朝まで開けてはいけない和室のふすま。だったら、庭から少し覗いてみればいいのでは?と怖いもの見たさで、見てはいけないものに遭遇してしまった大家(@ksyjkysk)さんの「扇風機の家」を紹介する。本作は著作権フリー&無料配信のツイキャス「禍話禍ちゃんねる 百怪忌念スペシャル」で語られたものを再構築し、漫画化したものである。

【漫画】本編を読む

著作権フリー&無料配信の怪談ツイキャスとは?

ツイキャス」とは、PCやスマホで手軽にライブ配信できるサービス。原作の「禍話」(@magabanasi)は、毎週土曜日23時から配信している。大家さんは以前から禍話さんのファンで「リモートワークや原稿の作業中によく聴かせていただいていました。禍話さんはファンの方によるリライトやファンアートなどの投稿が盛んで、私自身も漫画を描くので、せっかくなら参加したいと思ったのがきっかけでした」と、創作の経緯を語る。

なかでも「扇風機の家」を描こうと思った理由を訊くと、「禍話の中でも特に好きなお話でしたし、不気味な和室など描くのが楽しそうなシーンがたくさんあったので描かせていただきました」と、大家さん。本作は「怖いけど読んでしまう」「ゾクゾクした」などのコメントとともに1.2万のいいねを獲得した。

漫画化するうえで気をつけたポイントを伺うと、「元のお話の怖いポイントの1つが“何かに気付きつつもそれを隠してる友達”の存在だと思うので、友達の表情や行動に不穏さを感じられるよう心掛けて描きました」と、言う。今回、ウォーカープラスでも人気の高い「アイスの森」「扇風機の家」を含む、禍話で語られた怖い話を大家さんがコミカライズ化。「禍話 SNSで伝播する令和怪談」として9月に発売される。

■豪邸に住み込み、さらに食費つき!!家主の代わりに留守番をする割のいいアルバイトの裏側は?

実家暮らしの主人公は、大学の夏休みにアルバイトをしたい。しかし、親はアルバイトをするくらいなら「勉強しろ」と言う。一日中家にいるのがつまらない主人公の元に、大学の友人から1本の電話がかかってきた。

友人は「親戚が留守の間だけ留守番を頼まれた」と、住み込みのバイトをしていた。1人では暇すぎるため「遊びにこないか?」と、誘われた。時間を持て余していた主人公は、親戚の家に合流。割のいいバイトと言う友人は、バイト代のほかにも食費などももらっているという。

ここでは、食べ放題、飲み放題、ゲームもやり放題!1人ではどうにもつまらないが、2人でいれば楽しさも倍増。友人のアルバイト期間を一緒に過ごすことにした。

バイト内容は、留守番をするだけではない。「夜11時になったら奥の和室にある扇風機をつけっぱなしにする」ことと、和室は「朝まで扉は開けない」というルール付きだ。

和室には畳一面に射的の景品のような、小さなおもちゃがたくさん散らばっていた。それを全て立てて並べ、扇風機をつける。風量は「強」で首ふりにする設定だ。時間は夜11時から朝7時まで。これを毎晩11時前にセッテングするのがメインの仕事だった。

翌朝、倒れて散らばった小物を起こし、また扇風機をつける。簡単な仕事だが「なんでそんなことをするの?」と聞いても、その理由は教えてくれない。

ある夜、主人公はトイレに行くため、起きた。和室の前を通り過ぎると、小物が倒れる音がする。あの和室には「何かがいる」と気づいた主人公は、開けてはいけないふすまに小さな穴が空いているのを発見。開けなければ問題はないだろうと、中を覗くとーー。

大家(@ksyjkysk)さんといえば、SF作品やミステリー作品などの世界観が非常に秀逸。スティーブン・キングの映画を彷彿とさせる「僕らの夏と灰」や、山奥の別荘に避難した男たちの秘密を隠し合う会話にぞくぞくする「嵐の日の来客」など、ミステリーともオカルトとも言えない奇妙な話もおすすめ。暑い季節に、「鳥肌が立つ!」「静かに怖い」作品で冷たい汗が背筋を流れる体験をしよう。

取材協力:大家(@ksyjkysk)

豪邸でバイトをしている友人に、一緒に過ごそうと誘われる/画像提供:大家(@ksyjkysk)