2018年のシリーズスタート以来、個性的なラインアップで毎回ホビーファンを楽しませてくれるグッドスマイルカンパニーのプラキット「MODEROID」シリーズ。

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2023年は5周年のアニバーサリーイヤーということで、ますます盛り上がりを見せている「MODEROID」シリーズだが、アキバ総研の人気連載「声優・泰勇気の週末プラモ」も2019年の連載第1回からMODEROIDを追いかけ続けてきた。

まさにMODEROIDとともにプラモ道を追求し続けてきた、声優・泰勇気さんと一緒にMODEROIDの歴史を振り返ってみよう!

泰勇気さん

──MODEROID の最初の印象はいかがでしたか?

 

 グッドスマイルカンパニーさんというと、当時はフィギュアのメーカーというイメージでした。そのメーカーが新しくプラキットを手がける、でチョイスされたキャラクターが「マジンカイザー」ということで、「なるほど」と思いまして真っ先に組んでみました。エッジシャープだし、装甲の表面のつやも見事だし、クリアパーツも大胆にシャープということで、大人向けの本気のキットだなという第一印象でしたね。そんなMODEROIDを信じようと思ったきっかけが、「ゴッドマーズ」という僕ら世代にどストライクなキャラクターを発売した時です(笑)。ちゃんと合体もやるんだ、と。

それで今後も応援したいなと思い始めて、その後に出てきた「ライジンオー」と「バクリュウオー」で、「ちゃんと僕たちが買い支えないと、この面白いシリーズは続かないかもしれない」と思いました。最終的に、「ゴッドライジンオー」を4つ組めるくらい買っちゃいました。でも気づいたら毎月のように新アイテムが発売されるようになり、もはや僕が買い支えなくても大丈夫ですね(笑)。

 

 


──80中盤~90年代のロボットは、これまでプラキットとしてはあまり展開してなかったと思います。

 

 そうですね。でもMODEROIDが出てきた頃から、プラモデル業界全体に80~90年代ロボをプラキット化しようという潮流が生まれましたよね。合金トイだと再版・大量生産が大変だと思うんですが、プラキットだとそれほど遅くないペースで再販してくれるので、そこもありがたい。あとから商品を知った人にとっても、そして価格的にも、サイズ的にも手ごろなところで入手できるという意味で、プラキットシリーズで当時のキャラクターを商品化してくれる意義は大きいと思います。

昔のキットではしっかり作りこむことができなかったけど、大人になった今、改めて作ることができるように新しく商品化してくれてありがとう、と思っているお兄さんたちがいっぱいいると思います。

ラインアップの年代のふり幅もすごいですよね。最近触れたのは「モルカー」なんですが、あんなものまでMODEROIDで出ていたりして、懐の深さがすごいです。

「ああ、こういうのが出るんだよね~」っていうラインアップが続いたところで、たとえば「イカルガ」みたいな、「それを!?」っていうのが出てくるのが、MODEROIDから目が離せない理由です。

「インベル」もそうだし、この前発表された「エルドラV」や「テクノボイジャー」もそうです。「タックコム」なんて、MODEROIDで出るまで僕、知りませんでしたからね。

あれが出るならこれが出るだろうって誰もが思うだろうし、アンケートでファンの声を拾い上げるのも上手だと思います。もちろん権利的に商品化できるものとできないものがあるとは思うんですが、そこにみんなの夢を投じることができるじゃないですか。それでうまいこと歯車がかみ合ったら、奇跡的に商品化することがあったりする。「ブレンパワード」「ライディーン」「エステバリス」「ビッグオー」「ヴィルキス」、あのあたりはびっくりです。

だから、まだMODEROIDというシリーズを知らないという方はチェックしておくべきですね。次はどんなキットが発表されるんだろう、と毎日が楽しみになりますよ。

 

──MODEROID自体が、ひとつのエンターテインメントになってる感じですね。

 

 もうMODEROIDが誕生してから5年間、ずっと驚かされ続けてます。意外なラインアップが続いたと思ったら、今度は「ゴライオン」! 普通のスーパーロボットのことを忘れていた!と気づかされたりもします。MODEROIDって不思議なロボばかり出すシリーズかと思っていたけど、「ザブングル」はうまいこと40周年にぶつけてきましたし、「ゴッドグラヴィオン」などの超重神シリーズも、これはプラキットにできないだろうと思っていたものが出てきたりもしました。

 

 

──ラインアップ以外にも、初心者向け、キャラクターグッズとしての、ある種の割り切りも感じる作りがMODEROIDの特徴のひとつですよね。

 

 そこがグッドスマイルカンパニーさんから出るということで納得したところかもしれないですね。組んだ後にフィギュアとして遊べる気遣いを感じるので、塗装しなくてもある程度楽しいんですよ。塗装する人はしっかり塗装しても楽しみを味わえるんですが、塗装しようとするとつらいところがわりとあるんですよね。

