28日、オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)グループD第2節のイングランド女子代表vsデンマーク女子代表がシドニーフットボール・スタジアムで行われ、イングランドが1-0で勝利を収めた。

母国開催となった昨年の欧州選手権で初優勝を成し遂げ、ヨーロッパ女王として今大会に臨むイングランド。第1節ではW杯初出場の格下・ハイチ女子代表に1-0の辛勝となったが、しっかり勝ち点「3」を積み上げて今回の一戦を迎えた。

対するデンマークは4大会ぶりのW杯ながらも第1節でアジアの強豪・中国女子代表を1-0と撃破。終了間際の90分にFWアマリー・ヴァンスガードが決勝点を叩き込み、最高のスタートを切った。グループステージ突破に向け、イングランドから勝ち点「1」は確保しておきたいところだ。

ところが、地力に勝るイングランドが立ち上がりからポゼッションで圧倒し、6分にいきなり先制。ボックス手前で横パスを受けたチェルシー所属のFWローレン・ジェームズがコースを突いた丁寧かつ強烈な右足シュートをゴール右隅へ叩き込んだ。

イングランドは先制後もボールを握り続け、完全なるハーフコートゲームに。良い距離感でパスを回し、デンマークにプレスをかける余地を一切与えず、機を見た最終ライン背後への飛び出しやボールロスト後の即時奪回も光る。

ここまで防戦一方のデンマークはファーストアタッキングで決定機を逃す。24分、ピッチ中央でのインターセプトから素早く前進し、FWリッケ・マドセンがゴールエリア右から右足シュートを放つも、わずかにゴール左へ外してしまう。

それでも、デンマークはこれをキッカケにカウンターに活路を見出す。28分、昨シーズンまでチェルシーに所属していたキャプテン、FWペルニール・ハルダーが自陣深い位置でのボール奪取から左サイドをドリブルで独走し、最後はカットインから右足シュート。同点弾とはならずも選手たちに勇気を与える。

そんななかでイングランドアクシデント。38分、攻守の要であり、昨夏に女子サッカー史上最高額でマンチェスター・シティからバルセロナへと移籍し、世界最高の選手の1人と称されるMFキーラ・ウォルシュがピッチに足をとられ、負傷交代を余儀なくされた。交代後に松葉杖をついている様子が確認されたウォルシュは軽傷ではないと思われる。

イングランドの1点リードで迎えた後半、ポゼッションをイングランドが支配し、デンマークがカウンターを狙うという構図は前半と変わらずも、両チームとも決定機を迎えるには至らず、時計の針だけが進んでいく。

序盤の猛攻を1失点で耐え凌いだデンマークは前半途中からある程度ボールを回せるようになっているが、中国戦でCKから1点をもぎとったチームは崩しのアイデアが乏しく、カウンターにしか得点の気配を感じない。最初の選手交代として71分、中国戦でゴールのヴァンスガードを投入して打開を図る。

試合終盤の87分、そのヴァンスガードに決定機。左サイドからのクロスに対し、DFの視界の外から走り込んでドンピシャヘッドを放つも、惜しくも右ポストを直撃する。デンマークはこの試合最大の決定機をモノにできず。

結局、後半は最後までどちらもネットを揺らせず、ジェームズの1点を守り抜いたイングランドが1-0でデンマークを撃破。グループステージ2連勝とし、決勝トーナメント進出に大きく前進した。

この一戦の終了後、グループD第2節のもう1試合、中国女子代表がハインドマーシュ・スタジアム(アデレード)でハイチ女子代表と対戦し、1-0の勝利を収めた。

アジア女王の中国は立ち上がりからペースを掴むも29分、背番号「10」を背負うMFチャン・ルイが危険なアフタータックルイエローカードを提示され、VARオンフィールドレビューの結果、判定はレッドカードに変更。前半で数的不利に陥る。

後半に入るとハイチに押し込まれる時間が増えるも、中国は74分にPKを獲得し、キッカーのMFワン・シュアンがこれを沈めて決勝点。虎の子の1点を守り抜き、1-0の勝利となった。

この結果、イングランドの決勝トーナメント進出は確定せず、グループDは第2節を終えた段階で、首位が勝ち点「6」のイングランド、2位が「3」のデンマーク、3位が同勝ち点の中国、4位が「0」のハイチ。最終節は来月1日の中国vsイングランド、ハイチvsデンマークという対戦カードになっている。

イングランド女子代表 1-0 デンマーク女子代表
イングランド
ローレン・ジェームズ(前6)

中国女子代表 1-0 ハイチ女子代表
【中国】
ワン・シュアン(後29)