【元記事を音楽ナタリーで読む】

超特急が昨日8月8日に東京・東京ガーデンシアターでワンマンライブ「BULLET TRAIN Spring Tour2023『B9 Unlimited』8号車の日」を開催した。

【写真】新体制初披露曲も続々!超特急「8号車の日」レポートをライブフォトで

自身のファンを「8号車」と呼ぶことから毎年8月8日を“8号車の日”とし、ライブやイベントなど特別な催しでファンへの感謝を伝えている超特急。2023年の8号車の日は、5月にスタートした全国ツアー「BULLET TRAIN Spring Tour2023『B9 Unlimited』」の最終公演にして追加公演という位置付けで行われた。また、昨年の8月8日に行われたライブで新メンバーとしてシューヤ、マサヒロ、アロハ、ハルの加入を発表し、9人の新体制での第1歩を踏み出した超特急にとって、この日は“9人体制1周年”の記念日でもある。ライブの舞台は、1年前と同じ東京ガーデンシアター。新メンバー発表を控えていた昨年の開演前の場内に漂っていた緊張と期待の入り混じる気配とは打って変わり、満員の客席には大きな期待と高揚の中で9人の登場を待ち望む、晴れやかなムードが広がっていた。

3月にリリースされた9人体制初のアルバム「B9」の名を冠した今回のツアー。徐々にボリュームアップしてゆく場内BGMが開演を知らせると、ビジョンに映し出された「B9 Unlimited」のツアータイトルの前に、9つのシルエットが浮かび上がる。重低音響く「overture」に合わせて1人ひとりの姿がスポットライトに浮かび上がると客席からは歓声が9度沸き上がり、中でも最後に姿を見せたユーキの鮮烈なブルーの髪色がお披露目された際にはひときわ大きな歓声が。気合いを全身にみなぎらせながら階段を降りた9人は「B9」のリードトラック「MORA MORA」でライブの火蓋を切り、この曲に込められた“愛を網羅する”というメッセージの通り、妖艶さとダイナミズムを内包したパフォーマンスで8号車を挑発する。

曲終わりでタカシがつぶやく「ヤバい予感」の言葉通り、1曲目から危険な香りでオーディエンスを惑わせた9人は、2曲目のファイトソング「KNOCK U DOWN」でそのムードを深化させる。クールなメロパートと熱気あふれるサビパートのコントラストが鮮やかなこの楽曲では、ボーカルのタカシとシューヤのパワフルなハイトーンボイスがオーディエンスの耳を奪う。“超特急史上最高音”とメンバーが評する超高音のサビパートを地声で歌い上げるという圧倒的なスキルは場内に渦巻く熱をグンと引き上げ、マサヒロを筆頭としたダンサーメンバーも力強い躍動で“闘志”をむき出しにした。

“Cool & Stylish”というアルバムコンセプトを強く投影した2曲に続いてドロップされた「Beasty Spider」(2016年リリース)もまた、超特急のクールかつスタイリッシュな側面を打ち出した楽曲。ステージ奥のビジョンは9色のトランプが瞬くグラフィックに彩られ、メンバーはセットのあちこちから花火が噴き上がるド派手な演出の中、9人バージョンに生まれ変わったダイナミックなダンスフォーメーションで8号車の熱狂を誘った。ステージ上を行き交うスコープ型の光が9人の姿を捉えた「Kiss Me Baby」では、この曲のセンターを張るユーキが「ほら、今すぐ俺とキスしようよ」と言い放って悲鳴のような歓声を誘う。観客の声出しの規制がなくなり、この曲をパワフルに彩る8号車のコールも今回のツアーから復活。約3年間のブランクを感じさせないほど呼吸がそろった客席からの声はライブの勢いを加速させ、「8号車はメンバーの一員」という超特急の信条をその場にいる誰もが体感するような一体感を巻き起こした。

4曲を終え、自己紹介の時間を作った9人。8号車の日に際し、カイは「僕たちからたくさんの愛を伝えたいと思います!」と誓い、タクヤは「皆さんおめでとうございます。最高の1日にしましょう!」と8号車に祝福を送る。また、ヘアカラーでイメージチェンジしたことに触れたユーキは「(メンバーカラーがターコイズブルーの)アロハ単推しです!(笑)」と言って8号車を沸かせ、アロハはどこか照れ臭そうに「ありがとうございます!」と反応していた。

