現地紙はウィリアムズ審判員を「穴埋めアンパイア」と表現した。写真はイメージ(C)Getty Images

 8月8日に行われたメジャーリーグの試合でマイナーの3Aから穴埋めで昇格した審判員が3度も誤審する珍事が起きた。フィリーズダイヤモンドバックス戦のダブルヘッダー第1試合(フィラルフィア)でルー・ウィリアムズ一塁塁審が同じ試合でアウトと判定した3度の判定がチャレンジで覆った。

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 2回、ナショナルズバルガスの打席で、投ゴロを処理したウィーラー投手が一塁に送球し、ウィリアムズ塁審はアウトとジャッジしたが、送球がそれて捕球したハーパー一塁手の足がベースから離れており、ナショナル側がリクエスト。セーフに覆り、投手の送球エラーに変更された。

 3回のフィリーズの攻撃では、カテスラノスの三塁線への当たりをバルガ三塁手が飛び付き、一塁に送球。こちらもアウトとコールしたが、カステラノスがベースに到達するのが早く、セーフに覆った。

 その直後に再び誤審が。けん制に誘い出されたカステラノスに対し、アウトとジャッジしたが、ベースに手から戻る際にタッチをかいくぐっており、再びフィリーズ側から「物言い」がついてセーフに変更となった。責任審判は「オーバーターンド(覆ります)」と3度も判定が変わったことを場内放送で伝えた。

 ウィリアムズ審判員は3Aで活動しているが、補充要員としてメジャーリーグに昇格。この日のダブルヘッダー第1試合で一塁を担当した。メジャーリーグで審判を務めるのは今季初で、昨季は2試合、2021年と2020年と1試合ずつ担当した。

 米紙『USAトゥデー』(電子版)は審判員が3Aから臨時で穴埋めされる事情について「選手はたまにオフがある。審判員に対しても違いはない」と伝えており、審判員の休暇やダブルヘッダーなどに駆り出されるという。ウィリアムズ審判員のことを「Fill-in umpire」(穴埋めアンパイア)と表現している。

 日本でも全国高校野球選手権神奈川大会で大誤審疑惑が話題となったばかり。今回のメジャーリーグの試合ではチャレンジ制度で救われた形となったが、8月2日オリックス―楽天戦では一塁への帰塁の際に二塁を踏まなかったかどうかでリプレー検証となり、アウト判定に一塁コーチだったオリックス田口壮外野守備・走塁コーチが激高して審判に抗議する場面があった。

 人間の目で判断すると誤審につながることもある。そこで3Aでは今季から全30球場で「自動ボール―ストライク判定システム」を試験的に設置。シーズン半分の試合はコンピューターが自動で判定する。残り試合は球審がジャッジを務め、1試合で各チーム計3回、異議を申し立てることができることになった。いずれはメジャーリーグでも導入されると見込まれている。

 テニスサッカーなどでもラインジャッジを巡ってホークアイ(審判補助システム)が導入されており、野球でも「コンピューターの目」に頼る機会がさらに増えることになるだろうが、審判員の審判技術が低下しないか危惧する声も少なくない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

メジャーリーグで”穴埋め審判員”が同じ試合で3度も誤審!チャレンジで判定覆る