その点、シンカリオンの塗装済みパーツは見事なもので、自分でやるとしたらどれだけ手間がかかるかなという細いパーツが塗装済みになっているんです。MODEROIDにはいろんな商品があるんですが、とりわけシンカリオンに関しては全塗装するものではないなと僕は思っていて、集めて楽しむんだったらスミイレまでって決めてます。それでも十分。

また変形ギミックこそオミットされていますが、その分プロポーションが素晴らしい出来でした。またクロス合体、組み換えが簡単にできたりと、プラキットとしてできるギミックも押さえているんです。

だから、連載の第1回でシンカリオンの面白さを知れたのはありがたかったですね。

 

──塗装済みパーツの配置が、毎回絶妙なんですよね。

 

 そうですね。変形合体をこなす、というのがMODEROIDの長所だと思うんですが、自分で塗装すると塗膜の剝げが怖くてなかなか変形合体遊びができないところ、塗装済みだと自分で塗装したものよりは落ちないから安心して遊べるんですよ。きっとMODEROIDはプラキットでありながら、完成させた後はフィギュア、トイ的に楽しむものなんだなと感じています。その両面性のおかげで、ユーザーの幅が広がっているのかなという気がします。

 

 

──こうなってくると、まだ立体化されていないアニメロボにも期待が高まりますね。特に80年代はOVAでたくさんのロボが生まれました。

 

 まだ立体化されてないのだと、「ダンクーガノヴァ」とかね! OVA作品だと、「イクサーロボ」は期待してました。あとは鋼の鬼。……やっぱりラインアップがめちゃくちゃだ!(笑) 大張正己さんのメカでいうと、「デトネイターオーガン」とかも時間の問題のような気がしてきます。

 

──洋画に登場するメカもカバーしているのが、MODEROIDの特色です。

 

 「ロボコップ」も「エイリアン2」も超メジャー映画だけど、プラキットは見たことがなかったですね。パワーローダー、けっこうデカいんだよな。海外のファンも満足できそうな、細かすぎないサイズ感は、まさにアメトイ的だなと思いました。昔、渋谷の「まんがの森」でバイトしてたんですが、そこでそういうのをよく扱っていた気がします(笑)。「ロボコップ」シリーズは一段落しましたし、洋画枠はこれからどうなるのかなと気になりますね。

 

 

泰勇気が選んだ、歴代BESTキット5選!

 

──まだまだMODEROIDから目が離せそうにないですね! それでは、ここから泰さんが選ぶMODEROIDベストキット5選をうかがいたいと思います。 

零式

 


 まずは「機動警察パトレイバー」の「零式」です。素直にスタイルがいい! レイバーは工業製品的なメカなので、どういうアプローチで立体化するかでいろいろと仕上がりが変わってくるんですけど、グッスマさんはわりとキャラクターキット寄りに作ってらっしゃるんだろうなという手ごたえのスタイルのよさですね、見るからにビュンビュン飛び回りそう。

 

もともと色数が少ないキャラクターだったので、組み立てただけで色の再現度が高いのも嬉しかったです。あと、耳とか指の先のエッジがすごいですね。

二の腕は、すごいシンプルな組み立てなんだけど、けっこう動くのに驚きました。関節の可動が優秀なんですよ。

シンプルな作りだから、劇場版クライマックスのイングラムとの格闘シーンを作られているモデラ―さんもいますけど、素材となるプラキットだけでもある程度は再現できそうなクオリティです。これフィギュアだと、壊したり汚したりするのは躊躇すると思うのですが、プラキットだからできるというのはあると思います。

 

 

手首とか頭部の展開パーツもきちんと用意されていて、かゆいところに手が届く。これがあったら零式的には不安は残らないよね、という名作キットです。

ブライガー

 

 

 「ブライガー」は、まず「J9って知ってるかい」ってみんなに聞かないといけないタイトルですよね(笑)。でも「スーパーロボット大戦」に出てるから、そこで知った若い方も多いでしょうね。以前、別のメーカーから組み換え変形トイが出ていましたが、プラキットは放送当時以来になります。

もともとブライガーの変形は物理的に厳しいものがあって、当時のおもちゃも組み換え変形だったので、今回のMODEROIDも組み換え変形になるのも仕方がないと思います。そこは納得です。ただ差し替えにするなら、各形態のスタイルはよくしてほしいなと思っていたら、……ちゃんとスタイルがよかったんですよね。だから、僕は3形態を作るために3個買いました! めちゃめちゃスタイルいいんですよ。本当に劇中を再現している。

