ボーイングが開発を進めている大型旅客機777-8」が、1.06mだけ胴体を伸ばす設計変更を行いました。これにはどのような効果があり、どのような背景があるのでしょうか。

背景には後発の「貨物型」の存在

ボーイングが開発を進めている大型旅客機777X」シリーズの派生型のひとつ、777-8の胴体設計が変更しされ、1.06m(3.5フィート)だけ胴体を伸ばし、70.86mに変更すると国際航空メディアなどが報じています。今回の設計変更には、どのような効果があるのでしょうか。

777-8は「777X」シリーズの胴体短縮タイプにあたり、777-8旧設計の場合、全長は標準型の777-9より約7m短い69.79m。2クラス構成の場合、777-8は384席を搭載できるというものでした(777-9は426人)。一方で777-8は航続距離の長さが特長で、カタログスペック777-9の1万3500kmを大きく上回る8730海里(1万6167km)を飛べるものとなります。

一方で、777-8はこれまで発注数に伸び悩んでいました。受注は24機にとどまっており、エミレーツ航空エティハド航空の2社のみ。しかも2023年7月には一部メディアで、エミレーツ航空777-8旅客型の発注をキャンセルし、777-9に切り替えたとも報じられています。

今回の777-8が設計変更したのは、2022年に777Xシリーズの貨物型「777-8F」の開発が決定したことが背景にあると考えられます。

777-8Fはその名のとおり、777-8旅客機をベースにしているものの、胴体は多少延長されており、70.9mとなっていました。なお、777-8Fは開発決定から順調な受注を獲得しています。

今回の777-8旅客機の設計変更は、後発機となった777-8Fと全長を統一することで、開発コストを抑制することが狙いと見られます。なお、777-8は今回の設計変更で、カタログスペック上の乗客数は11人増となる395席に。航続距離も更新されており、より長い8745海里(1万6190km)に更新されています。

ボーイング777-8(画像:ボーイング)。