埼玉・千葉県境の江戸川に架かる新しい橋「三郷流山橋」の工事が佳境を迎えています。新たな有料道路は、渋滞が激しい既存橋の単なる迂回に留まらない“新たな東西軸”となる見込みです。料金の詳細も明らかになっています。

半年遅れの「三郷流山橋」工事は佳境

埼玉県三郷市千葉県流山市を隔てる江戸川に、新しい橋「三郷流山橋」が建設中です。2023年春の開通が約半年、延期されましたが、7月現在、工事はまさに佳境を迎えています。

江戸川をまたぐ橋のうち、JR武蔵野線三郷駅付近と、流山市街地に通じる既存の「流山橋」はは、とりわけ慢性的に激しい渋滞が発生しています。時間帯によっては400mの橋を渡るのに1時間以上かかるともいわれるほど。その流山橋から2.5km北側に設けられるのが三郷流山橋です。

三郷流山橋は埼玉県道路公社の有料道路として建設されます。2018年度の事業化から5年の短期間で建設を済ませられるのも、有料道路事業として工事発注の制限を小さくできるからこそ。2023年7月現在は、道路上につくられる料金所の建屋や、管理事務所も姿を現わしてきています。

通行料金は軽自動車で100円、普通車で150円、最も高い特大車で410円となります。一旦停止が必要ですがETCも利用可能なほか、各種キャッシュレス決済も利用できるといいます。

なお、バイクは原付含め、軽自動車と同じ100円。このほか自転車などの軽車両も20円が設定されています(徒歩は無料)。自転車は歩道を通行し、附属の料金箱に料金を納めるとのこと。埼玉県道路公社によると「自転車も車両ということで、料金を負担いただきます」といい、同公社がさいたま市で管理する新見沼大橋有料道路と同様だということです。

全く別の“東西軸”を形成

流山橋から2.5kmも北に位置する三郷流山橋は、流山橋に並行する混雑緩和のための迂回路というより、全く別の県境をまたぐ“東西軸”を形成することになります。

三郷流山橋の取り付け部の埼玉県側は、常磐道 三郷料金所スマートIC付近の県道に接続します。そこから細い道を通ることにはなるものの、流山や三郷の既存市街地を経由することなく、新三郷の「コストコ」「ららぽーと」といった超大型の商業施設へ直接抜けられます。

なお、現時点でも流山橋の渋滞を迂回するため、常磐道を三郷料金所スマートICから流山ICまで1区間だけ利用する方法もありますが、こちらは普通車250円かかります。三郷流山橋は単に100円安いというだけでなく、常磐道とルートを二重化する効果もあるでしょう。

そして三郷流山橋の千葉側は、つくばエクスプレス(TX)沿いの一般道「都市軸道路」に直結。流山おおたかの森、柏の葉キャンパスなど発展著しいTX沿線を通って国道16号までつながっています。これらTX沿いの新しい街から、流山・三郷の旧市街を経由することなく、新三郷や吉川、越谷レイクタウンといったJR武蔵野線沿線をつなぎます。

ただし、三郷流山橋は暫定2車線です。4車線分の用地は確保されているものの、橋桁は2本のうち1本のみで開通します。埼玉側の接続道路やその周辺も、古くからの2車線の県道です。

一方の千葉側。橋の取付部から流山警察署前後の都市軸道路も、現在は暫定2車線で、拡幅工事が行われています。県柏土木事務所によると、この部分の拡幅は三郷流山橋の開通よりも遅れる見込み。また、流山おおたかの森から柏の葉の間の暫定2車線区間も拡幅が行われているものの、開通時期は見通せていないそうです。国道16号まで4車線でスイスイとはいかず、一部ボトルネック区間が生じる模様です。

三郷流山橋の渡河部(画像:埼玉県道路公社)。