「今日しか味わえない時間を、過ごせるー?」「健康的に、楽しめるー?」と、どこかぎこちない呼びかけで8号車を困惑させたリョウガが「引きオタニートにはコール&レスポンスは無理!」と言って丸投げすると、「陽キャにやれということですね?」と役目を買って出たアロハが元気いっぱいに「この調子のまま走っていきましょう!」と8号車を鼓舞した。続く「Winning Run」は、ニュージャックスウィング調のご機嫌なサウンドが楽しい「B9」収録の楽曲。アロハは得意のフリースタイルを織り交ぜつつ、底抜けにブライトなダンスでステージを牽引してみせた。そんなアロハのスクラッチポーズから流れるように展開した「No.1」も、今ツアーで9人体制バージョンが初披露された楽曲。8号車による「(メンバー名)がNo.1!」というコールが壇上のメンバーを盛り立てる中、ダンサーメンバーがソロをつなぐ間奏パートでは、ブレイクダンスのフロア技を決めたハル、アクロバティックなソロで注目を浴びたアロハ、鮮やかなハイキックを繰り出したタクヤ、そして連続5回のバック転を見せたユーキと、メンバー間の熾烈なダンスセッションがオーディエンスの興奮を誘う。「B9」リリース時、ユーキはインタビューで「(アルバムコンセプトの)“Cool & Stylish”はある意味原点回帰」と語っていた。「Kiss Me Baby」と同様、グループ活動初期の2013年からたびたびファンを沸かせてきたクールな人気曲が新たな力を得て輝きを増す様子からは、ユーキの言葉の真意と「B9」ツアーのセットリストにこの初期楽曲が組み込まれた意味が見てとれるようだった。

オールブラックのスタイリッシュな衣装で駆け抜けたオープニングパートを終え、メンバーが姿を消した舞台上には都会のビル群の夜景が浮かび上がる。そして、タカシの優しいファルセットが導いた「Thinking of You」でメンバーが再び姿を見せると、9人が身にまとっているセットアップスーツの濃紺からピンク色へと移行するグラデーションが聴衆の目を奪った。夜の情景の中で大切な人を思う優しい気持ちを歌い上げるこの曲では、これまでの披露曲とは打って変わり、優美なダンスで8号車を魅了した超特急。美しい連続ターンを見せたタクヤを筆頭に、ダンサーのシアトリカルなパフォーマンスはタカシとシューヤの柔らかな歌唱と相まって、観る者を楽曲の世界観へと引き込んでいった。続いて「美女と野獣」をイメージソースに制作された「シャンディ」が披露されると、シャンデリアの光がステージを照らし出す。シューヤが階段に、タカシがセットの上部に置かれたアンティーク調の椅子に腰かけて歌声を響かせる中、カイはときに苦悶の表情を浮かべながら“愛”に気付くまでの苦悩をドラマチックに表現してみせた。

Thinking of You」「シャンディ」の流れで、夜が深くなってゆく時間の経過を表現した超特急は、続く「Before Dawn」で“夜明け前”の情景を描き出す。2019年のリリースながら今ツアーがパフォーマンス初披露だったこの「Before Dawn」は、愛し合う2人の親密な時間を歌う楽曲。ボーカル2人の繊細な声の重なりがムードをグッと深め、そのハーモニーに乗せて踊るダンサー7人のセンシュアルな身のこなしは、曲の物語を雄弁に伝えた。ストーリー仕立てで組み上げられたロマンチックなセクションを経てのMCタイムでは、今ツアーの衣装を担当したカイとタカシ、それぞれのこだわりが語られる場面も。ここまでの2着を手がけたカイは、1着目の黒い衣装について「アルバムビジュアルから世界観を引き継いで、アップデートしたイメージ」と解説。そしてグラデーションのセットアップについては「夜から朝への時間の経過を衣装でも表現したくて、星空から朝焼けに移りゆくイメージでグラデーションを作りました。衣装からも僕らのメッセージを受け取ってもらえたらうれしいなと思います」と語った。

