愛するペットの死は、家族全員にとってとても辛いことだ。特に小さな子供にとって、死を理解するのは難しい。
「命あるものは必ず終わりが来る」ということを、ペットが最初に教えてくれるケースもあるだろう。だが、やはり別れは辛いものだ。
イギリスに住む5歳の少女は、大好きな飼い猫を失ったとき、心にぽっかりと穴が開いてしまった。
親友だった猫に会いたいけど、もう会えない。ママは天国で元気に暮らしているというけど本当かしら?天国で寂しくしてないかな?
そう思った少女は、自分が生まれた時から一緒に過ごし、先立っていった猫に手紙を書いて郵便ポストに投函した。すると、天国の猫から返事が届いたのだ。驚いたのは母親の方だった。
そこには、心やさしい郵便配達員の思いやりがあったのだ。
イギリス・サリー州ウォルトン・オン・テムズに住むネヴァちゃん(5歳)は、大好きな飼い猫のタンタンが虹の橋のたもとへ行ってしまったとき、とても悲しんだ。
タンタンは天国に行ったというけれど、ひとりぼっちでさみしい思いをしているんじゃないかしら。元気でいるのかな?
ネヴァちゃんは心配がとまらなくなった。そこで、タンタンに手紙を書いて、タンタンから直接聞いてみようと思った。
そして、ネヴァちゃんは元気だったころのタンタンと一緒に写った写真を同封して、手紙と一緒に封筒に入れた。
天国のタンタンにも、自分と同じように写真を持っていてもらいたいと伝えたかったのだ。
娘から「天国にいるタンタンに手紙を送りたい」と聞かされた母親のタマラさん(26)は、「天国はここから遠すぎるから、手紙を送ることはできないかもしれないよ」と話した。
だが、ネヴァちゃんはどうしても手紙を出したいというので、母親はそれに応じ、天国のタンタン宛てに郵便ポストに投函した。
ネヴァが生まれた時にはすでにタンタンがいて、常に娘を見守ってくれていました。娘とタンタンは本当に強い絆で結ばれていて、いつも一緒にいました。
娘が手紙を送りたいといったとき、返事が来るはずないことがわかっていたので、娘を余計悲しませてしまうと思い躊躇しましたが、ネヴァがそれで納得するならと、一緒に手紙を出しに行きました。
手紙を出すという行為は、娘がタンタンとの別れを理解し、新たに前に進むための大切なステップなのだと思ったのです。
タンタンからの返事が届いてびっくり!ぬいぐるみと絵本も同封
タンタン宛てに天国に手紙を投函したその1週間後、信じられないことが起こった。
タンタンからネヴァちゃん宛てに小包が届いたのだ。中には手紙とタンタンににた小さなぬいぐるみと絵本が入っていた。
手紙には、このように綴られてあった。
しんゆうのネヴァちゃんへ
おてがみとすてきなしゃしんをおくってくれて、ほんとうにありがとう。
とってもうれしかったよ。いま、しゃしんはてんごくのぼくのフワフワのベッドのよこにかざってあるよ。
ぼくはだいじょうぶ。げんきだよ。
てんごくで、すてきなともだちができたんだ。そのうちのティブルズというねこは、ぼくたちがひるねをしているときに、とってもおおきないびきをかくんだ。
ぼくたちは、てんしたちにちゃんとめんどうをみてもらっているよ。
ネヴァが、ぼくともういっしょにいられないことを、かなしんでいるのはしっているよ。
でも、どうかかなしまないで。
ぼくにちょっぴりにているちいさなぬいぐるみのねこをいっしょにおくるからね。
もしかなしくなったりさみしくなったりしたら、ぼくをだっこしてくれたように、こんどはこのねこをだっこしてあげて。
もし、ぼくにどうしてもあいたくなったら、よるのそらをみあげて、いちばんあかるいほしをさがしてみて。
ぼくは、いつでもネヴァのそばにいるよ。えいえんのこころのとも、タンタンより。
天国への猫の手紙を見た郵便局員の心やさしい配慮だった
心がほんわかと温かくなるこのタンタンからの手紙とぬいぐるみ、絵本。
実はこれ、投函された切手のない、天国の猫にあてた手紙を見た、イギリスの郵便局「ロイヤルメール」の郵便配達員が送ってくれたものだった。
タンタンのことを思って綴られたネヴァちゃんの手紙を読んで、感動した郵便配達員は、タンタンの視点でネヴァちゃんに返事を書くことを決心した。
それだけでなく、今後ネヴァちゃんがさみしがったときに、話し相手になれる小さな猫のぬいぐるみと絵本も贈ってくれたのだ。
郵便配達員のこの思いやりあふれる行為は、ネヴァちゃんがタンタンの死を受け入れ、前向きに生きていくために、まさに必要なものだった。
感動したタマラさんは、このように話している。
返事がくるなんて、私たちがまったく期待していなかったことでした。
手紙を書いて私たちに送ってくれたロイヤルメールと郵便配達員に本当に感謝しています。ぬいぐるみまで送っていただいて、娘はとても喜んでいました。
実は、タマラさんはこのサプライズをしてくれた郵便配達員をSNSを介して追跡してみたという。
だが、誰か判明したものの、彼と直接話す機会は得られなかったが、代わりに郵便配達員の妻と話をすることができたそうだ。
彼らも猫を飼っているので、ネヴァの気持ちがとてもよくわかると言っていました。
彼がしてくれたことは、ほんとうに娘の助けになりました。
郵便局員の思いやりがネヴァちゃんの心の大きな救いになる
タマラさんによると、タンタンは今年初めに心不全を起こし、回復が絶望的となり、安楽死の処置を余儀なくされたという。
以来ネヴァちゃんは、タンタンを失ったショックが大きすぎて、夜もなかなか眠ることができなくなってしまった。
ネヴァちゃんは天国にいったタンタンが元気でいるのかどうか、不安でたまらなかったのだ。
タンタンからの返事が届いてからは、娘はとても元気になりました。
タンタンが天国で元気にしているとわかったので、娘は喪失感を乗り越えて、少しずつ前に向くことができるようになっています。
娘は、「タンタンはひとりでも大丈夫」「今でもそばで見守ってくれている」ということを知りたかったのでしょう。
今では、娘は毎晩顔を上げて、天国のタンタンにおやすみと言い、タンタンが自分に同じように言い返してくれていると思っています。
そうすることによって、安心して眠りにつくことができるみたいです。(タマラさん)
猫を飼い、猫が好きな郵便配達員がネヴァちゃんの手紙を最初に回収したのは偶然なのか、それとも必然だったのだろうか。
切手のない天国の猫にあてた手紙は彼を感動させ、タンタンになりかわり、ネヴァちゃんに手紙を書くことを思い付いた。
そのやさしさが、飼い猫との別離に心を痛めていた小さな女の子の心の大きな救いになった。
タンタンは、これからもネヴァちゃんをずっと見守り続けてくれることだろう。
そしてタンタンは、虹の橋のたもとで、きっとネヴァちゃんがいつの日が会いに来てくれるのを、ずっと待っていてくれるだろう。
References:Kind-hearted postman writes back to little girl who sent letter to her cat in 'heaven'/ written by Scarlet / edited by parumo
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