アメフト部の学生が覚醒剤取締法違反と大麻取締法違反の疑いで逮捕された事件を受けて、日本大学林真理子理事長が8月8日、都内で開いた記者会見で、学生や保護者らに心配をかけたことを「深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

この日の記者会見では、調査にあたった澤田康広副学長が説明。昨年11月には大麻と思われるものを吸ったと自己申告した部員を特段の処分なく「厳重注意」で済ませたことも明らかとなった。

登壇した林理事長らは「隠ぺいとは考えていない」と繰り返したが、記者会見では、大学の対応に厳しい指摘が相次いだ。

ある日大生は「この会見での説明だけでは、日大の(悪い)イメージの払しょくは果たせない」と受け止め、これから控える就職活動への不安を吐露する。

●「隠蔽ではない」と言うが…

事件をめぐっては、今年6月と7月に警察からの情報提供を受けて、大学が独自に学生寮を調べたところ、7月6日に「茶葉」や「カス」のように見える植物細片や錠剤が見つかった。警察の鑑定によって、植物細片が大麻と判明し、錠剤から覚醒剤成分が検出されたという。

しかし、大学から警察への報告は12日間も経過した7月18日だった。不審物を大学に持ち帰った澤田副学長は「不審物の発見時点で違法薬物の確信がなく、学生へのヒアリングを終えてからまとめて報告しようと思っていた。どうかご理解ください」と釈明した。

●日大生「就活に影響がなければよいのですが…」

この会見を聞いていた日大の学生(3年生)は、弁護士ドットコムニュースの取材に「どうしてもモヤモヤが残る」と話す。

「捜査の関係上、大学としても言えないことがあるのはわかるのですが、学生からのヒアリング内容や保護者説明会でのやりとりが伝わってこなかったのは残念です」

自己申告」した学生と逮捕された学生が別の人物であるかどうかは明らかにされず、複数の学生が違法薬物にかかわり、「蔓延」しているのではないかとの疑惑は払しょくされなかった。

先の学生は、これから就職活動を控える身として不安を感じている。

「『日大』でひとくくりにされるのは怖い。就活に影響がなければよいのですが…」

日大をめぐっては、2018年の「悪質タックル問題」、2021年の「前理事長の背任事件」が大きく報道されて、続けざまに「ブランド低下」が指摘された。

タックルのときはわかりませんが、前理事長のときには、就活で不安を抱える学生は私のまわりにも、たしかにいました。実際に具体的な不利益があったとは聞いていません

ただ、今回の問題はこれまでと毛色が異なるもので、不安はどうしても残ってしまいます。違法薬物は学生自身の問題でもあるからです。蔓延していたのかという不安もあります」

この日の記者会見には、日大の大学新聞に所属する学生記者も参加し、ポータルサイトなどを通じて学生への説明がなされないかと質問した。

アメフト部薬物問題の会見に「モヤモヤ残る」 就活控えた日大生が「不安」口に