※本記事は、東洋証券株式会社の中国株レポートから転載したものです。

香港市場の7月動向と8月の見通し

7月の香港市場…薄商いの中、方向感に乏しい展開

香港市場は、中国経済の先行き不安が重荷となったが、人民元の対米ドル相場の反発と中国当局への政策期待が下支えとなり、もみ合い相場に終始した。メインボードの売買代金が1,000億HKDを超えた日は4日間しかなく、薄商いが目立った。サウスバウンド経由の中国マネーは押し目買いに動き、103億HKDの買い越しに転じた(25日時点)。

個別銘柄では、中国EVメーカーのBYD(01211)と理想汽車(02015)が好調な新車販売などで買われた。一方、23年6月中間期で大幅減益の業績ガイダンスを発表した舜宇光学科技(02382)は急落した。

8月見通し…個別物色の動きが強まると想定

◆ハンセン指数の8月予想レンジ……18,000~21,000pt

8月の香港市場は森より木を見る展開になるか。

米利上げ最終局面との認識が広がっており、人民元安への警戒感は大きく後退しよう。中国政府の具体的な景気支援策と米中関係の動向が注目される。

本格的な決算発表シーズン入りすることで、投資家の関心は企業決算に移り、業績動向を手掛かりとした個別物色の動きが活発になりそうだ。経済活動の再開やコスト削減の継続などで、ネット大手の業績改善基調が続く見通し。テンセント00700)は、16日に決算を発表する予定。

18日には、ハンセン指数構成銘柄の見直し結果が発表される見込み。

中国市場の7月動向と8月の見通し

7月の中国市場…前半は低位もみ合いも後半に買い戻し

7月の上海総合指数は3,200pt前後の狭いレンジでもみ合い。一方、深セン成分指数は24日に一時約1カ月半ぶり安値の10,730ptまで売られた。半導体規制などを巡る米中対立への懸念が高まり、ハイテク関連株が売り圧力に押された。

中国の4~6月期GDPが前年同期比6.3%増と、市場予想の7.3%増を大きく下回ったことも相場の重し。景気の先行き不安が強まる中、24日の中央政治局会議では内需拡大や不動産政策の調整などの方針が示された。月後半は政策期待を背景に不動産セクターや消費関連株を中心に買い戻される動きが強まった。

8月の見通し…戻り試す展開か、好業績銘柄に注目

◆上海総合指数の8月予想レンジ……3,150~3,400pt

深セン成分指数の8月予想レンジ……10,500~12,500pt

8月の中国市場では買い戻しの動きが強まると見る。上海総合指数は3,300pt、深セン成分指数は12,000ptが当面の目標値となろう。自動車販売の促進など具体的な景気刺激策が発表されれば投資家マインドを押し上げよう。

政策如何で海外資金の流入加速も期待され、外資人気銘柄の宜賓五糧液(000858)や中国旅遊集団中免(601888)などへの見直し買いも強まりそうだ。6月中間期の好業績銘柄にも注目したい。BYD(002594)は前年同期比で最大225%増益、北方華創科技集団(002371)は同156%増益見通しを発表済みだ。

龔 静傑

東洋証券香港現法亜洲有限公司

中国株アナリスト/香港ストラテジスト

山藤 秋男

東洋証券株式会社上海駐在員事務所

中国株アナリスト/ストラテジスト

(※写真はイメージです/PIXTA)