世界的大ヒットを記録してきた「トランスフォーマー」シリーズの最新作『トランスフォーマービースト覚醒』(公開中)。規格外に強大な最悪の敵“ユニクロン”から地球を守るため、トレーラーから変形するオプティマスプライムなどでおなじみの“オートボット”と、テレビアニメ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」に登場していたゴリラチーターなどの動物からトランスフォームする“ビースト”が共闘をする。

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MOVIE WALKER PRESSでは、本作の日本語吹替版で戦いに巻き込まれる主人公の青年ノア(アンソニーラモス)とニューヨークの博物館に勤めるエレーナ(ドミニク・フィッシュバック)の声を担当した中島健人と仲里依紗を直撃!共に大の「トランスフォーマー」ファンだと豪語する2人に、本作ならではの見どころからアフレコ秘話までを熱く語ってもらった。

■「バンブルビーと同じ新型のカマロを持っています(笑)」(仲)

――最初にまず、お2人が「トランスフォーマー」のことがどれぐらい好きなのかがわかる、偏愛エピソードを教えてください。

中島「僕はメガトロン(『ビーストウォーズ』シリーズに登場する、地上最強の恐竜ティラノザウルスに姿を変える破壊大帝)のフィギュアを家に飾っています。それぐらいファンなんですけど、今年の2月にLiLiCoさん宅に2ヶ月遅れのクリスマス・パーティで行かせていただいた時に、LiLiCoさんの旦那さんの小田井(涼平)さんから『ギフトがあるよ』って、めちゃめちゃでかいオプティマスプライムのフィギュアをいただいて。それを抱えて、寒空のなか帰った想い出があります(笑)」

――メガトロンは家のどのあたりに飾られているんですか?

中島「僕の作曲部屋みたいなのがあって、その部屋の棚の一番上ですね。これまではメガトロン1体だけだったんですけど、そこにいまはプライムも飾らせていただいています」

――仲さんはいかがですか?

仲「私は、(『トランスフォーマー』が好きすぎて)自分の車がバンブルビー(シボレー・カマロからトランスフォームするオートボット)と同じ車だったぐらいなんですけど…」

中島「それ、十分スゴいですよ!(笑) 。色も一緒ですか?」

仲「一緒、一緒。全部黄色!」

中島「それってもう(トランスフォーマーの)エリートじゃない?」

仲「しかも免許取り立ての時に買ったんですよ」

中島「えっ、デビュー車がそれだったってこと?」

仲「そうそう早く乗りたいから、教習所も頑張れたんだと思います(笑) バンブルビーのあのクリッとした丸い目が可愛くてしょうがないって感じで。喋れないけれど、音楽で気持ちを表したり、ラジオからセリフが出てきたりするし、カッコいい系のほかのロボットと違って、そこが好きですね」

――お2人の「トランスフォーマー」との最初の出会いは?

中島「僕は全編3DCGアニメの『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』から入ったんです。それが3歳ぐらいの時だったんですけど、下町兄弟というアーティストが主題歌のオープニングから3DCGアニメが展開されていたのを観て、子どもながらにそれが結構衝撃だったんです。そこから2Dの『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー』を続編の『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』と一緒に観るようになりました。そして2000年代に入って、マイケル・ベイ監督がスティーヴン・スピルバーグ監督の製作総指揮で『トランスフォーマー』の実写版を作ると最初に聞いた時は、胸アツになったのを覚えています」

仲「私はその実写版の第1作を見たのが最初ですね。ちょっといじめられっ子の青年サム(シャイア・ラブーフ)が、お父さんの許しを得て行った車屋さんで、バンブルビー(中古のカマロ)と出会うんです。で、購入したバンブルビーのおかげで狙っていたマドンナみたいな可愛い女の子が、彼と仲良くなるような王道の展開になるんですけど、『このポンコツ車』みたいなことを言われていたパンブルビーが、すれ違いざまにカッコいい新型のカマロに“ガン!”って変わるシーンがあるんですよ。その“ガン!”って変わるところが大好きで。だから私は、そのバンブルビーと同じ新型のカマロを持っています(笑)」

■「声だけで表現しないといけない難しさを感じました」(中島)

