勝負所で徹底的に歩かされ、避けられる大谷。しかし、そんな相手チームにエ軍同僚は理解を示している。(C)Getty Images

 ポストシーズン進出争いが激しさを増すメジャーリーグ。そのなかで「やはり」と言うべきか。大谷翔平エンゼルス)は勝負を避けられるようになってきた。

 現地7月30日に行われたブルージェイズ戦は、それが顕著に表れたと言っていい。「2番・指名打者」で先発した大谷は、5回の打席で1安打、1得点を記録。3対2の勝利に貢献したが、前日に続いて2度の申告敬遠で歩かされた。

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 好機では徹底的に勝負はされなかった。1度目は1点リードの4回2死二塁の局面で、そして2度目は同点で迎えた9回1死二塁。いずれもブルージェイズからすれば、OPS1.083、39本塁打を放っているスラッガーに対しての当然の策だった。

 米データ分析会社の『Codify Baseball』によれば、「大谷翔平は2014年以来、2試合連続で複数回にわたり意図的な四球を与えられた初めての選手となった」という。実に9年ぶりの出来事に無論、球場はホームチームへ「また勝負をしないのか」という騒然とした空気になった。

 通算762本塁打を放ったバリー・ボンズが2004年に120個の四球を叩き出したように、勝負を避けられるのは強打者にとって必然。ゆえにエンゼルスのチームメイトも勝負を避ける相手を責めはしない。

 ブルージェイズ戦後に地元局『Bally Sports West』の取材に応じたハンター・レンフローは、「ブルージェイズは必要なことをしただけだと思うよ。だって彼(大谷)は信じられないからね」と語った。

「ショウヘイと勝負するか、もしくは彼を避けてミッキー(モニアック)に対して投げるか。試合に勝つために、やらなきゃいけないことをするだけなんだよ。相手の気持ちはもちろん理解できる」

 このブルージェイズとの連戦初戦には大谷が初回に39号先制ソロアーチを放った際、相手のマット・チャップマンがジョシュ・シュナイダー監督へ「なぜ勝負したんだ?」「打てるのはアイツだけだろ」とベンチで苛立ちを爆発したシーンが取り沙汰された。

 それだけ大谷が警戒されているというわけだ。これについても、いわば“打てない”扱いをレンフローは「彼の発言も知っている。誰もが同じ意見だと思うよ」とチャップマンへの理解を示している。

 大谷が勝負を避けられる場面が続くであろうなかで、周囲がどこまで二刀流スターを援護できるか。ポストシーズン進出へエンゼルスにとって正念場の夏になりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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