人気アプリゲーム『A3!』を原作とした舞台版「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズ(エーステ)の最新作「ACT2! ~SUMMER 2023~」が、8月12日(土)より開幕する。2022年よりメインストーリー第二部にあたる「ACT2!」に突入し、ますます盛り上がりを見せる本シリーズ。今作では、新生夏組の第五回公演『SHI★NO★BI珍道中』、第六回公演『花の王子さま』にまつわるストーリーが主軸となる。

MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~SUMMER 2023~いよいよ開幕! 本田礼生×赤澤燈インタビュー

現在発売中の「ザテレビジョンShow」Vol.9では、今作や夏組への思いをたっぷりと語ってくれた本田礼生(斑鳩三角役)と赤澤燈(三好一成役)の仲良しコンビ。誌面で紹介しきれなかったこぼれネタを中心に、本作に対する意気込みや公演秘話をお届け!

■ 夏組公演がついに開幕「やっと来た」「来てしまった」!?

——いよいよ、夏組による「ACT2! ~SUMMER 2023~」が始まります。お気持ちはいかがですか?

赤澤燈(以下、赤澤):「ずっと楽しみにしてた」という思いが強いです。今回の公演は、前々から「楽しみだね」と夏組の中でも話していて。第五回公演『SHI★NO★BI珍道中』と、第六回公演『花の王子さま』で、6人全員が主演を担って一巡する公演でもあるから。

本田礼生(以下、本田):自分たちの中では、ちょっとした区切りみたいな感覚もあって。そういった意味でも、今回の公演はすごく楽しみですね。

——観劇する監督(観客)としても、エーステ“夏組単独公演”を控えて「今年もまた夏がきた!」と気分が高揚する人も多そうですね。

本田:僕自身も「夏が来るなー」と実感しているし、「やっと来た!」とも感じます。

赤澤:そして、「来てしまったな」と(笑)。

本田:(笑)。分かる!

赤澤:もちろん、ワクワク感のほうが強いんですよ。でも、公演に対するプレッシャーに加えて、疲労に対する不安が(笑)。これまで何回も夏組公演を経験して、「これだけ大変なことを今からやるんだぞ」と分かっているので。

6人で集まること自体の高揚感というのは、意外と少ないかも。キャスト同士はそれぞれ別の仕事でも共演したり、顔を合わせる機会が多かったしね。

本田:そうそう。もちろん夏組の6人で集まれる喜びはあるんですよ。楽屋でみんなで過ごすのも楽しいし。ただ、それこそ“集まること=始まること”に直結するので(笑)。

■開花していく野口準、明るく人懐っこい新正俊

——今回は、お2人がメインとなる第五回公演『SHI★NO★BI珍道中』と、第六回公演『花の王子さま』の2つを軸に、ストーリーが進んでいきます。それぞれ気になるポイントはありますか?

赤澤:忍者をモチーフにした『SHI★NO★BI珍道中』は一成が主演、三角が準主演を務める物語で、のほほんとした忍者二人が出会い、話が展開していきます。原作にもある、わちゃわちゃとした掛け合いやコミカルな感じを大事に作っていきたいなと思いますね。

本田:僕ら2人の気心知れた関係性だからこそ出せる空気感があると思うので、そこを生かして演じたいです。

赤澤:『花の王子さま』の方は、(野口)準が演じる椋が主演です。ずっと王子様になることを夢見ていた椋が、作品の中で王子様を演じる。それって、出会った頃はまだ高校生だった準の成長と重なるというか…。

本田:開花していく感じだよね。今では、準のお芝居や演技に対して、キャストもスタッフも信頼しかしてない! 不安とか一切ないから。

赤澤:むしろ、僕らのほうが足を引っ張らないように頑張らなきゃね(笑)。

——その夏組第六回公演で準主演・九門を演じる新正俊さんは、2022年から始まった「ACT2!」シリーズより新しく夏組に加入しました。その新しい風について、どのように感じますか?

本田:しんしん(新)はパワフルですね!

赤澤:そしていい意味でおバカ(笑)。個人的には、一番年下だった準と同い年のティン(新)が入って良かったなとも思っていて。明るくて人懐っこいし、もともといる年下組の(宮崎)湧とか準とは違う年下感がある。

本田:しんしんが入って、変わったというよりも“増えた”という感覚で。本当は夏組がもっと変わるかと思っていて、夏組の空気を決めつけずに「新正俊が入ったことで変わるなら、変わっていこう」と話していたんですよ。でも、ふたを開けてみたら、“ネタ”が増えていた(笑)。

赤澤:夏組に馴染みつつ、足しつつ、いいバランスで入ろうとしてくれたのかもしれません。いいメンバーが入ってきてくれたと思いますね。

■本田が明かす赤澤の一面「一人の時間が必要な人」

——今作では、一成が進路について“究極の2択”で悩む場面があります。もし、お2人が似たような決断を迫られたとき、「演劇」と「それ以外」として、何か悩みそうな選択肢はありますか?

本田:(即答で)ない。僕はないですね。100%、演劇です。でも、演劇以外に悩むものがあったらダメってことではないと思っています。

赤澤:僕は、“一生ゆっくり生きていける券”というのがあったら悩みますね。「何時に起きてもいいし、何してもいい」という券をもらえたら…そっちを必ず選ぶってわけではないけど、考えるかなぁ。

本田:ゆったりと、自由気ままに過ごせる券ね。(赤澤は)意外と一人の時間が必要な人だもんね?

赤澤:そう。っていうか、普通そうじゃないの?(笑)

本田:でも、周りのイメージ的には逆だと思う。常にみんなでワイワイしてるのが好きなタイプに見えるんじゃないかな。

赤澤:いや、僕は一人になりたい時間がある。でも、礼生はないよね。

本田:僕はない。トイレぐらいかな(笑)。そのレベルで、常に人が側にいても大丈夫!

