カンロ飴やピュレグミなどでおなじみのカンロ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 村田 哲也、以下 カンロ)は、公立大学法人奈良県立医科大学 免疫学講座(伊藤 利洋教授)研究グループとの共同研究(以下本研究)により、COVID-19軽症患者が柿から高純度に抽出した柿タンニン(柿渋)を含有する飴を口腔内に含み一定時間舐めることで、唾液中のSARS-CoV-2デルタ株を不活化し、口腔内のウイルスに対する柿タンニン含有飴の効果を確認しました。

【概要】

奈良県立医科大学免疫学講座の伊藤利洋教授らの共同研究グループは、カンロとの共同研究で柿から高純度に抽出した柿タンニン(柿渋)を含有する飴を開発し、同飴を口腔内に含み一定時間舐めた唾液がSARS-CoV-2デルタ株を不活化することを試験管内で実証しました。

更に、COVID-19の軽症患者が同飴を口腔内に含み一定時間舐めた直後の唾液中のSARS-CoV-2ウイルス量は検出限界以下にまで減少し、1時間後でも同飴を舐める前と比較して減少していることが確認されました。柿由来の高純度のタンニンを適切な濃度で飴に添加し、このような飴を口に入れることが、唾液中のSARS-CoV-2を不活性化する効果的かつ安価で簡便な方法として、COVID-19の感染拡大を抑制する可能性があることを示唆しています。

本成果から新型コロナウイルス感染症の予防・治療への柿タンニン(柿渋)の応用が期待されます。

本成果は7月27日付(現地時間)で国際科学誌「Viruses」にオンライン掲載されました。https://doi.org/10.3390/v15081636

●背景

 2019年12月以来、重症の肺炎を呈する新型のコロナウイルスSARS-CoV-2による感染症COVID-19)が世界的に大流行しています。感染性・重症度が高く、ワクチンや治療薬が次々と開発・実用化され、一定の成果を上げているものの、新たな変異株の出現などもあり、依然として感染の完全な収束には至っていません。

COVID-19の主要な感染経路は、接触感染および飛沫感染です。無症状もしくは軽微な症状のみの感染者にも感染性があること、また食事・発声などによって飛散する感染者の唾液中に多くのウイルスが存在することが、COVID-19の強い感染性の一因と考えられています。口腔内のSARS-CoV-2を不活化することで、COVID-19の感染伝播を抑制できるのではないかと期待されます。

 タンニンとは、植物に含まれるポリフェノールの一種であり、柿、お茶、ぶどうなどに多く含まれる渋みの基となる成分です。柿から抽出されたタンニンは、古くから柿渋として、革や衣服の防虫、防水や染色に利用されてきましたが、近年、柿タンニンは抗菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、抗酸化作用などの多様な作用を持つことが明らかとなってきており、様々な疾患への応用が期待されています。

●研究の経緯ならびに成果

 伊藤教授と同大学微生物感染症学講座の矢野寿一教授らの研究グループは多様な活性を持つ柿タンニンに着目し、柿より高純度に抽出した柿タンニン(柿渋)が、SARS-CoV-2に対して不活化効果を有することを2020年9月15日に発表しました。またこれまでに、柿タンニンが非結核性抗酸菌に対する抗菌作用やマクロファージの活性化を抑制する作用をもち、柿タンニンを含有する餌をマウスに摂取させることで非結核性抗酸菌感染による肺炎が改善すること(PLoS One, 12: e0183489, 2017)や、柿タンニンを含有した餌をマウスに摂取させることでデキストラン硫酸ナトリウム投与によって誘発される大腸炎(潰瘍性大腸炎モデル)の疾患活動性ならびに炎症を軽減できること(Sci Rep, 11: 7286, 2021)を発表しました。更に、柿タンニンをハムスターの口腔内に事前に投与することで、人為的にSARS-CoV-2を感染させたハムスター新型コロナウイルス感染症モデル)の肺炎重症化が軽減され、さらに感染動物から非感染動物への感染伝播が抑制されることを見出しました。このメカニズムとして、柿タンニンがSARS-CoV-2と直接結合することによってウイルスを効果的に不活化することを明らかにしました(Sci Rep, 11: 23695, 2021)。

 今回、伊藤教授らの研究グループは、カンロとの共同研究で柿タンニン(柿渋)を一定濃度含有する飴を開発し、同飴を口腔内に含み10分間舐めた直後に採取した健常者の唾液がSARS-CoV-2デルタ株を不活化することを試験管内で実証しました。

 更に、COVID-19の軽症患者が同飴を口腔内に含み10分間舐めた直後の唾液においては、SARS-CoV-2ウイルス量は検出限界以下に減少し、1時間後の唾液でも同飴を舐める前と比較して減少していることが確認されました。柿タンニンは細胞やウイルスに付着しやすいため、口腔内にとどまると推測され、今回の結果は、柿タンニンの口腔内投与が一定時間有効であり続ける可能性を示しています。

