安倍晋三元首相への殺人罪等で起訴された山上徹也被告人のおじ・東一郎氏(78歳)は、元弁護士として、長きにわたって統一教会と交渉してきた経験を持つ。

7月上旬、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁が、韓国・清平で幹部信者に向けて発した音声が報じられた。報道によると「日本は第2次世界大戦の戦犯国、犯罪の国。被害を与えた国に賠償すべき」と述べ、解散命令請求に向けた動きを見せる日本政府に対し「滅びるしかない」などと厳しい言葉で批判したという。

この“暴言”が、いよいよ近づく解散命令への焦りだと見る向きもあるが、山上氏は疑問を呈する。交渉の際に感じてきた統一教会の狡猾さを踏まえ、この時期の発表自体に「教会側の意図を感じる」という。7月8日に引き続き、弁護士ドットコムニュースに寄稿した。

●寄稿「自民党との蜜月の終焉を醸し出す為、意図的に流されたものではないか」

6月下旬に韓総裁は「岸田を呼びつけて、教育を受けさせなさい」と首相を罵倒し、その映像がメディアによって世間に晒(さら)された。しかし、それは、教会と自民党との蜜月の終焉を醸し出す為、意図的に流されたものではないかとの疑念が生じる。

そもそも解散命令が発せられると、統一教会は清算法人となり、裁判所が選任した清算人が教会の不動産その他の財産を売却・換金して、債権者に配当する。即ち、清算人は教会のすべてを掌握し、教会の機密書類もその手に渡る。

その機密書類には、教会から国会議員等へ配布された金の流れが書いてある可能性がある。 その書類が世間に映されるとオウンゴールになるので、教会には解散命令請求をしないと囁(ささや)かれて来た。

その為、政府は、異常な回数の質問権を行使し、やっている感を醸し出し世間の沈静を待っているのではないのかと揶揄(やゆ)されて来た。

ところが近時、「政府は今夏、解散命令を請求する」とのニュースが流れて来た。

それは、過日の統一地方選挙での苦戦、首相の支持率の低下が予想を超えていたため、近付いて来た衆院選を慮った連中が、請求やむなしと判断したのであろう。

しからば、機密書類はどうなったのであろうか。

請求をなすという事前の連絡に呼応し、書類は日本統一教会から他に移され、何らの痕跡もないのではないか。

そして、韓総裁の暴言は、機密書類の痕跡が日本には既になく、逆にこれを把握しているので、いつでもこれを世間に晒す事が出来るというブラフではないであろうか。いずれにしても、韓総裁の暴言と政府の解散命令の請求とは表裏一体であろう。

山上被告人のおじが深読み、統一教会・韓総裁の“暴言”が出てきた背景