赤澤:本当にすごいと思う! 僕は「コミュニケーションがうまい」って言われるけど、実は誰ともしゃべりたくないときもある。でも礼生が「誰かと一緒に居たい」っていうのは、本当に人が好きなんだなって。

本田:誰でもってわけじゃないけど、好きな人のことは好きかな。(赤澤には)人といることで疲れて減っていく“バッテリーゲージ”が存在するんだよね(笑)。

赤澤:そうそう(笑)。

本田:やっかいなのが、ゲージ残量が少ない赤色になったとき。みんながいたら頑張ってるんですけど、僕と2人になった途端、節約し始めるんですよ! 「まだ残ってるのに節約するなよ!」って思うんですけど(笑)。

赤澤:それは節約するでしょ! 何で礼生でゼロにしなきゃなんないんだよ!(笑)

■夏組メンバーで一番“決断力”があるのは?

——お2人が心を許して合っているからこそですね(笑)。ちなみに、夏組メンバーの中で一番、決断力があるのは誰だと思いますか?

赤澤:(宮崎)湧だと思うな。決断って「やるか、やらないか」だとしたら、自分のやりたいことを一番やっているのは湧な気がする。少しでも楽しいとか好きだと思うことを迷わずやっていて、性格が男らしいもんね。

本田:そうだね。

赤澤:ちなみに、僕は決断力ないですから。

本田:ないですよね(笑)。

赤澤:決断力がないっていうか、決断したくない。

本田:彼は、本当に絶妙な責任逃れをするんですよ(笑)。例えば、食事に行くとき。2つの店の候補があったとして、僕が「どっちか決めていいよ」って言うと、「どっちもいいよね~」みたいな返答をする。だから、僕が「じゃあ、こっちにする?」って選ぶと、「あぁ…“じゃあ”、そっちにしよっか!」って(笑)。

赤澤:アハハハ!(笑) 僕は別にどっちでもいいから、そっちが決めてよって思うの。相手の好きなほうでいいからさ。もし相手が6:4で悩んでたら、僕は基本的に5:5だから“6”の方を選んでほしいの。

本田:でも、本当は9:1で決まってるでしょ? 選んだ後に「あ、やっぱりこっちじゃなかったのかな」って感じるもん(笑)。見方を変えれば、相手を優先するという優しさでもあるんですけどね。

赤澤:なので、僕は決断しないタイプです。

本田:僕は、わりと決断力あるほうだと思います。仕事においても、プライベートにおいても。大きな物事はスパッと決めちゃう方なので、わりと湧と近いかも。考え方も近い気がします。

■舞台は生き物! 今でも笑えるハプニング集

——そんな個性的な夏組ですが、これまでの夏組公演を振り返って、思わず笑ってしまうような舞台上のプチハプニングはありましたか?

本田:普段のハプニングは湧がメインなんですけど、舞台上では赤澤さんがトラブルメーカーなので無限にありますよ(笑)。

赤澤:トラブル起こさないよ!

本田:(思い出し笑いをしつつ)例えば、2019年の夏組単独公演(MANKAI STAGE『A3!』~SUMMER 2019~)に第三回公演『抜錨!スカイ海賊団』という劇中劇があって。そこでは彼が海軍役として、袖から出てくる場面が2回あったんです。でも、1回目に出てきたとき、2回目で言うはずの台詞を先に言ってしまって(笑)。

赤澤:しかも、最後の大事なオチの部分のセリフ(笑)。まだ海賊団の仲間にもなっていなくて、海軍として捕らえに来たのに、いきなり「財宝の在り処を教えてやろう」って。

本田:海賊とは初対面なのに、めっちゃいい奴(笑)。彼がセリフの途中から「(ごにょごにょごにょ)」ってごまかして。

赤澤:そしたら礼生が「何、言ってんだ、てめー!」ってアドリブでフォローしてくれたんだよね。

本田:まだまだありますよ。初演(MANKAI STAGE『A3!』~SPRING & SUMMER 2018~)の劇中劇では、(一成が演じる)アラジンランプを持って出てきて、そのランプこすると僕(ランプの魔人)が出てくるというシーンがあったんです。

そのとき、僕の待機位置から、さらに待機している赤澤さんが見えたんですよ。パッと見たら、彼が手にしっかり持ってるはずのランプが、彼の手の上でワタワタと暴れていて(笑)。

赤澤:ランプを支えるための台座が付いてるんですけど、登場する前に触ってたら台座がぽろんと取れちゃって。もはやお手玉みたいな状態で、でも、すぐ出なくちゃいけないから(笑)。

本田:その状態で舞台に向かう階段を登っていて、最高にコメディーの瞬間を見ました。

——そんな姿を見たら、舞台上でも笑ってしまいますよね。

本田:僕は笑っちゃいました。夏組にいるときは隠さないと決めているので。それに、そんなハプニングで演劇が崩れないチームですから。

赤澤:ふふふ(笑)。今これだけ笑えるんだから、面白いってことだよね。こんなに笑える現場ってなかなかないよ。

本田:本当にそう。夏組は楽しいのが一番だよね。

赤澤:他の作品よりも稽古期間が長いし、1回の公演で2~3か月は一緒にいる。だから、キャストの絆だったり、深まるものがあるんですよね。新が中心になっておバカなことをやってるときもあれば(笑)、陳さん(陳内将)が最年長として内面のケアをしたりもする。

本田:その時々によって、みんな頼りになるし、みんな何かが足りない(笑)。そうやって夏組全員で、支え合っていますね。

MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~SUMMER 2023~いよいよ開幕! 本田礼生×赤澤燈インタビュー/撮影=横山マサト