8月18日(金)より全国公開されるデヴィッドクローネンバーグ監督による8年ぶりの最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』から、気鋭のアーティストらにインスパイア作品が到着。あわせて著名人らの絶賛コメントも解禁となった。

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クラッシュ』(97)、『イグジステンズ』(00)、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(06)など数々の受賞歴と共に物議をかもしてきた映画作家デヴィッドクローネンバーグ。彼にとって8年ぶりとなる監督最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、2022年5月に開催された第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部⾨に出品され、退出者が続出した賛否両論の問題作

主演は『グリーンブック』(19)のヴィゴ・モーテンセン。⾃⾝のカラダから臓器を⽣みだすアーティストを演じ、そのパートナー役に『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21)のレア・セドゥ、2⼈を監視する政府機関のティムリン役に『スペンサー ダイアナの決意』(22)のクリステン・スチュワートという豪華キャストが揃った。製作に20年以上を費やした最新作は“⼈類の進化についての黙想”がテーマとなる。

そう遠くない未来。⼈⼯的な環境に適応するよう進化し続けた⼈類は、⽣物学的構造の変容を遂げ、痛みの感覚も消えた。“加速進化症候群”のアーティスト・ソール(モーテンセン)が体内に⽣みだす新たな臓器に、パートナーのカプリース(セドゥ)がタトゥーを施し摘出するショーは、チケットが完売するほど⼈気を呼んでいた。しかし政府は、⼈類の誤った進化と暴⾛を監視するため“臓器登録所”を設⽴。特にソールには強い関⼼を持っていた。そんな彼のもとに、⽣前プラスチックを⾷べていたという遺体が持ち込まれる。

このたび解禁されたのは、五十嵐大介、榎本マリコ、オザキエミ、オートモアイ、我喜屋位瑳務、川内理香子、北原功士、たばよう、田森、チョーヒカル、デハラユキノリ、友沢こたお、ROROnailらが映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の世界観を表現した作品の数々とコメント。

さらに、ゲームクリエイターとして世界で活躍する小島秀夫からも「クローネンバーグの未来へ対する真摯な問いかけと普遍のパフォーマンスに、あなたの軀は再び反応するだろう」とのコメントが到着。さらに身体改造ジャーナリストのケロッピー前田からも本作について「あなたは禁断の一線を超える。これがぼくらの未来だ!」といったコメントが寄せられている。

世界を震撼させたクローネンバーグ最新作の世界観が垣間見えるインスパイア作品とコメントの数々。気鋭アーティストたちの感性に触れつつ目前に控えた劇場公開を楽しみに待ちたい!

■<アーティストコメント>

小島秀夫(ゲームクリエイター)

「気づけば我々は、日々の喜び、怒り、憎しみ、セックスや暴力、創造と表現さえも、身体の外のデジタル・デバイスで代用してしまっている。だが、いまも肉体を通した痛み、内なるアートを追い続けるクローネンバーグは、唯一無二の存在だ。ヴァーチャルな腫瘍を抱えた我々は、肉体感覚と肉体的な進化を取り戻す必要がある。クローネンバーグの未来へ対する真摯な問いかけと普遍のパフォーマンスに、あなたの軀は再び反応するだろう」

●ケロッピー前田(身体改造ジャーナリスト)

「過激な身体改造パフォーマンスに熱狂する、退廃した近未来。快楽は激しさを求めて再定義され、アーティストは体内で新しい臓器を生みだし、タトゥーを施し摘出する公開手術を行い、当局が恐れる突然変異を次なる進化の段階に押し上げる。そこから湧き上がる官能に導かれ、あなたは禁断の一線を超える。これがぼくらの未来だ!」

五十嵐大介(漫画家)

「あのアートパフォーマンス。肉体的な痛みを一度でも感じた事のある身ならそれを脳内再現しながら鑑賞する。でも痛みを感じた事がない人々はパフォーマンスをどんな感覚で受け取めているのか興味あります。どこか夢にも似た映像感覚」

●榎本マリコ(画家)

