これまで数々のスター俳優や、ほかの国にはない熱量を帯びた作品を多数生みだしてきた世界トップクラスの映画大国インド。複数の言語が入り混じり、それぞれで独自の映画文化を確立してきたインドで最大の産業規模を誇るヒンディー語映画の“ボリウッド”や、近年世界的な注目を集めるテルグ語映画の“トリウッド”に迫る勢いなのが、南インドのバンガロールを拠点としたカンナダ語映画の“サンダルウッド”だ。
【写真を見る】長髪＆髭面の主人公がマフィアたちをせん滅！S.S.ラージャマウリを魅了した壮絶アクションにインド全土が熱狂
その急先鋒ともいえるのが、南インドで数々の映画賞に輝いてきたスター俳優のヤシュと、長編デビュー作『Ugramm』(14)で脚光を浴びたプラシャーント・ニール監督がタッグを組んだ「K.G.F」シリーズ。あの『ＲＲＲ』(公開中)のS.S.ラージャマウリ監督をも魅了した本作は一体どんな映画なのか？これまで公開された動画と共に紹介していこう。
■スラム街で生まれたロッキーが、最強のマフィアへのし上がる！
シリーズ第1作『K.G.F: CHAPTER 1』は、スーリヤワルダンがコーラーラ近郊で金鉱“KGF”を発見するところから始まる。採金ビジネスに乗り出し巨万の富を築く一方、労働者たちは奴隷のように働かされて苦しい生活を強いられていた。同じ年にスラム街で生まれた少年は、唯一の身内である母を亡くし、生き残るためにマフィアの下で働き始める。ロッキーと名乗り、最強のマフィアへとのし上がっていく彼は、スーリヤワルダンの息子を暗殺する指令を受けることになる。
長髪で髭面のロッキーがマフィアたちを凄まじい破壊力で殲滅していく姿が、これまでの“サンダルウッド”のイメージを覆すと話題を呼び、インド全国で人気が爆発。2022年に続編の『K.G.F: CHAPTER 2』が公開されると、同じ年に公開された『ＲＲＲ』を上回り2022年のインド国内興収ナンバーワンの大ヒットを記録。実はラージャマウリ監督が本作の魅力にいち早く気が付き、全国公開を後押ししたというのだから驚きだ。
『CHAPTER2』ではKGFを支配下に置いたロッキーに、新たな敵勢が襲来する。新たな金鉱を発見し事業を拡大していったロッキーの前に現れたのは、スーリヤワルダンの弟アディーラ。KGF奪還を目論むアディーラはロッキーの恋人リナを人質にし、救出に向かったロッキーは撃たれて瀕死の重傷を負ってしまう。さらにアディーラは金輸出を妨害しKGFを孤立させ、ロッキーの同盟者たちを次々とせん滅。ロッキーは窮地へと追い込まれていくことに。
■公式から発信される動画が話題沸騰！主演を務めるヤシュの素顔も
第95回アカデミー賞で『ＲＲＲ』の主題歌「Naatu Naatu」が最優秀歌曲賞を受賞したことで、一段と注目度が増しているのが、インド映画には欠かすことのできない“音楽”だ。
『CHAPTER 1』の主題歌「Dheera Dheera」のMV映像では、少年時代のロッキーの壮絶な生い立ちから、やがて“最強のマフィア”として戦いに身を投じていくまでの軌跡が壮大な楽曲に乗せて描かれていく。激しい肉弾戦やチェイスシーンなど多勢を相手に大暴れを繰り広げるロッキーの姿が、彼の内面に迫る映像と共に映しだされていく。
また、主演のヤシュのコメントとセットになった本編映像では、『CHAPTER 1』でヒロインのリナと衝撃的な出会いを果たすシーンが切り取られている。レトロな音楽に乗せて踊り狂う人々の真ん中で佇むリナへと近付き、なんとも上から目線で愛を告げるロッキー。武器を手に襲いかかってくるリナの取り巻きたちを圧倒いまに一網打尽。ロッキーの強さを堪能できるシーンとなっている。
さらに作品公式ツイッターでは、鬼気迫る死闘がノンストップで繰り広げられる本編とは打って変わって笑顔にあふれた撮影現場のメイキング映像も公開され、そのギャップに大きな反響も。水のなかで刀剣を振る動きを再確認するロッキー役のヤシュ。このシーンがどこで登場するのかは、本編を観てのお楽しみだ。
本作の大ヒットがきっかけとなり、ニール監督は“トリウッド”に進出して「バーフバリ」シリーズのプラバース主演の『Salaar』を撮影中。さらに2024年の春からは『ＲＲＲ』のN.T.ラーマ・ラオ・Jr.の主演作でもメガホンをとり、その後に「K.G.F」シリーズの第3弾の制作が予定されているとも報じられている。
今後さらに世界を席巻し続けるであろうインド映画界を牽引していく作品との呼び声も高い『K.G.F: CHAPTER 1』&『K.G.F: CHAPTER 2』は、現在公開中。1作目と2作目を一気に劇場のスクリーンで味わえるこの機会に、“サンダルウッド”の底力とロッキー兄貴の生き様を目に焼き付よう！
文/久保田 和馬
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