「僕が考えた衣装には、僕自身も大好きな、長く愛される“あるアイテム”を使っていて。そのアイテムのように、僕らも長く愛されたら」。タカシのそんな思いが込められたデニム地の衣装に着替えたメンバーがパワフルに躍動するダンスセクションが届けられるとライブも折り返し。「B9」収録のアッパーチューン「Typhoon」ではダンサーメンバーもボーカルを取り、息もつかせぬほどハイスピードなマイクリレーでこれまで培ってきたチーム力を8号車に見せつける。「Typhoon!」の声に合わせたシャープなターンで文字通りの熱い旋風を巻き起こした9人は、ここで勢いを加速するべく夏のキラーチューン「Summer love」を8号車に贈る。9人体制バージョンのパフォーマンスがフルサイズで披露されるのはこの日が初めてとあり、「夏に飛び込め」の歌い出しから8号車の歓喜の声が。メンバーは弾けんばかりの笑顔とキュートポップに全振りしたダンスでまぶしい夏の恋を描き出し、「I love you…baby」というスイートささやきを担ったシューヤは人差し指でハートを書いてキラースマイル。音楽の楽しさ、踊ることの楽しさを全身、全力で表現する彼らの幸福感に満ちたパフォーマンスは「ラキラキ」でも続き、コロコロと気まぐれに表情を変化させるハルを中心に、9人が放つ底抜けにポジティブなパワーは会場全体に笑顔の花を咲かせていた。

ラキラキ」の余韻を引きずり、ぐるんぐるんと大きく上半身を旋回させ続けるハルに「長ーい!」とツッコミを入れたのはリョウガ。「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど」へと進むため、この曲のセンターを務めるリョウガがそのときどきの“怒り”をぶちまけるのが恒例となっているが、「生配信? 収録? 関係ねえよ。もう辛抱ならん!」と語気を強める彼がこの日放ったのは「正直に言う。8号車たち。マジで好き! 好きで好きでたまんねえんだよ。俺がなんか言ったら『キャー!』って言ってくれて。優しいな!? すげえいい笑顔じゃねえかよ!」というまさかの告白。怒りに見せかけ、いつになくストレートな愛をぶちまける姿に8号車が大いに盛り上がる中で始まった「激おこ」ではメンバーが客席に降りて8号車を全力で煽り立てる。メンバーと8号車が一体となって作り上げる狂騒は「超えてアバンチュール」で最高潮に。奇想天外な変顔で会場を牽引するリョウガに、オーディエンスからは「リョウガのせい!」という力強いコールが送られ、客席から熱い声を受けたメンバーもまた無尽蔵のスタミナを見せつける超ハイテンションなパフォーマンスでステージを縦横無尽に駆け抜けた。

ライブの鉄板曲2曲で、おかしくも頼もしい無二のリーダーシップを発揮したリョウガは、「今日で1年が経ちました。本当に最高の仲間だ!」と思い切り叫んだ。ここで鳴り響いたのは「a kind of love」の壮大なイントロ。温かな愛を歌う曲でありながら“新たな旅立ち”の意味も内包するこの曲が現体制で披露されるのはこの日が初めてとあり、客席からは驚き混じりの声が上がる。いつ何時も優しく頼もしい笑顔を8号車に見せながらこの曲を届けてきたカイ、リョウガ、タクヤ、ユーキ、タカシが作った揺るぎない基盤に、鮮烈な彩りとさらなる推進力を与えるシューヤ、マサヒロ、アロハ、ハル。9人が提示した「a kind of love」は力強い優しさにあふれ、その希望に満ちたパフォーマンスを8号車は熱い眼差しで確かに受け止めていた。

タカシが「もっともっと熱くなれますか!?」、シューヤが「ここにいる全8号車、俺たちに声を聴かせてくれ!」と叫ぶと、祝福感に満ちた8号車の歌声が1つになって9人の立つステージに降り注いだ。華やかにテープキャノンが放たれる中で鳴り響いたのは「fanfare」。8号車を「僕らの時代」へと導いてゆくこの曲にはメンバーが“楽団”に扮する場面があり、シューヤはシンバルマサヒロは横笛、アロハはベース、ハルはハーモニカで超特急に新しい音色を加えてゆく。メンバーも8号車も一体となって歌声を響かせる中、タカシは圧巻のロングトーンを響かせて充実感いっぱいの笑みを浮かべた。

感情をたかぶらせ、顔をくしゃくしゃにしたユーキが心のままに伝えたのは「ホントに今日は楽しかった。8月8日、8号車とこんな素敵な日を迎えられて幸せです。この先も一緒に歩いていきましょう」という願い。本編のラストを飾った「Together As One」でも、メンバーは渾身の歌唱、渾身の感情表現で8号車への感謝の思いを形にしてゆく。温かく豊かな響きをたたえたタカシとシューヤのハーモニーに身を委ねながらソロダンスをリレーするダンサーメンバーが見せる表現力に満ちた一挙一動に、8号車もまた熱い眼差しを送る。「手を取り合って未来へ進もう」というメッセージを最後に届け、ステージをあとにした9人。列の最後尾を歩くタカシとシューヤは、お互いに肩を組み合う背中を8号車に見せながら舞台奥へと姿を消した。

