この夏のお出かけ先1位となった「温泉」ですが、首都圏ではどこにあるのでしょうか。渋滞を避けて電車で行く場合、どうやって行けるのでしょうか。

電車で温泉に行くには

この夏、どこにお出かけに行きたいかーー経路検索サービス「駅すぱあと」の運営会社・ヴァル研究所がアンケート調査したところ、1位は「温泉」でした。

ところで、首都圏周辺にある手頃な場所の有名な温泉といえば、どこにあったでしょうか。地獄の大渋滞を避けて、公共交通機関で行きたいものですが、どうやって行けるでしょうか。

●箱根

首都圏の人々にとっての象徴ともいうべき存在で、年間2000万人が訪れる全国有数の温泉地です。8世紀ごろから記録に出始め、江戸時代には江戸の人々の湯治や湯めぐりとして、レジャーのひとつに認識されていきます。

箱根の人気の理由のひとつが、抜群のアクセス性です。新宿駅から小田急ロマンスカーで、箱根湯本までわずか1時間半の直結。箱根登山鉄道で上へ登っても、計2時間ほどの行程です。

新宿から強羅まで行くと往復3360円ですが、「箱根フリーパス」は2日間6100円(どちらも特急料金別)。箱根湯本に滞在するなら通常のきっぷで十分ですが、もし強羅や芦ノ湖方面へ行く場合、フリーパスが手にあれば全て事足りるため、便利かつお得になりそうです。

●熱海

箱根の南側、相模湾に面する温泉地です。湾に沿って急斜面にへばりつくような街並みで、「東洋のモナコ」と例えられることも。16世紀ごろから記録に出始め、そもそも「熱海」という地名も、温泉が湧くことから名づけられたと言われています。

地名自体はJR東海道線の多くの列車の終点として、日常的に目にします。ただ通勤電車で約2時間の道のりを乗り通すのは少し厳しいかもしれません。グリーン車を利用すれば快適さは段違いですが、やはり新幹線こだま」に乗ってわずか40分で行く便利さにはかないません。

JRの割引きっぷは、かつて2名以上で往復する場合に2000円ほど安くなる「新幹線お出かけきっぷ」というものがありましたが、2020年に発売終了となっています。

鬼怒川

都心から北へ直線距離で約130km、栃木県北西部の鬼怒川上流の谷間にある温泉地です。

戦前から温泉地として人気で、東武は戦後すぐから浅草発の特急列車を走らせています。2023年7月にデビューしたばかりの新型特急「スペーシアX」だと所要時間は2時間(1日1往復)。都心から一本で行けるのが便利ですが、沿線の途中停車駅として北千住・春日部・栃木などが設定されているため、郊外の住民も鬼怒川温泉へ気軽に利用できます。

浅草~鬼怒川温泉は往復運賃3180円ですが、「デジタル鬼怒川温泉フリーパス」だと2500円で、往復乗車とエリア内の鉄道・バスなど乗り放題が付いてきます。特急料金は別途片道1650円です。

ちょっと足を伸ばして遠くへ…人気の2温泉

●草津

群馬県最西端にある温泉地で、古来から記録に残っています。湯量が多く古くから大々的に温泉地として栄え、こちらも首都圏の人々が「ちょっと足を伸ばして行く温泉」として、一、二を争う有名度を誇ります。

こちらは鉄道の直接アクセスはなく、JR高崎線→JR吾妻線という乗り継ぎで長野原草津口駅まで行き、そこからバスに乗ってさらに北の山奥へ入っていくルートとなります。特急「草津」だと上野駅発着で、長野原草津口まで約2時間20分です。

あるいは、北陸新幹線軽井沢まで行っても、草津温泉行きの路線バスが運行されています。軽井沢までわずか1時間で着いてしまいますが、そこからバスの乗車時間が1時間以上あることに注意です。

都心~草津のお得なきっぷは無く、早割や新幹線・特急+ホテルのパックなどを駆使することになります。「ぐんまワンデーローカルパス」(2370円)なら、群馬県のJRや私鉄、一部バス路線が一日乗り放題となるため、組み合わせて県内を周遊することが可能です。

●那須

高原のリゾート地として一帯は人気が高く、登山客も多く見かけられます。高原部から山麓まで温泉地が広範囲に点在し、それぞれ個性を持っています。代表的な「那須湯本」は濃厚な硫黄泉で、濁り度が高いのが特徴です。

都心から車で行く人が多いですが、鉄道でもアクセス可能で、最寄り駅は東北新幹線那須塩原駅まで行くか、隣にある東北本線黒磯駅。そこからバスで山麓方面へ移動することになります。

土地勘が無いと「どこに行くのが正解で、どうやって行けばいいかも分からない」となってしまうため、一見ハードルが高そうです。しかし、周遊に便利なバス路線と乗り放題の「那須高原観光周遊パス(2日間3000円)」を活用すれば、那須エリアだけで温泉や牧場巡りなどを楽しめ、見どころも多い旅行プランが組めます。

都心から一本で行ける人気温泉地も(画像:photolibrary)。