プラキットならではの割り切った差し替え変形で、各形態ちゃんとベストのところを目指しているところが好評価ですね。ぜひ3体買って並べていただきたい。こうなると「バクシンガー」、「サスライガー」も欲しくなりますね。シリーズものは全部商品化してくれる、という期待がMODEROIDにはありますよね。

 

 

──連載では、劇中の印象的なカットを再現していましたね。

 

 ロボット形態はよく動くので、記事でも劇中のポーズを再現させていただきました。胸のVの字パネルも可動にはじゃまかなと思うんですけど、ポージングするうえでは全然そんなことありませんでいた。ブライカノンもパネルのじゃまにならないように考えられています。

 

 

細かいのですが、機首のパーツを背中のフックに引っかけるというところが、当時のタカトク(トイス)のおもちゃと似た感じなんですよ。あれも背中に引っかけていたので、少し懐かしくなりました。もしかすると当時品をリスペクトしてるのかも。

顔については唯一無二ですね。何かに似ているというのがない。頼りになる顔をしているんですよね。

魔法騎士レイアース レイアース、セレス、ウインダム

 

 

 魔神3体が揃うというのは嬉しかったんですが、同時発売というのには悲鳴があがりましたね(笑)。待たなきゃいけないフラストレーションはなかったけど、3体同時に買わなきゃ……!っていう嬉しさと懐具合の悩ましさが、ないまぜになった発売でした。

魔法騎士レイアース」はコミック版とアニメ版が存在しているのですが、キットはアニメ版に寄ってるデザインですね。スカートアーマーとか盾とか武器など、重厚な作りになっているのですがけっこう可動します。腕も肘で回転して、前腕はどちらにも曲げられる。いわゆるガワラ曲げができるようになっています。

この「レイアース」の魔神シリーズは、ここまで難しいロボットをいろいろやってきたMODEROIDの中では、ベーシックな構造のキットになっています。これまで4年ほどシリーズを展開してきて、商品の作り方も安定してきたこともあるのでしょうか。関節の仕込みは、そんなに難しくなかったのかなと推測します。ボールジョイントのはまり方もすごくよかったと思います。

 

──ちなみに「レイアース」「セレス」「ウインダム」の3体は、共通パーツがあるんですか?

 

 黄色のパーツは共通ランナーにしてあって、レイアースではこれを使う、セレスではこれを使う、ウインダムではこれを使う、という風にパーツを使い分けています。そのほか、太ももや上腕など四肢のパーツのいくつかは共通になっています。いくつかランナーを共有することで、同タイミングで発売できたんでしょうね。

ただ魔神3体の共通パーツはけっこうあるのに、組み立てるまでは気づかなかったんです。ここが共通なのかと、あとで気づきました。それくらい3体の個性をうまくとらえたキットになっています。だから見事です。

 

──少女漫画原作アニメということで、バリバリロボットアニメ好き以外の方も購入されたのではないかと思います。

 

 そう思います。剣の柄とか塗装したくないなと思っていたようなところも、ある程度塗装してくれていたので、そういうところでもフィギュアとして遊びたい人に親切なキットでした。めちゃめちゃ小さいパーツとかもないキットだったので、普段はあまりプラモデルに親しんでいない「レイアース」ファンの方でも作りやすいと思います。細かいのはフェイスパーツくらいで、あとは素直に組み立てていくだけなので、ある程度時間をかければほとんどの方が完成させられると思います。実際に周りの椎名へきるさんファンの女性にもおススメしたところ、買って組み立ててくれてました。

 

──エフェクトパーツもよかったですね。

 

 たまたま「グランゾート」と「レイアース」のロボットの役割とカラーリングが一致したので、両方に使えてよかったですね。このエフェクトパーツも今後何かと使えると思うので買っておいたほうがいいですよ。

 

ゴッドグラヴィオン

 

 

 大河原邦男先生と大張正己先生の合作のようなロボットです。デザインは大河原さんでアニメの作画が大張さん。大張さん描き下ろしのボックスアートからして勝利ですよね。主題歌が聞こえてきました。

特に「グランカイザー」は完全変形合体ができるなんて、組み上げるまで信じられませんでした。どっかしら組み替え、差し替えがあるだろうし、余剰パーツも出るだろうと思ったら、本当に合体変形できちゃいました。これには驚きました。

 

 

──個人的には腕の収納の美しさに感動しました。

 

 これ、このサイズのプラキットでやることじゃないですよ(笑)。本当に劇中の通りなんですよ、全ての変形合体ギミックが。ほぼ設定どおりの合体ですね。頭の変形だけはアニメの演出的に差し替えになりますけど、これ以外は意地でしょうね。このサイズにすべてを収めたのは本当にすごいです。これが、MODEROIDにおける変形ロボキットの、ひとつの答えだと思います。

