2023年8月7日フィリピン主要メディアは、中国はフィリピンに対し、南シナ海のアユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)に座礁させてあるフィリピンの軍艦を撤去するよう要求した。

 この軍艦は、フィリピンが同礁の領有権を主張するために1999年に意図的に座礁させたもの。

 フィリピンは5日、兵員交代と物資補給のために同艦に近づいた船のうち1隻が中国海警局の艦船に放水砲で妨害されたと非難した。この事件は、中国が南シナ海で挑発的な行動を続けていることを示すもの。フィリピン外務省は、在フィリピン・中国大使を呼び出し強く抗議している。

 中国海警局は7日の声明で、フィリピンセカンド・トーマス礁に船を派遣したり「大規模な修理や補強のための資材」を同艦に送ったりしないよう事前に伝えてあったと主張した。また放水砲の使用は衝突を避けるためだったとし、フィリピンに対しセカンド・トーマス礁を元に戻すよう促した。

 セカンド・トーマス礁は南沙(英語名スプラトリー)諸島の一部であり、中国だけでなくベトナムマレーシアなども領有権を主張している。この海域は豊富な漁場やエネルギー資源が眠っているとされ、戦略的にも重要な位置にある。

 中国は先週末、この海域の主権は「議論の余地がない」として、フィリピンに対し侵害行為をやめるよう求めた。中国は近年、人工島や軍事施設を建設するなどして南シナ海での影響力を強めており、国際社会から批判されている。

 フィリピンは2016年、国際仲裁裁判所に提訴し、中国の南シナ海での領有権主張は無効であるという判断を勝ち取った。しかし中国はこの判断を拒否し、当時のフィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏も対中関係改善のためにこの問題を棚上げした。

 しかし最近では、ドゥテルテ氏も中国の行動に不満を表明し始めており、フィリピン政府も国連安全保障理事会や米国などに支援を求めている。一方、中国はベトナムからフィリピンに圧力をシフトしているとみられる。

フィリピン沿岸警備隊FBから