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エアコン節電の最新常識は?(写真:PIXTA)

6月の電力使用分から、東京電力をはじめ、大手電力会社7社(北海道・東北・北陸・中国・四国・沖縄)が、電気料金の大幅な値上げを実施した。特に北陸電力は39.7%、沖縄電力は36.6%のアップ。値上げ率が低い東京電力でも15.3%の値上げで、電気代が家計を圧迫している。

「電気代が高騰し、エアコンの使用を控えるという人が7割もいます。けれど、この暑さで、エアコンを使わないのは、熱中症リスクも高まり、さらには命を危険にさらすことになります。私たちはすでに“亜熱帯地域”の夏を過ごしていると自覚したほうがいいです」

そう語るのは、節約アドバイザーの丸山晴美さんだ。

「とはいえ、エアコンの電気代は気になりますよね。夏場の電気代の割合はエアコンがダントツで多く、34.2%をしめています。皆さん、節約のため、さまざまな工夫をしていることと思います。しかし、よかれと思っている節約術が、逆に電気代が上がるNG行動かもしれません」(丸山さん・以下同)

■エアコン節電を勘違いしているかも

丸山さんが言うように、実は正しい節約方法を知っている人は少ない。先日、ダイキン工業が「エアコンの節電に関する実態調査」を発表。約6割の人が「エアコンの節電に何らかの誤解をしている」ことが判明したという。

「正しい方法で、エアコンの電気代を節約していきましょう」

丸山さんが、電気代が上がってしまうエアコン節電の誤りを7つ教えてくれた。

【NG1】風量はできるだけ「弱」

「エアコンの室内機と室外機には、熱を空気中から集めたり逃がしたりする『熱交換器』が入っています。風量を『弱』にすると熱交換器を通る空気の量が減り、熱を集めるのに時間がかかり、電気代が多くなってしまいます。そのため、風量は『自動』にしましょう。すると、効率よく熱を運び出してすばやく部屋を涼しくしてくれます」

【NG2】室外機をカバーで覆い、直射日光があたらないようにする

「室外機の周りに障害物があると、吸い込み口と吹き出し口が塞がれて、エアコンに負荷がかかり、無駄な電力消費になってしまいます」

【NG3】こまめにスイッチを切る

「エアコンの80%の電力を消費するのが“エアコンの心臓”とよばれる圧縮機(室外機)です。スイッチを入れた直後に、圧縮機は部屋を冷やそうと勢いよく運転し始めます。適温になると、力を弱めて安定運転を続けます。そのため、こまめにスイッチのオンとオフを繰り返すと、圧縮機への負荷が高まり、電力を多く消費します。日中の約30分の外出ならつけっぱなしのほうが節電になるのです」

【NG4】風向きは下向きに設定

「冷房中、冷気は床付近に、暖かい空気は天井付近へと上昇し『温度ムラ』が起こります。風向きが下だと温度ムラが起こりやすく、足元は冷えるのに体は暑いとつい設定温度も低くしがちです。風向きを水平にすることで、冷気が自然に下りて温度ムラを防ぎ、エアコンの風が体に直接当たる不快感も和らぎます」

■設定温度を上げると1度10%の節約に

【NG5】帰宅時は、窓を閉めたまま冷房をつける

「すぐに低い温度で冷房をつけるのではなく、帰宅したら、まず窓を開けましょう。風通しをよくして部屋の熱気を外に出してからエアコンをつけると、無駄な電力を使いません。熱気がなくなったら窓を閉め、設定温度をふだんより1度上げ風量は自動にしましょう」

設定温度を上げると、いくらくらいの節約になるのだろうか。電気代は、1時間あたりの消費電力(キロワット)×使用時間(時間)×料金単価(今回は主要電力会社10社平均の31円で試算)で求められる。1時間あたりの消費電力はエアコンによって異なるので、カタログや説明書を見て調べよう。

今回、丸山さんが1時間あたりの消費電力が500キロワットだった場合で試算してくれた。

「たとえば設定温度を27度から28度に1度上げると約10%の節約になり、ひと月の差額は961円ほどでした。また、窓を閉めた後に遮熱・遮光のカーテンを引いたり、断熱シートを窓に張ると部屋が冷えやすくなり、節約になります」

【NG6】エアコンのフィルターはシーズンごとに掃除する

フィルターがほこりなどで目詰まりすると、吸い込む空気量が減り、冷やすための電力がよけい必要になります。シーズンごとに1回の掃除では不十分。2週間に一度は、掃除をしましょう。ペットがいる家は、毛がほこりになりやすいので1週間に一度したほうがいいです。ダイキンの試算では、1年間掃除をしないと25%の電気代が余計にかかり、3年だと2倍になります」

【NG7】冷房より除湿

「電気代は弱冷房除湿、冷房、除湿の順で安いです」

弱冷房除湿モードがいいが、そういった機能がないエアコンの場合は、除湿ではなく冷房28度に設定しよう。

「除湿にするよりも、高めの温度で使う冷房のほうが節約できます」

以上の間違った節電法をやめ、正しい節約をすれば、1カ月で合計約14%、1345円の節約になる。

「設定温度を1度上げると10%の節約になる、ということだけでも覚えておくのがおすすめです。電気代高騰を乗りきりましょう」