松本潤が主演を務める大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第30回「新たなる覇者」が、8月6日に放送された。同ドラマで、織田家家臣・柴田勝家を演じた吉原光夫からコメントが届いた。

【写真】柴田勝家を演じる吉原光夫とお市を演じる北川景子 覚悟を決めた2人

■己の中にある「臆病」が少しやわらいだのかも

――柴田勝家をどのような人物と解釈して演じられましたか?

歴史などから猛将であり、家来に対し優しかったなど、“漢っぽさ”が感じられる人物像を感じましたが、この「どうする家康」では、家康と信長の間にあり、どうつなげてゆくか、そして少しサディステック?(笑)な信長様に一生を尽くす理由を探してみました。一人の男にほれるということは自分もあるので理解しましたが、やはり、臆病でもあったのかな、と仮定し少しキャラクターラインに加えて演じました。信秀の時代から織田家に仕え、この家系のカリスマな血筋を肌で感じてきた勝家は、織田家と共にあることで己の中にある「臆病」が少しやわらいだのかも、と。

もちろん、筆頭家老にまでなるということは戦のセンスがあり、強さや気持ちがある武将ではあったのだろうと思いますが、秀吉のような、掴みどころの無い人間に怯えていたのも確かだったと演じながらも感じました。それでもお市と夫婦となり、織田家をつないでゆこうと思ったのは、信長様の全てが輝かしく愛おしく、捧げるだけの価値があると思い、また、どんな時も忠義を尽くし、我慢を強いられたお市のそばに最後までいる事を選んだのも、勝家なりの織田家に対する愛情だったのでは、と感じました。

■ムロさんにやられたという感じでした(笑)

――異なるアプローチで信長を支えてきた秀吉と勝家ですが、勝家にとって秀吉はどのような存在だったと思われますか。また、秀吉とのシーンはこれまで数多くありましたが、特に印象深いシーンがございましたら教えてください。

秀吉というよりも、ムロさんにやられたという感じでした(笑)。ムロさんが本当に現場でも、俳優として、リーダーとしても才覚がある人なのでそのままやられてるな…やられたな…と。勝家にとっては、武将というよりも、「人間」として信長様以来初めて恐ろしさを感じた、「狂気」を持った人物なのだろうと思います。だからこそ、にらみ、尻を蹴り必死に出鼻をくじこうと頑張った…勝家かわいいですね。清洲会議での無礼なほどに接近して見下されたあの日は忘れません(笑)。

■鳥肌が立つほどの恩愛を感じました

――お市はどのような存在だったと思われますか。また、第30回で死を覚悟した勝家は、お市と娘たちに対して秀吉の元へ行くよう勧めますが、お市は拒否します。その姿を見て、どのように感じたと思われますか。

この作品では、特別お市との恋愛シーンがあるわけでもなく、どちらかというと「最後の家臣」という質感でした。作品の最初の方では、お市と家康が二人でいるところをねたんでいるようなシーンもありましたが、勝家はこれまでも織田家のご子息を養育していたこともあるので、お市の事は最後まで、織田家の君主として仕え、織田家の大切なご子女であったのかな、と思っています。ですが、お市は信長様に忠義を尽くし辛抱が多かったと思うので、特別気に掛けた人物ではないのかな、と思っています。

なので最後のシーンでは、北川さん演じるお市の姿には悲しみの中にもどこか解放された自由な雰囲気がありました。茶々が戻ってくる姿には、鳥肌が立つほどの恩愛を感じました。

■北川さん演じるお市は空気が割れるほど凛としていて…

――ご出演回の放送を終えた今のお気持ちはいかがですか。長期に渡る撮影で思い出に残っていること、特に共演シーンの多かった岡田准一さん、ムロツヨシさんをはじめとした皆さんとのエピソードを教えてください。

やはりホッとしている…というのが本音です。もっとがっつり関わりたかったのも本音です。岡田くんとは、大河ドラマ以前に映画でも共演させていただき、彼の一種信長様にも似ている、カリスマ的な部分や、映像やアクションに対する狂気みたいな部分も感じていたので、信長様に仕えるのは容易でした(笑)。

松潤くんとのやりとりが、事務所の中での師弟関係と信長様と家康との関係と重なるところがあり、見ていてほほ笑ましい部分と、ヒヤッとする部分にリアリティーがありました。最初の頃の二人が相撲を取るシーンは、さながら相撲部屋のぶつかり稽古のようで、芝居するのを忘れていました(笑)。ムロさんはもう秀吉だったので、目が怖い…ってずっと思っていました。でも、ムロさんが現場の空気を察していろいろ配慮してくださってました。

家康という何回も描かれている人物を松潤くんが毎回新鮮にトライしようとしてる姿がまぶしかったです。北川さん演じるお市は空気が割れるほど凛としていて、かっこよかったです。

柴田勝家を演じる吉原光夫/(C)NHK