プロ野球界にも変革の流れが押し寄せている。写真はイメージ(C)ACPHOTO

 日本野球機構NPB)とプロ野球12球団による理事会と実行委員会が8月7日に行われ、来季から二軍戦のみに参加する新規球団の審査を9月中に終了する日程を確認した。新規参入球団は当初は11月末までに承認する見込みだったが、タイムスケジュールを若干前倒しした格好だ。

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 NPBの井原敦事務局等は、新規参入球団がチーム編成するためにはある程度の時間的な余裕を持たせる必要があり、そのための準備期間に配慮するための措置と説明。「9月末までに結論に近いところまでの話はまとめたい」と方針を示した。

 来季からの新規参入球団については、春先にNPBから公募し、7月31日の締め切りまでに3団体からの申請があった。ルートインBCリーグの新潟、同リーグの栃木などを運営するエイジェック、そして静岡を本拠とした新チーム発足を目指しているハヤテ223が申請した。

 一方でNPBサイドは二軍戦のみとはいえ、プロ野球興行を行う上での最低限の設備などを条件として求めている。特に雨天時の室内練習場の常備は金銭的にも大きな負担がかかる。九州アジアリーグ火の国サラマンダーズは、資金調達ができなかったとして、来季からの参入を断念したことを会見で表明。神田康範社長は「資金調達をする中で、球場が足りないことや併設すべき雨天練習場がないことなど、資金とは別に大きな課題があることが浮き彫りになった」と決して簡単ではない現状を説明した。

 なぜ二軍球団を増やすのか? 一つの狙いは現在奇数同士になってしまっている二軍のイースタン、ウエスタン両リーグの数の是正にあるとされている。かつては両リーグとも6球団ずつに分かれ、毎日3試合ずつ行う日程が問題なく組まれていた。だが、2005年に近鉄がオリックスに吸収合併され、宮城県仙台市を本拠とする新球団・楽天が誕生。これにより地理上の区分からイースタン7(巨人、DeNAヤクルト、西武、ロッテ日本ハム、楽天)、ウエスタン5(阪神、中日、広島、オリックスソフトバンク)と球団数割合が変更された。奇数同士では1チームは試合がないという状況が必ず生まれ、効率的な日程編成ができなかった。

 加えて野球界全体として野球の普及振興のため、プロ野球のチーム数全体を底上げしていくべきという考えもある。

 ハヤテ223は静岡県静岡市が新球団創設の推進に向けた連携協定を締結済み。清水庵原球場を本拠地とする構想だ。残る2団体は新潟県栃木県が本拠地。3球団とも審査を通れば、新潟と栃木がイースタン、静岡がウエスタンに区分されるのが自然に映るが、その振り分けについても協議を重ねるという。

 長く12球団によるフォーマットが固定されてきたプロ野球だが、来春から新たに生じる地殻変動。二軍戦とはいえ多くのファンにインパクトをもたらすであろう変革の流れは、9月中には見えてくることになりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

プロ野球のフォーマットが来年変わる?二軍戦新規参入球団は9月中には内定へ