今夏の移籍市場でベティスに加入した元スペイン代表MFイスコが、同クラブに対する胸中を明かした。9日、スペイン紙『マルカ』が伝えている。

 1992年4月21日生まれのイスコは現在31歳。スペイン南部の都市マラガで産声をあげた同選手は後に、一級品のテクニックと創造性に富んだプレーから“マヒア(魔法)”と称されるようになる。バレンシアの下部組織出身で2010年11月にトップチームデビューを果たすと、マラガとレアル・マドリードを経て、咋夏にセビージャに加入した。しかし、僅か半年で双方合意の下で契約解除。イスコによると、「モンチは僕が退団を望んでいると言い続け、事実ではないことを言いふらした」と当時のスポーツディレクターとの確執が事の発端だったようだ。

 セビージャ退団後は無所属となったイスコが今夏、新天地として選んだのはまさかのベティスだった。ともにセビリアの街に本拠を構え、欧州屈指の苛烈さを誇る宿敵関係の両クラブ。半年間の無所属期間を挟んでいるものの、まさしく“禁忌の移籍”となった同選手は「まだあまり街に出る時間がない。ベティコはとても愛情を注いでくれるけど、向こうはそれほどポジティブではないはずだ。僕らはプロフェッショナルだし、今はここでの仕事に専念している。このクラブには恩があるからね」と並々ならぬ覚悟。一方で、「ここで僕に何も起こらないことを願うよ。もし、セビージャの誰かが祝福してくれたとしたら? スマホは見ていない。(プレシーズンで)メキシコに行く途中で壊れてしまったんだ(笑)」とジョークも交えている。

 また、イスコは「僕がここに決断した理由は、プロジェクトとチームメイトのため。フットボールを楽しむには、いい場所。みんなにとって素晴らしいシーズンになることを願っている」と告白。続けて「(マヌエル・)ペジェグリーニは、僕のことをマラガ時代から知っている。監督は僕に合うスタイルを提案してくれるし、それがここにいる理由のひとつでもあるんだ。ホアキン(・サンチェス)を含め、みんながベティスのことをよく話してくれた。“ホーム”でくつろぎたい」と胸中を明かしている。

 クラブ・選手情報サイト『transfermarkt』によると、最後にセビージャからベティスの直接の移籍が実現したのは1988年夏にまで遡るようだ。2023-24シーズン最初の“セビージャダービー”は今年11月。セビージャの本拠地『ラモンサンチェス・ピスフアン』で行われるが、直接ではないものの、セビージャ退団の経緯も踏まえれば“禁忌”ともいえるイスコのベティス加入により、例年以上の激しさとなるのは間違いない。

ベティスに加入したMFイスコ [写真]=Getty Images