「進化し続ける人類、社会。それらとともに膨らみ続ける問題を、人間自らの手で解決していくには?その先にある答えは、この映画の世界そのものなのかもしれない。そこに群がる好奇の目は、いくら進化しようとも変わらない人間の性なんだと思いました」

●オザキエミ(イラストレーター)

「恥ずかしながらデヴィッドクローネンバーグ監督の作品と出会ったのは今作が人生初。痛々しくグロテスクな描写に目を背けたくなるかしら…と思いきや、想定外に美しく退廃とした雰囲気にぐっと惹き込まれてしまいました。『進化』とは、時に暴力的で非人道的で官能的なものなのかもしれません。イラストは罪深き新しい臓器を想像して描いてみました」

●オートモアイ(アーティスト)

「私たちは進むのを恐れる。それは進んだ先から元へ戻ることができないから。遠い未来を想像するとき私たちがいま抱えている普遍的な問題、普遍的過ぎて気にも留めていない問題を目の当たりにすることになる。テクノロジーは常に人の体の延長にあるように、未来はいま現在の延長線上にあるものだから」

●我喜屋位瑳務(アーティスト)

「唯一無二の快感と刺激を享受できる作品であることは確かであります。そして、こんな食事環境は絶対に嫌だ!史上、間違いなく最上位に君臨するでしょう」

●川内理香子(アーティスト)

「生き物のような映画。読み解こうとすると脈打つ体のように映画の中のものたちの意味やイメージが変化していき、トランスフォームがおき、見るたびに違う鼓動や感触を見つけられそうな作品!進化を体現した映画だと思います。キャッチーでポップなクローネンバーグの映像美とクリエイションにも魅せられました」

●北原功士(怪奇画家)

「ギーガーやベクシンスキーなどの幻想絵画の如き闇のビジュアル!性を匂わせる怪奇機械は時代や文化の変遷による危険な快楽を連想させる!クローネンバーグは視覚の領域で今ある現実を思い知らせるアジテーターだ!」

●たばよう(漫画家)

「自分の体に好んで刃を入れる人たち。最初は少しハラハラしましたが、この世界の状況が分かってくると痛々しさよりも体を傷つけることにワクワクする気持ちがどんどん大きくなりました。手術のための奇妙な機械がかっこいい!」

●田森(イラストレーター)

「人間は痛覚を失ったら、痛覚を快楽に感じるようになるのか。痛覚や感染という概念がなくなった世界では臓器を摘出するショーが存在し、グロさをアートと表現する内容に衝撃を受けた。クローネンバーグ監督の生み出すグロさ、美しさが限りなく表現された作品だった」

チョーヒカル(アーティスト)

「なんてイカした映画なんだ・・・!人と進化とテクノロジーの関係を、ゾクゾクする映像美で描いている。細かな設定に唸らされるばかりでなく、人間の持つ支配欲と変化への恐怖についても考えさせられる。好きです!」

●デハラユキノリ(フィギュアイラストレーター)

「問題しかない…よく問題作と評されますが、この映画問題しか起こりません」

●友沢こたお(画家)

「え〜!?エ〜〜!?エ〜!?!と、首が曲げ足りないほどのぶっ飛び具合。生々しくジワジワ身体の深い知らない部分が反応させられる。不思議な状態の脳みそを、クローネンバーグにしか生みだせないであろう濃厚な深い黒い熱気でヌッと包んでもらえる贅沢な体験。この映画を見たあと信じられないくらい両鼻の穴が詰まって熱が出ました」

ROROnail(ネイルアーティスト)

「ンま〜〜〜〜これまた性癖を臍の穴からこじ開けられたような癖オブ癖Movieですね。グロテスクに背徳と官能を混ぜたらこんなことになってしまいました。ヘケッというクローネンバーグの声が聞こえて来ました。天才ですね。いまもまだ聞こえてます。作品を観終わった後の第一声『やって!!!みた!!い!!!!!!!!!』(SAN値0)」

文/スズキヒロシ

漫画家、五十嵐大介のイラスト作品/[c]2022 SPF (CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A.[c]Serendipity Point Films 2021