夏休みを利用して旅行に出掛けようと考えている人は多いと思いますが、ホテルによって、ベッドメークに違いがあるのはご存じでしょうか。

 一般的に、ホテルでは、就寝時に汗や汚れが掛け布団に付くのを防ぎ、見栄えを良くするために、掛け布団の下に「アッパーシーツ」と呼ばれる布を敷いた上で、アッパーシーツの裾と掛け布団の裾をマットレスに挟み込んで、ベッドを整えています。ただ、中には、アッパーシーツを使わずに、布団カバー付きの掛け布団を敷くホテルもあります。

 ホテルでは、客室のベッドをどのように整えているのでしょうか。アパグループ(東京都港区)、東横イン東京都大田区)、スーパーホテル(大阪市西区)の各担当者にそれぞれ聞きました。

シーツを折り込む「スプレッドスタイル」のスーパーホテル

 掛け布団の下に敷いたアッパーシーツの裾と掛け布団の裾をマットレスに挟み込んでベッドを整える方法は、「スプレッドスタイル」と呼ばれています。アッパーシーツには、就寝時に汗や汚れが掛け布団に付着するのを防ぐ役割があります。

 スーパーホテル経営品質本部の担当者によると、スーパーホテルでは、基本的にスプレッドスタイルを採用しています。

 その理由について、「客室の構造上、最初に目に入ってくることが多いベッドの足元は、客室全体の清潔感や印象に影響する部分です。そのため、シーツや布団にシワがない状態できれいにベッドメークをするために、アッパーシーツの裾と掛け布団の裾をマットレスに挟み込んでいます」と解説しました。

 スプレッドスタイルでベッドを整えた場合、清掃スタッフ間で見栄えにバラツキが出にくくなるため、業務の効率化につながるということです。

 一方、担当者は、「中には、『体を入れにくい』『足が窮屈』と思われるお客さまもいらっしゃいます。そのため、一部店舗では、掛け布団の挟み込みを行わず、シーツの胸元の折り返しを長めに取ることで足元を短めにして、お客さまが入り込みやすいようなベッドメークを導入しています」と話しました。

 なお、清掃時に新しいシーツに交換するため、宿泊時にスプレッドスタイルで窮屈に感じた場合は、アッパーシーツの裾と掛け布団の裾をマットレスから外した上で寝ても問題ないということです。

 このほか、スーパーホテルは、客が靴を履いたままベッドに横たわった際に布団を汚さないために、一部店舗で「ベッドスロー」と呼ばれる製品を掛け布団の上に設置しています。

東横イン「スプレッドスタイル→デュベスタイル」に変更

 一般的に、羽毛布団全体をカバーで包むベッドメークは、「デュベスタイル」と呼ばれています。 

 東横インの担当者によると、東横インでは、以前はスプレッドスタイルを採用していましたが、2018年1月以降に開業した店舗から順次、デュベスタイルを導入しました。

 そのメリットについて、「スプレッドスタイルでは寝ている間にシーツと掛け布団がずれ、肌が直接掛け布団に触れてしまうことがありましたが、デュベスタイルではそういったことがなく、衛生面で好評をいただいています」と話しました。

 また、ベッドスローについては、国内外の一部店舗で設置しているということです。

アパはシーツを折り込まない「デュベスタイル」を採用

 アパグループ東京本社の担当者は、アパホテルは、宿泊特化型のホテルの中ではいち早くデュベスタイルを取り入れ、顧客満足度の向上に努めてきたと力説しました。また、客が靴を履いたままベッドに横たわった際に羽毛布団のカバーが汚れないよう、ベッドスローを掛け布団の上に設置しています。

 担当者によると、ホテルがスプレッドスタイルを導入する主な目的は、クリーニング費用やベッドメークの労力を減らすことだと言います。デュベスタイルは、スプレッドスタイルよりもクリーニング費用が高く、布団カバーでデュベ(羽毛布団)を包む労力も発生してしまいます。そのため、掛け布団の下のアッパーシーツを交換するだけで済むスプレッドスタイルを選択するホテルもあるようです。

 また、アッパーシーツはサイズが大きいため、マットレスの下に折り込まなければ、垂れたシーツが床に触れてだらしなく見えるため、宿泊客に良い印象を持ってもらえないと言います。そこで、清潔感を出すために、ベッドの四方をピンと張り、マットレスの下にアッパーシーツを折り込むスタイルが一般化した可能性があると、語りました。

 なお、デュベスタイルは、スプレッドスタイルよりも快適に寝ることができる一方、先述のようにクリーニング費用が高く、ベッドメークの労力がかかるのがデメリットで、従来は高級ホテルでの採用が主流だったということです。

 宿泊サイトでホテルを選ぶ際は、ベッドメークがスプレッドスタイルなのか、デュベスタイルなのかを事前に確認してみるのも、よいかもしれません。旅行や出張の楽しみ方、疲れた体を癒やす安眠の仕方にも役立ててみてください。

オトナンサー編集部

ホテルによってベッドメークが異なる