何より合体遊びしてて楽しいんですよ。合体ロボはやっぱり合体遊びがしたいです。「グラヴィオン」シリーズはMODEROIDなのでしっかり塗装パーツがあるし、それじゃ厳しいところはきちんとシールで補っているので、シール貼って組むだけで、墨入れもしなくてもきちんと派手さがあるんですよ。フィギュア、おもちゃとしても楽しめてしまう、これまた名作キットです。

 

ダイナゼノン

 

 

──そして泰さんが選ぶベストキットが、「ダイナゼノン」ですね。

 

 合体変形を極力再現するぞ。さらにスタイルもいいものを作るぞ、というグッドスマイルカンパニーさんの思い入れを感じるキットでした。DX版のトイも出ているのにプラキットを出すなんて。実は競合しちゃうんじゃないかなと気になっていたんですが、DXはDXの安心感があり、MODEROIDMODEROIDの扱いやすさがありました。

 

──今回、全塗装されたキットをお持ちいただきましたが、自分の好きな色に塗装できるのがプラキットのいいところですよね。

 

 DXは細かいところまで分解できないですから、塗装したくないですね(笑)。今回、塗装して改めて思ったのが、やっぱりMODEROIDは組み立てて遊ぶことに重きを置いているということです。ただ、やろうと思えばここまで作りこむことができます。

ヒーローロボットだし鮮やかな色で成形されているので、メタリックカラーで作ったりするほうがイメージに合っているのかなと、SNSに投稿されている皆さんの作例を見て思ったりもするのですが、自分は逆にリアル寄りにトーンを落として作ってみました。

今回は分離合体やダイナレックスへの変形は想定しないで、ロボット形態で固定するということで作ったので、見えないところは塗装していないんです。

 

 

──ダイナゼノンは最近のロボットですが、新しさと懐かしさが共存するキャラクターですよね。

 

 合体ロボとしては、いろんなタイプのメカが合体するという久しぶりに感じる面白さがありましたよね。MODEROIDにはなってませんが、「ダルタニアス」がSFメカ、ライオン、人型といろんなタイプのメカが合体したりしてましたし、「コンバトラーV」「ボルテスV」なんかは5種類の異なるメカが合体していたように、ダイナゼノンも地上メカ、水中メカ、空メカと役割がはっきり分かれたメカに加えてコアロボが怪獣。それが合体するとロボットになるという、異なる組み合わせが意外と久しぶりだと思いました。昔ながらのエッセンスを拾おうとすると古臭くなったりパロディっぽくなりそうなんですが、ダイナゼノンはそれがないんですよね。

 

──特撮が原典ということもあって、スーパー戦隊ロボ感もありますよね。

 

 映像の見せ方もそうですよね。劇中でもCGで描かれていました。CGでメカを動かせるようになったのは大きいですね。僕はアニメの絵を描いたことがないんですが、きっとこれを真面目にセル絵で描こうと思ったら、かなり苦労するんじゃないかな。段差とかももっと減るでしょうし、シンプルなデザインになっていると思います。それが、実際は設定画そのままに動かしてるし、そのまま立体物に落とし込めている。このシンクロ感はいいですね。

 

──先日の劇場版で登場した「ローグカイゼルグリッドマン」も商品化が決定しています。

 

 劇場版でローグカイゼルグリッドマンの告知が出た時に、「MODEROIDもこのまま終わらないよな」と思いました(笑)。リアルタイムでやってる(けど出演していない)映像作品って、声優としては嫉妬しちゃうんですよ。でもダイナゼノンに関しては楽しみになっちゃってました。POP UP PARADE(※グッドスマイルカンパニーのフィギュアシリーズ)で出た「南 夢芽」と「飛鳥川ちせ」も買いましたから!

──最後に、今後のMODEROIDに期待すること、MODEROIDへの思いをお願いいたします!

 

 怒涛のラインアップにあっぷあっぷしていますが、僕はそれでいいと思っています。あれも欲しい、これも欲しいと思えることは幸せです。またMODEROIDで初めて知り合うメカたちもいました。そんなMODEROIDは僕にとって顔の広い友人だと思っています。これからもあっと驚くラインアップに期待していますし、各社オリジナルメカを展開していますし、そろそろMODEROIDオリジナルメカなんてのも登場しないかなとひそかに思っていたりします。無茶をするのがMODEROID、無理でもやるのがMODEROID。今後も応援を続けさせてください。

 

泰勇気

泰勇気

無敵超人ザンボット3」放送開始2日前生まれ。幼少期より玩具(特にロボット)を愛し、小学生からプラモを組むようになる。声優となってからもロボット玩具・プラモ好きは変わらずアキバ総研でライターデビュー。

 


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【MODEROID5周年企画!】声優・泰勇気と一緒に振り返るMODEROIDおススメキット5選!