アメリカ・米国・中国

昨年8月はじめ、米国ナンバー3とも言われるペロシ前米下院議長が台湾を訪問してから1年となった。あのとき、中国はペロシ訪台を停止するよう米国側にくぎを刺していたが、結局訪台は実現し、中国の怒りは沸点に達した。


■中国のけん制も気にせず訪台したペロシ

中国軍は台湾本島を包囲するかのように、北部や南部、東部海域で前例にない規模の軍事演習を実施し、大陸側からは台湾周辺海域に複数のミサイルを撃ち込み、一部は日本の排他的経済水域に落ちた。それから1年が過ぎたが、今日までそれ以上の軍事的威嚇を中国は示していない。

だが、台湾周辺での米中軍事バランスは中国優位に変化してきており、今後一触即発の事態が発生する恐れもある。


関連記事:台湾有事めぐる緊張が4月上旬に高まる恐れ 中国の対応に注目

■今年は有事は起きない 怖いのは来年以降

今後のポイントとなるのが、来年1月に台湾で行われる総統選挙だ。この8年間、台湾では欧米重視の蔡英文政権だったので、中台関係は悪化の一途を辿ってきた。

今度の選挙で中国との関係を重視するリーダーが選ばれるのか、もしくは蔡英文政権の政策を継承するリーダーが誕生するのか、それによって台湾有事を巡る情勢は大きく変化する。今日、中国もその動向を注視しており、少なくても今年大きな行動に出ることはないだろう。

しかし、仮に蔡英文の後継者が誕生すれば、台湾を巡る緊張の度合いは新たなプロローグを迎えることとなろう。その後継者は少なくとも4年間、戦争にならないよう中国との関係を管理することが求められる。いずれにせよ、この下半期は台湾有事にとって極めて重要は半年になる。

・合わせて読みたい→“事故”としての自衛隊機墜落 今後は事件としての墜落が激増する恐れも

(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

ペロシ前米下院議長の台湾訪問から1年 台湾情勢で今後のポイントは