――今回はそんな大好きな「トランスフォーマー」のアフレコですから、すごく興奮されたと思います。本作で一番力が入った、熱くなったセリフを教えてください。

中島「熱くなったのはやっぱり戦闘シーンですね。僕は実写映画の吹替えが初めてだったので、どうすればいいのかわからない部分も多かったんです。特に戦闘シーンは『ウワ~!』って叫んだりするから、すごい喉を使うんですよ。しかも僕が今回声を担当した主人公のノアは、後半に意外な姿で戦闘に参加するので、これまでの『トランスフォーマー』シリーズの登場人物とは違うアプローチで声を出さなければいけなくて。そこは自分との戦いだったし、巨大な悪に向かって戦いに行くので、遠くにまで声を届けることを意識しました。靴を脱いで、全身を使ってアフレコしましたからね。あとは弟のクリス(ディーン・スコット・バスケス)とのシーンかな?」

――弟のクリスと約束するシーンですね。

中島「そうです。ほかにもミラージュ(ノアの相棒になる、964型ポルシェ911シルバーからトランスフォームするオートボット)とのシーンは、飲み友達を誘うような感覚で呼びかけたり、彼のことを大切に思っているのを伝えなきゃいけない場面があったり、いろんなニュアンスが必要で。声だけで表現しないといけない難しさは、今回声優を初めて務めて感じたことです」

――声をスムーズに使い分けることはできましたか?

中島「『ビーストウォーズ』を長年演出されていた音響監督の岩浪美和さんがディレクションしてくださったので、なんとかできました。それに里依紗さんのアフレコを聞かせてもらって、『ヤベ~、これに追いつかなきゃいけないんだ!』という、その時の焦りもプラスに働いたのかもしれないです」

仲「やめて!照れる~(笑)。私が声を担当したエレーナは、たぶんニューヨークから出たことのない女の子だったので、この映画での戦いは彼女にとって初めての大冒険だったんじゃないかなと思っています。でも、それぐらい大変なことに巻き込まれながらも、研究者でもあるから専門用語をけっこう早口で言わなきゃいけないところがあるんですよ。演じていて熱くなったのはそこですね。専門用語は苦手だけど、早口でよどみなく喋って、頭がいい子に見えるように頑張りました(笑)」

――特に言い難かった専門用語は?

仲「えっ、なんだろう?」

中島「『ヒエログリフ(神々の言葉の文字)』とか?」

仲「あ~、それだ!ほかにもそういう用語がいっぱいあって、台本にちゃんと書いてあるけれど、喋るのが難しかったな(笑)」

――仲さんも中島さんが吹き込んだ声を事前に確認されたりしたんですか?

仲「私は中島さんより先のアフレコだったんですよ。でも、インタビューの前に中島さんの声が入った映像を見せてもらったら、初めてとは思えないぐらいすごく上手でビックリしました」

中島「マジですか?」

仲「歌で基礎があるからか、声がきちっと通っていたし。すごく聞きとりやすいなと思ったんですけど、本当に初めてなんですよね?」

中島「初めてです」

仲「アニメーションとかもやったことないの?」

中島「ショートアニメをほんの少しやったことがあるぐらい」

仲「なのに、スゴい!ノアはずっと出ているし、アクションもいっぱいあるからすごく大変だったと思うけれど、初めてとは思えなかった」

――先ほどお話に出た岩浪さんは、アグレッシブな演出で知られていますけど、今回のアフレコではどうでしたか?

中島「生半可な気持ちでやってないですよっていうことをアピールしたくて、僕は今回アフレコの時にメガトロンのフィギュアを持って行ったんですよ。で、『メガトロンのファンなんです。「ビーストウォーズ」のあの空気感が好きなんです』って岩浪さんに伝えたら、『君は変な人だね』って言われました(笑)」

仲「変な人?(笑)」

中島「そうなんですよ。岩浪さんも相当変わった方だと思うんですけどね(笑)。ただ、本作はけっこうシリアスな話だから、あんまり柔軟にふざけられるシーンが実はないんです。だから、岩浪さんが本作の特別映像を作る時にめちゃめちゃ本気でふざけてきて。その映像では、ナイトバード役の柚木涼香さんやオプティマスプライム役の玄田哲章さんと共演をさせていただいたんですけど、アドリフで芝居する箇所もけっこう多くて、僕も何回『セクシーサンキュー』って言ったかわからない(笑)」

仲「え~?(笑)」

中島「岩浪さんならではのアドリブ合戦で。テレビアニメ版『ビーストウォーズ』の次回予告も、本当にふざけまくった無法地帯みたいな状態でしたから。そのオマージュみたいな感じの特別映像なんですけど、『ビーストウォーズ』の世界観に入らせていただけたのはすごくうれしかったですね」