ユーキの「アンコールありがとう!みんな、ここから夏、もっと楽しんじゃおうぜ!」という声を合図に「浮つきWAVES」でアンコールがスタートすると、メンバーは客席の各所から登場。アリーナエリアから最上層まであちこちに散らばった彼らは思い切りタオルを振り回しながら客席通路を駆け抜け、会場全体が一斉にタオル回しで盛り上がる壮観を作り上げた。そして、ここで9人は今の思いを1人ずつ8号車に伝えることに。活動1周年を迎えた2桁号車のメンバーから順にマイクを握り、シューヤは「舞台裏で、新メンバー4人で緊張しながら、手をつなぎながら待っていたあの時間、あの景色はずっと忘れることはないと思います」と1年前を振り返る。ツアーの濃密な時間を9人で過ごすうち「(過去の思い出を)超えられるんじゃないかな」と感じるようになったという彼は「本当に、自分にとって幸せな日々を送らせていただいています。この幸せを8号車のみんなと、メンバーと、ずっとずっとこの先も一緒に感じていたいと思っています」いう願いを口にした。

12号車のマサヒロが振り返ったのは、周囲の冷たい視線を背に受けながら、大好きなダンスのために山口から上京してきたという過去。自らの信念を胸に夢を叶えた今を「(上京から)6年後、このステージに立って、これだけの皆さんの前でダンスを踊って、笑顔を届けられて、僕は今、本当に幸せです」と噛み締めた彼は、目を真っ赤にしながら「今日は両親が来ているけれど、本当に、ありがとうと伝えたいです」と感謝の思いを伝えた。マサヒロ同様、ダンスへの情熱にあふれる13号車のアロハが語ったのは「去年の目標は、いろんなものを吸収するということだったんですけど、もう1つ、裏で目標というか自分の課題があって。それが、自分のダンススタイルを捨てる、新しい自分を発見するということでした」と明かす。メンバーの1人として超特急の完成されたダンスに向き合うために決めた目標は「達成しつつある」と手応えを語りながらも「でもまだ俺、全然本気出せてないっす」とさらなる野心を見せるアロハの本気を、壇上のメンバーは温かな眼差しで受け止めた。

「3人、みんないいこと言い過ぎじゃないですか?」と困ったような笑みを浮かべたのは14号車のハル。「考えてたこと全部飛んじゃって」と言いながらも「皆さんの笑顔がすっごく素敵なんですよ。皆さんの笑顔が全国で見れたことが、本当によかったなと思っています」と、8号車への感謝を交えてツアーの感想を語った彼は「最近ちょっと、体力面、精神面ですごくキツかったんですけど、メンバーみんながすごく支えてくれて。今日のリハも本当に参加できなくて、申し訳なさと『大丈夫かな』っていう不安がめちゃくちゃあったんですけど。もう逃げ出したいくらい不安だったんですけど、みんながすごい優しくて、いつも通りに接してくれるから、リラックスしてステージに立てました。この8人がいなかったら僕はここに立てていないです」と、すぐそばで自身を支えてくれるメンバーへ向けた思いを、声を震わせながら口にした。

4人の言葉に静かに耳を傾けていた1桁号車の5人もまた、それぞれの思いを8号車に伝えていく。観客の声出しが解禁されたツアー初日公演で、8号車が響かせた歌声に涙をあふれさせていたカイは「皆さんの声を聞けなかった3年間がすごくしんどかったし、つらかった」と明かし「僕にとっては皆さんが誇りですし、僕のことを誇りだと思ってもらえるような活動をしていきたいなって思います。……3年前の自分に『生きてるぞ』と伝えたいですね。これからも超特急を、僕を信じていてほしいなと思います」と、8号車の支えに感謝を示す。「4人が加入してくれて、今日は記念日ですね」と切り出したのはタクヤタクヤは「去年は同じ楽屋でも、5人と4人で分かれていたんですよね。だけど今年楽屋に入って、メンバーがぐちゃぐちゃになっちゃってる光景を見て、『ああ、幸せだな』って思いました。メンバーといると、そういう些細な幸せに気付かされるというか、うれしいなという気持ちになります」と、彼らしい優しい眼差しで捉えた1年の変化を8号車に伝える。タクヤに続き「この1年、濃厚な日々を過ごせている実感がある」と口にしたユーキが見据えるのは、9人がこれから進んでいく未来。「次の1年はさらに濃い1年になる。8号車の皆さんに『覚悟しとけ』と言えるくらい、分厚い辞書くらいの1年にしたいと思っている」と力強く続けた彼は「“この先”は明確に見えているので。8号車と一緒に、最高の夢をつかみ取りに行きたいと思っているので、これからも応援よろしくお願いします!」と燃えるような眼差しで8号車に訴えた。

