「パワーカップル」をGoogleで検索すれば、次に出てくるのは「パワーカップル ずるい」「パワーカップル 公務員」といった言葉の数々。はたして実情は?
「パワーカップル」何とも羨ましい響きだが
「パワーカップル」。明確な定義はありませんが、夫婦ともに年収700~1000万円以上の世帯を指します。
日本の所得平均について、厚生労働省『国民生活基礎調査』(2021年)より見ていくと、1世帯あたり平均所得金額は、「全世帯」が545万7,000円。「高齢者世帯」が318万3,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が665万円、「児童のいる世帯」が785万円となっています。
同調査より分布を見ると、「200~300万円未満」が14.6%、「100~200万円未満」が13.0%、「300~400万円未満」が12.7%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。パワーカップルという呼称の所以をうかがい知ることができます。
仮に年収700万円と仮定し、その金額を受け取れるであろう職業について考察してみる場合、「安泰なお金持ち…」として思いつくのは国家公務員。給与モデルは下記のとおりです。
■国家公務員の給与モデル
係員(25歳)…月額193,900円
本府省課長補佐(35歳)…月額440,600円
本府省課長(50歳)…月額749,400円
出所:内閣官房内閣人事局 国家公務員の給与(令和3年版)より作成
年間4.5ヵ月分のボーナスが支給されることを踏まえると、課長補佐(35歳)の年収は720万円を超えることになります。国家公務員としてお互いに新卒入社、順当に年を重ねた夫婦……がパワーカップルのイメージ像になるでしょうか。
しかし実際のところ、公務員が定年を迎えたあと、悠々自適な引退生活を送っているのは、1割程度であることが判明しています。
■定年退職時の就労希望
「定年退職後も働きたいと思った」86.6%
※「現在て収入を伴う仕事に就いている」89.6%
■働きたいと思った理由(複数回答)
「日々の生計維持のために必要」85.0%
■何歳まで働き続けたいと思ったか
「65歳まで」36.3%
「70歳まで」8.1%
「年齢に関係なく、働けるうちはいつまでも働きたい」21.2%
年収1,000万円の高給取りは「一番損をしている」?
公務員は少し事情が異なりますが、多くのパワーカップル、特に年収1,000万円付近を推移している方の場合、所得税において「一番損をしている」と言われています。日本の所得税は累進課税制度。分布図最多の所得200万円~300万円では税率10%ですが、所得金額900万円~1,799万9,000円では課税率が33%にまで跳ね上がるのです。
仮にボーナスなどを考えず、ざっと月収80万円の場合、月々の手取りは57万円~60万円程度。半分……とまではいかないものの、額面と手取りの差に肩を落としている高給取りも少なくありません。
潤沢な資金があれば、子どもの教育費にお金をかけたり、良い家を買ったりと夢が膨らむ一方ですが、その分支出は増えるもの。「パワーカップル」という言葉の裏には、案外素朴な生活が潜んでいるのかもしれません。
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