仲「私は、岩浪さんに『バンブルビーに乗ってるの~?』って聞かれたのが印象に残っています(笑)。あと収録するのがめちゃめちゃ速いんですよ。自分の録りたいプランがしっかりしているので、『もう回してました。はい、OK!』って言われて、『速っ、嘘?』って思うことが多かったです。いろんなパターンを収録する監督がほとんどなんですけど、岩浪さんは無駄がゼロ。だから私たちもやりやすかったですし、岩浪さんの格好もそうだけど、ベテランの方ということが全身から伝わってきましたね」

中島「あの甚兵衛みたいな服ね」

仲「そうそう、その風貌からして、不思議な空気感でした」

■「『僕はちゃんとものすごい熱い想いを持ってます!』っていうのを本作で証明したい」(中島)

――最後になりますが、お2人から本作をこれからご覧になる方に、今回の作品ならではの見どころや映画館の大スクリーンで観るとより一層楽しめる魅力を熱く語っていただけますか?

中島「僕は配信作品もすごく好きだし、携帯や家のプロジェクターで観ることもあるけれど、映画館で観る醍醐味はあの没入観とほかの人と感動を共有できるところだと思います。同じ空間で一緒に過ごしているほかのお客さんと感動を共に味わえるところが、やっぱり映画館のよさだし、ポップコーンやドリンク、パンフレットを買ったりする、鑑賞に付随するアクティビティみたいなものも映画館の楽しみですよね。今回の『トランスフォーマービースト覚醒』には予約限定商品みたいなものもあるし、映画館には子どもも楽しめるアクティビティがあるので、そこも注目していただきたいですね。

映画の内容に関しては…、里依紗さんが一般の方に向けてのメッセージを語ってくれると思うので、僕は『ビーストウォーズ』ファンに向けて言わせてもらいます(笑)」

――担当が分かれているんですね(笑)。

中島「はい。ファンはとにかく感動すると思います。今回は『シリーズ史上最高傑作』と銘打っているんですけど、僕も本当にそうだなって思います。あと『ビーストウォーズ』がハリウッドで実写化されるというのは、もう必然だったと思っていますし、それこそテレビアニメ版もハリウッドを目指してクリエイティブされていたような気もします。これはそんな自分のような『ビーストウォーズ』ファンの願望が叶う映画なんですよ!

そんな本作に、僕のような新参者が急に主人公の声優に選ばれたことに対して、『誰、コイツ?』『俺らの「ビーストウォーズ」をなんだと思っているんだ?』という不満を感じているファンの方もいるかもしれません。なので『僕はちゃんとものすごい熱い想いを持ってます!』っていうのを本作で証明したいんですよね。それぐらいの熱量でアフレコさせてもらったし、僕が演じるノアやビースト戦士たちに本当に注目してもらいたいです。

個人的には、コンボイ(本作での名称はオプティマスプライマル)がハリウッドで実写化したのが本当にうれしいんですよ。本当に好きだったから。ほかにもチータス(本作での名称はチーター)やライノックス、敵対するスカージなどが大暴れするので、ファンはきっと心が踊るはずです。さっきも言ったように、ビースト戦士たち、そしてビーストファンたちの長年の願望がこの映画でついに叶うし、次の願望も見つかると思います!」

仲「スゴい熱量だね!この先もず~っと『トランスフォーマー』に参加したほうがいいかもしれない(笑)。でも、『トランスフォーマー』を知らない新しい方たちにも観てもらいたいし、そこも大事ですよね。それに私はバンブルビーが好きでシリーズを観るようになったけれど、『トランスフォーマー』は男の子の映画っていう印象が強いから、観てこなかった女性も多いと思うんですよ。そういう女性たちにもぜひ観てもらいたい。今回は特にノアと弟のクリスミラージュを中心としたたくさんのドラマが組み込まれていて、キャラクターたちが選択を迫られる局面も随所で描かれているので、シリーズを初めて観る方にも感動していただける気がするし、絶対に好きになってもらえると思う。それこそ、過去の作品も観てみようという気持ちにさせてくれる作品になっていて、この続きはどうなっていくんだろうっていうワクワク感もあるから、映画館で観ないともったいないですよ!

あと映画館では360度全方向からの音に包まれるから、映画にのめり込めるし、自分がノアやエレーナ、ミラージュになったかのような感覚が味わえる。この手の映画でも最大級の敵も登場するし、『トランスフォーマー』は映画館で観るべき作品のトップだと思います!」

取材・文/イソガイマサト

カッコよすぎる…中島健人&仲里依紗の撮り下ろしツーショット!/撮影/河内 彩