グラムにまで成長した。

保育器の中でじゃれ合い、元気な様子を見せてくれた「れん」と「つくし」。ミルクの時間になると我先にと保育器から飛び出そうとして、互いを押し合う姿もまた愛らしい。「キューキュー!」と鳥のような鳴き声でアピールしながら哺乳瓶をくわえると、ゴクゴクと勢いよくミルクを飲むコツメカワウソの赤ちゃん。すくすくと大きくなったのも納得のスピードだ。最初は「早くちょうだい!」と言わんばかりに手足をバタつかせていたが、お腹が膨れてくるとすっかり落ち着いてミルクを飲み干していた。

■「れん」と「つくし」、きょうだいそろって一般公開スタート!

順調に成長して、ミルクのほかにもアジやシシャモなど、魚の切り身も食べられるようになった2頭。2023年7月24日より、ついに一般公開をスタートした。展示場所はほかのコツメカワウソも見られる館内Lゾーン「水の回廊」の、セイウチ水槽横のスペース。しばらくの間は保育器の中で生活するが、徐々に水に慣らしたり、泳ぐ練習をしたりするそうだ。

コツメカワウソはその名前の通り、爪が小さいことが特徴の1つだが、赤ちゃんの間はまだ爪が大きい。体毛は大人に比べると柔らかく、徐々に外側の毛が硬くなっていくという。

現在、鳥羽水族館では赤ちゃん2頭を含む8頭のコツメカワウソを飼育中。展示スペースには名前と一緒に、見分け方や性格の特徴なども掲示している。Lゾーン「水の回廊」で大人と赤ちゃんのコツメカワウソが見られるので、それぞれの違いにも注目してみてはいかがだろうか?

取材・文=民田瑞歩/撮影=古川寛二

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2023年5月に誕生したコツメカワウソの赤ちゃん「れん」(左)と「つくし」(右)/写真提供:鳥羽水族館 / (C)TOBA AQUARIUM