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水素ネットワーク建設へ第一歩

英国で全国的な水素ステーション・ネットワークを構築する計画が、政府から800万ポンド(約14億5000万円)の助成金を得て、実現への第一歩を踏み出した。2024年に最初のステーションが稼働予定である。

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はじめに、英国の新興企業エレメント2(Element 2)が4か所の水素ステーションを建設し、HGV(トラックなどの大型貨物車)と乗用車が利用できるようにする予定。

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商用車を中心に、水素自動車の普及を見据えたインフラ整備が本格的に始動した。

商用車をメインターゲットとしているため、主な設置場所はトラックストップとなるが、トヨタ・ミライヒョンデ・ネッソ、BMW iX5ハイドロジェンなども水素を補給できるようになる。

エレメント2のティム・ハーパーCEOによると、今回政府から得られた助成金はイングランド北東部のティーズバレー水素補給ハブを開発するための資金であるため、水素ステーションは北東部を中心に建設されるという。

第1号はティーズサイド国際空港で「来年早々」にオープンする予定。これは、同じく助成金を獲得したUlemco社を支援するためのもので、同社は航空機牽引車や滑走路の清掃車など、水素で動く空港車両を開発する。

エレメント2のハーパー氏はまた、年末までにさらに30か所の水素補給ポンプ設置場所を決定し、計画を立てる予定であることを明らかにした。エレメント2は、さまざまな事業者や自動車メーカーと協力しているという。

昨年7月、同社はA1道路沿いのコニーガース(ノースアラートン近郊)とカーライル近郊のM6高速道路沿いの2か所で計画許可が下りたと発表した。

「戦略としては、水素自動車が大量に到着する前に、まずインフラを整え、来年導入することが理想です。(商用)水素自動車の波がやってきます。正直なところ、今回の資金援助で、当社はその時期を知ることができました」

「この資金援助は、当社に届く前に多くの精査を経た公的資金であるため、当社に自信を与えてくれます」

前述の2つのプロジェクトに加え、さらに30万ポンド(約5400万円)の資金が地元のカレッジに送られ、労働者訓練と人材育成を支援する。

政府曰く、これは「水素の故郷としてのティーズバレーの地位をさらに強固なものにする」ものであるという。

マーク・ハーパー運輸大臣は、次のように述べている。

「水素技術は、輸送の脱炭素化と経済成長を促進する大きな可能性を秘めている」

「今日の受賞者は、ティーズバレーが水素技術開発のパイオニアであることを証明しています。この投資は、北東部全域に熟練した雇用を創出し、経済をさらに活性化させるでしょう」

エレメント2は、英国の化学大手イネオスと水素供給で提携している。イングランド北西部マージーサイドにあるイネオスのランコーン工場では、塩化ナトリウム(塩)の水溶液を電気分解するクロルアルカリ工程から、副産物として水素を得ている。


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