次長課長河本準一は、2回も急性膵炎で死線をさまよったことがある。一度目は2010年のことだ。

 当時の河本はほぼ毎晩、風呂1杯分ぐらいの酒を飲んでいたという。朝方にならないと家に帰らないため、幼い息子と2週間も会わないことはザラで、顔を合わせれば「おじさん、また遊びに来てね」と言われる始末だった。河本が振り返る。

「直接、膵臓が痛いなんて状況がないから、胃が痛いくらいの感じなんですよ。胃薬だけもらって、収録後に飲み会に合流しますわ」

 そのつもりだったのだが、収録中に目がかすみ、カンペが読めなくなり、脂汗が止まらなくなった。すぐに救急病院に向かい、痛み止めを点滴している最中に、意識を失ってしまった。2日間、意識不明が続き、家族には医師から「このまま死ぬかもしれない」と伝えられた。

 運よく復活した河本だったが、2015年に二度目の急性膵炎を起こす。その結果、アルコール禁止はもちろんのこと、ラーメンなど脂が多いものも食べることができなくなってしまった。現在は症状が改善し、10年間食べなかったラーメンも「月に1杯だけ」との条件付きで、解禁されている。

 一方、はんにゃの川島章良は、32歳の時に腎臓ガンが発覚。その告知電話を受けた時、川島は温泉旅館で彼女にプロポーズしようとしていた。というのも、彼女が妊娠していたからだ。

 目の前が真っ暗になった川島の頭には、結婚を白紙にするとの思いがよぎる。彼女に伝えると、

「全然、大丈夫だよ。見つかってよかったじゃない。赤ちゃんが見つけてくれたんだよ。この子は天使だよね」

 そう言って、優しく支えてくれたのだ。

 手術では10センチほど開腹し、あばら骨を1本切ったという。転移はなく、腎臓を3分の1ほど摘出した。術後、晴れて仕事復帰。ガンを経験したことで講演会の仕事が舞い込むようになり、2019年には吉本興業で講演本数No.1芸人となった。

 それから4年後の現在、ナイツの塙宣之と川島が食事に行った時のことだ。塙が驚きを語る。

「『川島君、ガンは大丈夫なの?』って聞いたんですよ、心配だから。『あれ? どこのガンだっけ』って言ったら『膵臓だっけな。どっちだ? 膵臓かなぁ』って。『ちょっと待って下さい』って調べたら『腎臓ガンでした』。川島君、天然もいいところですよね」

 川島はあと2~3年ほどで、ガン再発の可能性が劇的に低くなるという。

(坂下ブーラン)

1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。

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