現在はセットアッパーとしてチームに貢献している山崎(C)CoCoKARAnext

ハマの大魔神」と称され、NPB歴代3位となる252セーブの記録を持つ佐々木主浩氏と、同4位となるNPB通算243セーブを記録した藤川球児氏が、6月下旬に更新されたYouTubeチャンネル「名球会チャンネル」に出演。

 共に現役時代クローザーとして活躍し、数々の記録を打ち立てた2人が、クローザーとしての心構えについて語った。

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 2人が話題に挙げたのが、共にチームの守護神として開幕からマウンドを託された広島栗林良吏投手と、DeNA山崎康晃投手だ。

 栗林はプロ入りから2年連続30セーブ以上をマークし、2021年には新人王を獲得するなど、絶対的守護神として9回のマウンドに上がってきた。

 だが、プロ3年目を迎えた今年は開幕前の故障による調整遅れや怪我の影響もあり、開幕直後から本来の力を発揮できずにセーブ失敗が続いた。

 その結果、一時は配置転換を余儀なくされたが、最近は再び9回のマウンドに上がっている。

 一方の山﨑もプロ入りから2年連続で30セーブ以上をマーク。ルーキーイヤーには9試合連続セーブ、月間10セーブ、シーズン37セーブなどの新人記録を打ち立てるなどし、2015年に新人王を獲得したほか、2018年、2019年には2年連続セーブ王を獲得するなど球界を代表するクローザーの一人。

 しかし、その山﨑も、前半戦終盤にはセーブシチュエーションで失点する場面が続き、既にキャリアワーストの6敗を喫している。前半戦終了間近には、三浦大輔監督よりセットアッパーへの降格が告げられた。

 共に実績のあるリリーバーだが、開幕から続いた不調の要因について、長年数々の修羅場を経験してきた藤川氏は、その心構えを踏まえ、

「気持ちが引いているんですよね。気持ちがあの空間で戦いをさせてもらえていない。『逃げ切りたい』と思ってしまっているんですよね」とコメント。

 その上で、

「『逃げ切りたい』というのはベンチや周りがいうことであって、我々ピッチャーは逃げ切ろうとはしていない。攻めているんですよね」

 と、気持ちの問題が大きく関わっていると指摘した。

 この言葉には佐々木氏も同調。「ちょっとでも弱気な気持ちが出た瞬間にやられてしまう」というように、9回を締める投手はよほどの強い気持ちでマウンドに上がる必要があるとした。

 その気持ちゆえに一度打たれてしまうと、ズルズルと引きずってしまいがちだと話し、それをいかに引きずらないようにするかというところが抑えピッチャーの難しいところだとした。

 さらに両氏はクローザー論を展開。ともに直球とフォークというコンビネーションで数々の試合を抑えてきたが、自身の生命線に関して「俺はまっすぐ」(佐々木氏)と直球のキレにあくまで重きを置いてきたとした。藤川球児氏もかつて「フォークボールの神様」と呼ばれ、今年6月に亡くなった杉下茂氏から「フォークなんか信用したらダメだっておっしゃっていたので」と教えを受けたとして、「まっすぐがあるから(フォークが)効くんですよね」と同意する場面もあった。

 いずれにせよ9回のマウンドに上がる守護神にはマウンド度胸含め、様々な要素が求められる。勝負の後半戦、僅差のゲームを制するには「絶対守護神」の存在が必須とあって、各球団の起用にも引き続き、注目が集まりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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