タカシは「ずっと右肩上がりに上がっていくのが超特急」とグループに懸ける思いを語り、「超特急ってこんなにすごいんだぞ、これだけたくさんの音楽ができるんだぞと、周囲に伝えられるメンバーでいたい」と続ける。さらに野心を持って活動していきたいと情熱を燃やす彼からは「1人で抱えていたものも、9等分するとすごく気持ちが軽くなるなと思った1年でした」と、ポジティブな変化を明かす言葉も。そして、最後の挨拶を担ったのはリーダーのリョウガ。「今までもずっと、リーダーだからという理由で最後にオチを任されて、面白いことを言って爆笑をかっさらってきたんですけど……」とつぶやく彼は「今日は特別な日ですし、両親からも『長い。グダグダ。簡潔に』と言われているので、深い簡潔な言葉をバーンと言って終わりたいと思いまーす!」と宣言する。自ら上げたハードルに8人と8号車の注目が集まる中、彼が放ったのは「僕たちを僕たちでいさせてくれてありがとう」という、まっすぐな感謝。各所のムービーカメラに向けて同じ言葉を繰り返しておどけたリョウガは「気持ちとかはパフォーマンスに詰まっていると思いますし、この言葉もね、みんな深読みしてもらって、俺を過大評価してくれたらうれしいでっす!」と続け、会場中を笑顔にして場をまとめ上げていた。

「Call My Name」のパフォーマンスでアンコールが締めくくられてもなお8号車が超特急を求める声は止まず、ライブはダブルアンコールへと突入。感情をたかぶらせたユーキの「皆さんと一緒に、この先、最高の夢に向かって。最高のメンバーと走っていきたいと思います。みんな、この曲やらなきゃダメだよ。行こう!」という声で始まったのは、1年前、9人の超特急の“始まりの曲”になった「gr8est journey」だ。晴れやかに未来を照らす希望の歌に思いをあふれさせたハルは涙で肩を震わせ、その様子を見たカイは力強くハルの肩を抱き寄せる。メンバーの表情にはそれぞれの深い感慨がにじみ、彼らが見せるがむしゃらでひたむきなパフォーマンスに、客席の8号車も力の限りにペンライトを振って熱い思いを送っていた。

「人生この先、何が起きるかわからないと思うんです。いろんな感情になるし、不安や葛藤だってあると思うでんすけど、そういった感情でさえも共有して、笑顔に変えられる場所がここにあるんやなと思うと、改めて、僕たちって最高に幸せ者やなと思います。この先、1つだけ断言できること。それは、僕たち超特急は必ず、ドーム以上の規模のステージに立つアーティストになる。最強のグループになるって、強く思っています。そんな僕たちの、聴く人をいろんな感情にさせてしまう超特急の音楽を、これからもみんなと奏でていけたらいいなと思ってます」。タカシのまっすぐな言葉とともに、9人の初めてのツアーは「B9」のラストナンバー「君と、奏で」で幕を下ろす。ステージの左右で分かれていた1桁号車の5人と2桁号車の4人が次第に混ざり合い、ともに音楽に身を委ねた超特急。歌詞のストーリーと9人の歩みを重ねた彼らの後ろには、9人の直筆の歌詞とこれまでの活動の1シーン1シーンを捉えたフォトアルバムが映し出される。最高に晴れやかな笑顔とピースサインでライブを完走し、タカシは最後に「俺たちは幸せもんやー!」とめいっぱいの喜びを叫んでいた。

超特急「BULLET TRAIN Spring Tour2023『B9 Unlimited』8号車の日」2023年8月8日 東京ガーデンシアター セットリスト

01. MORA MORA
02. KNOCK U DOWN
03. Beasty Spider
04. Kiss Me Baby
05. Winning Run
06. No.1
07. Thinking of You
08. シャンディ
09. Before Dawn
10. Typhoon
11. NEW WORLD
12. Summer love
13. ラキラキ
14. 激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど
15. 超えてアバンチュール
16. a kind of love
17. fanfare
18. Together As One
アンコール
19. 浮つきWAVES
20. Summer love
21. Call My Name
<ダブルアンコール
22. gr8est journey
23. 君と、奏で

超特急(撮影:米山三郎)