元イタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォンが2日、自身の公式SNSを通して現役引退を発表した。

 ブッフォンは2022-23シーズンまでパルマカルチョに所属。同クラブとの契約は2024年6月30日まで残っていたものの、クラブ側がブッフォンの意思を尊重し、早期の契約解消で合意。2022-23シーズンでピッチに別れを告げることとなった。

 ブッフォン1978年1月28日生まれの現在45歳。パルマカルチョのユース出身で、1995-96シーズンのセリエA第10節ミラン戦で17歳にしてトップチームデビューを飾った。その後はパルマに欠かせない守護神に成長を遂げ、1998-99シーズンにはコッパ・イタリアUEFAカップ(現:ヨーロッパリーグ)のカップ戦2冠に貢献。2001年夏、当時のGK史上最高額の移籍金でユヴェントスに完全移籍した。

 ユヴェントスでは初年度からセリエA全試合に出場するなど、絶対的な正守護神に君臨。2001-02シーズンからの2連覇に大きく貢献した。“カルチョ・スキャンダル”の影響でセリエB降格を強いられた時期にはチームメイトの多くが退団を選んだが、アレッサンドロ・デル・ピエロらとともに残留を決意。クラブを1年でのセリエA復帰へ導いた。2011-12シーズンからは“黄金期”に突入したユヴェントスを最後尾から支え、セリエAの7連覇を経験。最終的には17シーズンもの間クラブの“顔”として活躍した。

 2018年夏にはパリ・サンジェルマンへ完全移籍。2018-19シーズンは公式戦25試合でゴールマウスを守ったものの、シーズン終了後にユヴェントスへ電撃復帰。イタリアに戻ってからはポーランド代表GKヴォイチェフ・シュチェスニーのバックアッパーという立場に甘んじたものの、コッパ・イタリアでは全試合でゴールマウスを守り、“ラストイヤー”となった2020-21シーズンは優勝に貢献した。

 2021年夏に古巣のパルマカルチョに加入。初年度からキャプテンマークを巻いてセリエB26試合に出場するなど、主力の1人としてゴールマウスを守った。2年目の2022-23シーズンは前半戦こそ負傷の影響で欠場した試合も少なくなかったが、最終的には19試合に出場。パルマカルチョの4位フィニッシュに貢献し、セリエA昇格まであとわずかのところまで迫ると、今夏にはサウジアラビアの複数クラブからのオファーも報じられていた。

 また、パルマカルチョ在籍時の1997年10月にはイタリア代表デビューも飾った。1999年からは負傷などのアクシデントを除いてほとんどの期間を正GKとして過ごし、FIFAワールドカップも5大会連続で出場。FIFAワールドカップドイツ2006では全試合でゴールマウスを守り、“アズーリ”(イタリア代表の愛称)を世界の頂点へ導いた。

 現役引退に際し、ブッフォンは自身のSNSにキャリアを振り返る動画と共に、イタリア語と英語で「みんな、ここまでだ。あなたは私にすべてを与えた。私はあなたにすべてを捧げた。私たちは一緒にやり遂げた」というメッセージを投稿。さらに、パルマカルチョも公式ウェブサイドで「今日から彼の新しい人生、新しい物語、新しい英雄譚が始まる。しかし、ジジの心の中には常にパルマがあり続けるだろう」と引退を発表し、ブッフォンのコメントを紹介している。

「特にこの30年近くに渡って私が示してきた一貫性を考えると、28年間の選手生活というのは、信じがたく、考えられないものだ。それこそが、スポーツにおけるキャリアを定義する最も重要な側面だと思っている。

「私は自分の情熱、献身、熱意、そして喜びを注いできたので、振り返ったときに「あっという間だった」と言えるだろう。そしてこの28年間は、サッカーにおける私の物語でもある。しかし同時に、私をサポートし、涙と愛を注いでくれた人たちの物語でもある。そして、この2年間、常にここをホームだと感じさせてくれたパルマパルマに住むすべての人々に感謝したい」

 セリエA通算657試合、イタリア代表通算176試合とどちらも最多出場記録を打ち立てただけでなく、ユヴェントスでは10度のスクデットを筆頭に合計22ものタイトルを勝ち獲ったブッフォン。個人としても2003年にUEFA年間最優秀選手賞、2017年にグラン・ガラ・デル・カルチョイタリアサッカー選手協会主催の表彰)の年間最優秀選手賞に輝くなど、世界のGK史にその名を刻んできた。そんなイタリアサッカー界が誇るレジェンドが、2022-23シーズン限りでピッチに別れを告げる。デビューから28年間にわたる現役生活の幕を降ろすこととなった。

【動画】キャリアを振り返る“スーパーマンブッフォンの投稿