 これらの結果は、柿由来の高純度のタンニンを適切な濃度で飴に添加し、このような飴を口に入れることが、唾液中のSARS-CoV-2を不活性化する効果的かつ安価で簡便な方法として、COVID-19の感染拡大を抑制する可能性があることを示唆しています。

 本成果から、COVID-19の予防への柿タンニン(柿渋)の応用が期待されます。

※今回の研究から柿タンニンを含有する飴を食することで直ちに予防や治療の効果があるとするものではありません

(図1) COVID-19の軽症患者からの唾液採取手順

 まず口腔内洗浄後、唾液採取(1.)し、比較用のコントロール飴(柿タンニンを含有しない飴)を10分間舐めた直後(2.)15分後(3.)60分後(4.)に唾液採取した。

その後、口腔内洗浄を行い、唾液採取(5.)し、柿タンニン含有飴を10分間舐めた直後(6.)15分後(7.)60分後(8.)に唾液採取した。以上を3名の軽症者患者から採取した。

(図2) COVID-19軽症患者(デルタ株)の口腔内ウイルスに対する柿タンニン含有飴の効果の一例

1.ウイルスコピー数*1は、柿タンニン含有飴を舐めた直後に検出限界以下となり、60分後においても同飴

を舐める前 (pre) や柿渋を含有しないコントロール飴を舐めた後と比較して1/1,000以下であった。

2.ウイルス減少率は、柿タンニン含有飴を舐めた直後に1/10,000以下となり、60分後においても

1/1,000以下であった。

【用語説明】

*1 ウイルスコピー数:定量的PCR法により算出されるウイルスゲノムの数

【論文情報】

掲載誌:Viruses

論文タイトル:Antiviral effect of candies containing persimmon-derived tannin against SARS-CoV-2 delta strain

著者:Ryutaro Furukawa, Masahiro Kitabatake, Noriko Ouji-Sageshima, Dai Tomita, Makiko Kumamoto, Yuki Suzuki, Akiyo Nakano, Ryuichi Nakano, Yoko Matsumura, Shin-ichi Kayano, Hisakazu Yano, Shinji Tamaki, Toshihiro Ito.

DOI:doi.org/10.3390/v15081636

■「公立大学法人奈良県立医科大学」概要

代表 :理事長 細井 裕司

所在地:奈良県橿原市四条町840番地

創立 :昭和20年4月

URL :https://www.naramed-u.ac.jp/

■「カンロ」会社概要

社名  : カンロ株式会社

代表  : 代表取締役社長 村田 哲也

所在地 : 東京都新宿区西新宿3丁目20番2号 東京オペラシティビル37階

創業  : 1912年(大正元年)11月10日

事業内容: 菓子、食品の製造および販売

上場市場: 東証スタンダード市場(証券コード2216

URL : コーポレートサイト https://www.kanro.co.jp/

      KanroPOCKeT https://kanro.jp/

 当社は1912年の創業以来、社名になっている「カンロ飴」を始め、菓子食品業界で初ののど飴となる「健康のど飴」、ミルクフレーバーキャンディ市場売上No.1ブランド※1「金のミルク」、大人向けグミの先駆けでありグミの売上トップブランド※2である「ピュレグミ」など、生活者の皆さまから愛される商品を創り続け、成長してまいりました。直営店「ヒトツブカンロ」では、「ヒトからヒトへ つながる ヒトツブ」をコンセプトにキャンディの魅力を発信しております。

 昨今は、中期経営計画2024で目指す姿として掲げる「人と社会の持続可能な未来に貢献する パーパスドリブン企業」の実現を目指し、戦略の中核に据えている「人財」への取り組みも強化しています。2023年3月には健康経営への取り組みが評価され、経済産業省が推奨する「健康経営優良法人2023」に認定されました。

※1株式会社インテージSRI+ ミルクフレーバーキャンディ市場 2022年4月~2023年3月累計販売金額ブランドランキング

※2株式会社インテージSRI+ グミ市場2022年1~12月累計販売金額ブランドランキング

■パーパス 「Sweeten the Future ~心がひとつぶ、大きくなる。~」

 カンロは、2022年、企業パーパス「Sweeten the Future ~心がひとつぶ、大きくなる。~」を定めました。変化が激しく、先行きが不透明・不確実な時代の中、カンロがこれまで歩んできた道程を確認の上、自分たちの未来への想いを言語化したものです。糖から未来をつくり、糖の力を引き出す事に挑み続けてきたカンロが企業活動の中で培った技術をさらに進化させることで、 「心がひとつぶ、大きくなる。」瞬間を積み重ねて人と社会の持続可能な未来に貢献してまいります。

【本プレスリリースに関するお問い合わせ先】

カンロ株式会社 広報部

担当:・林(はやし:070-2494-6988)・園(その:070-2481-4413)

室伏(むろふし:080-6854-3691)・飯田(いいだ:070-2465-9773)

E-Mail:kanro_PRinfo@kanro.jp

配信元企業:カンロ株式会社

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