女優の高畑充希が、グレタ・ガーウィグ監督作の映画『バービー』にて主人公・バービーの吹き替えを担当する。かねてからグレタ監督のファンだったという高畑は、本作を見て「絶対に大人が見た方がいい」と絶賛。本作の話とともに幼少期に憧れていた存在や、憧れられる存在であり続けることについて語った。

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■『バービー』は大人こそ見た方がいい作品

――バービー役の吹き替えを担当することが決まったときの気持ちを教えてください。

高畑:もともとグレタ監督のファンだったこともあって『バービー』の映画化が決まったときから絶対に見たいと思っていたんです。なので、まさか自分がバービーの声を任せてもらえるなんて、と大喜びでした。

――どうやってバービーの声を作り上げましたか?

高畑:マーゴット・ロビーのお芝居を見て、私達が思い描いている“バービー像”とあまり差がなかったことに感動しました。そこで、彼女の動きにできるだけなじめるようにと意識しながら声を当てていきました。

――作品を見た感想を教えてください。

高畑:絶対に大人も見た方がいいなと思いました。内容が「さすがグレタ監督!」という感じで。大人の女性、女の子の生きづらさを代弁してくれているような部分もありながら、ニヤッとしちゃうブラックジョークもたっぷり入っていたので男性も楽しめると思います。ぜひ先入観なしでいろんな世代の人に見てほしいです。

ーーたしかに、見る人によって面白みを感じるポイントが変わりそうですよね。この映画が伝えたいメッセージはなんだと思いますか?

高畑:いろんな人が、いろんな受け取り方をしていい作品だと思いますが、すごくシンプルに言うと“あなたはあなた。自分らしく”というメッセージを私は受け取りました。もちろん男性だから女性だからというテーマ性も含んでいますが、それぞれが生き方や個性を見出していく様子はすごく清々しかったです。

■芸能人であることに苦悩した時期も

――映画の中で、バービーが女の子の憧れの存在として描かれているシーンもありました。高畑さん自身は、幼少期どんな人物に憧れていましたか?

高畑:小さい頃は、ミュージカル俳優になりたかったので、ミュージカルスターたち、舞台上で歌って踊る人たちに憧れていました。

――幼少期に憧れた俳優業に、実際に就いたからこそわかるギャップや難しい点はありますか?

高畑:メディアに名前が出るようになって、いろんな方に知ってもらえることで、動きの自由が制限されたなと感じた時期はありました。最近はうまく共存できるようになりましたけど、黙ってカメラを向けられたり身に覚えがない記事が出たり、そういうことに悩んだことも。

――それでもお芝居を続けたいと思うのは、やはり魅力があるからでしょうか。

高畑:楽しいんですよね。もちろんうまくいかないときはありますけど、舞台に立ってお芝居をしているときって「あ、生きてるな」って思えるんです。そんな仕事を見つけることができて、本当に幸せだなと思っています。

――現在の理想像があれば教えてください。

高畑:穏やかで品のある人に憧れています。気持ちがぐちゃぐちゃっとなったら「ダメだ、落ち着こう」って自分に言い聞かせるようにしているんです。日によって、すごく良い自分だった日もあるし、ダメな日もある。ダメな日でも「しょうがないな」と受け入れるようにしています。気圧とか天気に左右されちゃうこともありますからね。いつもベストな自分でいることは無理だけど、ブレたときに「こうありたいな」って思うものがある方が、自分を好きでいられる時間が長くなる気がして。いつも心がけるようにしています。

高畑充希、“芸能人”が向いていないと思う瞬間とは?

――一方でご自身がファンの方から憧れられる存在でもあると思います。憧れを持たれることに対して、嬉しさややりがいを感じることはありますか?

高畑:実はそこに関しては、私が「この職業に向いてないな」って思う瞬間の1つでもあるんです。いまだに自分のファン、自分を推してくれる人がいることが信じられなくて。ファンイベントをやってもずっと信じられないまま「なんで(自分のファンなんだろう)?」って思っている間に終わってしまうんです。憧れてもらえる存在にならないといけないんでしょうけど、そこに辿り着けるようにならないと!(笑)。

――ファンの方からは「どんなところが好き」と言われますか。

高畑:私の場合、ファンの方の年齢層がバラバラなので、人によりますね。でも、誰に応援されても嬉しいものです。この前なんて「こんなおじさんですみません、ファンです」って言われたんですけど、内心とても嬉しかったです!

――憧れられる存在でいなきゃという話が先ほどありましたが、振る舞いなど意識していることはありますか?

高畑:なんでしょう…。正直、全然その土俵に乗れていないと思います。お芝居をするのが好きでこの仕事を始めて、20代のころから劇場にお客さんを呼べる人になりたいと思いながら目の前の仕事を一生懸命続けてきました。そこにファンの方がついて来てくれたというのが本音です。

――何事においてもお芝居が軸にあるんですね。今後、演じてみたい役はありますか?

高畑:なんでも挑戦したいですが、あえて言うなら今の自分のライフステージに合った役。例えば今だったら30代やアラサーの悩みに寄り添う役をいただけることが多くて、とても嬉しいなと思っています。ライフステージに合わせて、いろんな役をもらえることがこの仕事の面白い点でもあるので、今後もそのときにしか共感、共鳴できない役に出会えたら、楽しいだろうなと思っています。

 (取材・文:於ありさ 写真:高野広美)

 映画『バービー』は公開中。

高畑充希  クランクイン! 写真:高野広美