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(写真:時事通信

「すべてが順調だったわけではなかったんです。視聴者のみんなを不安や悲しい気持ちにさせてしまっていたとも思います」

7月27日、5人組YouTuber・コムドットが総合プロデュースしたイベント「Creator Dream Fes~produced by Com.~」が東京ドームで開催された。各メディアによると、イベント終了後の取材会でリーダー・やまと(25)は冒頭のように振り返ったという。

’18年10月にグループを結成し、’19年12月に年内目標のYouTubeチャンネル登録者数10万人を達成。勢いが加速するなか、’20年12月にやまとツイートした《全YouTuberに告ぐ コムドットが通るから道をあけろ 俺らが日本を獲る》との“宣戦布告”は注目を集めることに。昨年12月27日には念願の400万人を突破し、生配信中にやまとが号泣する一幕もあった。

だがイベント直前の今月21日に、登録者数が400万人を下回ってしまったのだ。現在は 393万人(28日19時現在)。減少傾向にあるのは、今回のイベントをめぐる騒動も一因だったようだ。

「6月に2人組女性YouTuber・平成フラミンゴとの間で起こった、出演トラブルが露呈したのです。最終的に平成フラミンゴは出演を見送り、責任の所在が判然としないまま騒動は収束。その間にやまとさんが、《保身に走ったツケは必ず回ってくるぞ》と“意味深ツイート”したことも物議を醸しました。コムドットは騒動を説明する動画も出しましたが、“平成フラミンゴを責めている”と落胆したファンも少なくなかったようです」(WEBメディア記者)

コムドットが登録者数400万人を下回った背景

果たして、トラブルだけが登録者数減少の原因なのだろうか?

「なかなか見えづらいとは思いますが、まずひとつの原因として、チャンネル登録していた400万人のなかでも“推し”が変わってしまった人がいるのではないでしょうか。例えばTikTokで新しい“推し”を見つけたなど、コムドットが一番ではなくなった人たちが登録を外したのではないかと思います」

こう語るのは、ITジャーナリストのおんp/氏。イベントのトラブル以前に、動画を視聴するプラットフォームが分散している影響が考えられるという。次にイベントをめぐるトラブルについて、井上氏はYouTubeの“変化”を指摘する。

「テレビのワイドショーでは、暴力や金銭、異性間のトラブルなどの話題に視聴者から批判的な声が集まります。それと同じように、YouTuberの非常識な言動にもYouTubeを視聴するユーザーから厳しい視線が注がれやすくなっているのです。例えばカップルYouTuberでも破局すると急に人気が落ちたり、新しい相手と活動再開させても再生回数が伸びなかったり。やはり男女間のトラブルは、嫌われる傾向にあると思います」(井上氏)

そのため、コムドットのトラブルもある種の“異性間トラブル”に映った可能性があるという。

「真相がよくわからないからこそ、“女性2人が雑に扱われてしまった”という見られ方をしてしまったのではないでしょうか。彼らの女性に対する高圧的な扱い方を見て、不快感から登録を外されてしまった可能性もあります。今の時代、一歩間違えればDVと捉えられかねない言動は致命傷になる傾向にあります」(井上氏)

ではいったん下がってしまった登録者数を、回復させるのは難しいだろうか? 井上氏は「なかなか難しくなってきていると思います」と言及した上で、こう推察する。

「実際にフォロワー数が頭打ちになっていたり、それなりにフォロワー数を抱えているのに動画の再生数が伸びていなかったりするYouTuberは目立つ傾向にあります。YouTubeは動画配信の圧倒的なプラットフォームでしたが、多様なサービスの出現によって状況が変化してしまったことが大きいと思います」(井上氏)

■人気YouTuberたちのなかでもコムドットは“勝ち組

“YouTubeの凋落”については、昨年12月にラファエルがゲスト出演したYouTube動画のなかで収益の激減を告白。ラファエルと親交があるシバター(37)も、「FLASH」のインタビューで「2017年あたりが一番視聴回数がよかったかもしれないです」と語っていた。

とはいえ苦境に立たされている人気YouTuberたちとは異なり、井上氏はコムドットを“勝ち組”だと見る。

シバターさんが話していたように“1番良かった”とされる’17年の1年後に活動をスタートさせ、あっという間に人気YouTuberの仲間入りを果たしました。登録者数は減ってしまいましたが、コムドットに冷めてしまったというファンはさほどいないのではないでしょうか。26日にプレミア公開されたコムドットの動画を私も見ていましたが、同時視聴で約3万人も集まっていました。同時視聴で3万人という数字は大きいと思います。そういう意味では、底堅いと言えるでしょう」

つまり、コムドットにはコアなファン層がいるようだ。井上氏は彼らにアドバイスを送りつつ、こう評価する。

「400万という登録者数にこだわらず、もっと壮大な目標を掲げ、確実についてきてくれるファンを楽しませて逃さないようにする方がプラスに働くのではないでしょうか。そのなかで、やまとさんの“オラオラ感”が好きなファンも一定数いると思います。

コムドットには上昇志向や高い自己肯定感がありますが、それを求めているファンもいるでしょう。『コムドットが頑張っているから私も頑張れる』という風に。“成功するまでやり続けたら失敗ではない”というのは、ある種の生き様だと思います。共感する人は少なからずいますし、コムドットの持ち味だと思います。個人的にもそうしたスタンスはあった方がいいと思います」

いっぽうで“地元ノリを全国ノリに”をスローガンに掲げるコムドットは、今年4月から冠番組『コムドットって何?』(フジテレビ系)がレギュラー化するなど地上波にも進出。22日~23日にかけて放送された『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)では、やまとゆうた(24)が「100kmサバイバルマラソン」に挑戦。しかし2人とも完走することはかなわず、やまとのアンチに向けた“強気発言”も波紋を呼んでしまった。

コムドットとテレビの相性についても、井上氏はこう指摘する。

「幅広い層が視聴するテレビのように、全方位に向けて活動を広げるのは控えたほうが良いのかもしれません。確かにテレビ出演できるようになったのは、400万人達成の実績があったからだとは思います。しかし彼らの“地元ノリ”は、テレビの視聴者に必ずしもウケるとは限りません。やまとさんの“オラオラ感”が誤解を受ける可能性もあるでしょう」

その上で、テレビとは一線を画すことをこう勧める。

「やはり芸能人といっしょに“プロの土俵”に上がってしまうと、素人ならではという良さが埋もれてしまいます。テレビ側のルールに則らなければなりませんし、そうなると自分たちのやり方を変えなければならないことも出てきます。出演するにしても企画を選ぶなど、自分たちの個性を活かせるよう戦略的になったほうが良いのかもしれません」

「日本を獲る」日まで、コムドットの挑戦は続きそうだ。