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登録車 ロッキーの出荷停止が響く

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎

部品および材料の供給状況を精査しながら生産・受注の調整を実施している日本の自動車メーカー。

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ここ数か月はその効果が上向きの数字となって表れていたが、2023年7月の国内新車販売はダイハツの想定外の生産および出荷停止もあって、回復基調がやや鈍化した。

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ダイハツ・ロッキー・プレミアムG HEV    神村聖

登録車の7月の新車販売台数は、前年同月比18.3%増(25万3241台)と7か月連続でのプラス。

一方、軽自動車の新車販売台数は、同6.9%減(12万5812台)と11か月ぶりにマイナスに落ち込む。

結果として、トータルでの7月の国内新車販売台数は同8.5%増(37万9053台)と11か月連続での前年実績超えを達成したが、その伸び率は今年に入って初めて2ケタを割ってしまった。

登録車の7月のブランド別新車販売台数では、部品の供給不足の影響が残るホンダが前年同月比7.0%減(2万3559台)、マツダが同5.9%減(1万1778台)、スバルが同22.3%減(7248台)、三菱自が同33.1%減(3517台)、そして認証手続きに不正があることが判明してロッキーハイブリッド車の出荷・販売を停止し、また仕入先での火災による部品欠品の影響で生産ラインの稼働停止を行ったダイハツが同73.1%減(1017台)と前年実績割れを記録。

一方、トヨタは同34.2%増(13万690台)、日産は同7.0%増(2万6163台)、スズキは同25.9%増(9372台)、レクサスは同155.6%増(9146台)と前年実績超えを果たした。

7月の軽 デリカ・ミニが後押し

軽自動車の7月のブランド別新車販売台数は、生産ラインの稼働停止が発生したダイハツおよびOEM供給先ブランドが苦戦を強いられた。

シェアトップに立ったのは、前年同月比13.2%増(4万5392台)を販売したスズキで、2か月連続での首位を獲得。

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三菱デリカ・ミニTプレミアム    小川亮輔

一方でダイハツは、同28.5%減(3万993台)にとどまって、前月と同様に第2位に甘んじる。

また、ホンダは同4.3%減(2万4087台)、日産は同5.2%減(1万5320台)とマイナスが続き、対してデリカ・ミニが販売台数を押し上げた三菱自は同35.2%増(4472台)とプラスを達成した。

そして、OEM供給を受けるブランドではマツダが同49.0%増(3307台)とプラスを記録したものの、トヨタは同61.8%減(1318台)、スバルは同38.9%減(893台)と前年実績を大きく下回った。

関係者の声「主な要因はダイハツ」

7月の新車販売の動きについて業界団体の関係者は、「前年7月の新車販売台数が34万9335台と低迷していたこともあって、本年7月は8.5%増を成し遂げたものの、その伸び率は鈍化した」

「主な要因はダイハツの不調で、認証手続きに不正があることが判明してロッキーおよびOEM車のトヨタ・ライズハイブリッド車の出荷・販売を停止し、また仕入先での火災による部品欠品の影響で生産ラインの稼働停止を行ったことが、新車販売の回復基調に水を差してしまった」

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ダイハツ・ロッキー・プレミアムG HEV    神村聖

「他メーカーでは材料および部品の供給不足による生産調整の影響は確実に縮小しているが、現状の受注残を抜本的に解消するだけの生産体制の構築は未達成の状況にある」と解説する。

今後に関しては、「新車需要は新型車を中心に堅調で、また発売スケジュールが遅れていた新型車や特別仕様車が夏から秋に向けて各メーカーから相次いで発売される予定。ダイハツの生産ラインの稼働停止も7月10日以降、順次再開している。さらに、前年同期の新車販売台数が低調に推移していたため、来月以降も前年実績を上回る公算が大」と指摘。

また、「生産調整は今後も一部で続く見込みだが、材料および部品の供給状況は着実に好転している。各メーカーが部品の供給状態を精査・注視しながら関係仕入れ先と連携するなど、様々な対策を行っていることも、販売台数の伸びにつながるだろう」

「一方で不安要素としては、依然として世界規模で続く部品の供給不安定や材料価格の高止まり、物流費および輸送費の高騰などが挙げられる。車両価格の相次ぐ値上げや国民負担率の上昇なども、消費意欲の高まりを阻害する要因」と示唆した。


なぜ? 新車販売、回復基調に鈍り 2023年7月は前年超えも、伸び率が1ケタに落ちる