現地時間11日の夜に開幕を迎したプレミアリーグ。その開幕戦で、マンチェスター・シティのFWアーリング・ハーランドがいきなり2ゴールを挙げたが、世界中の才能が集まる“世界最高リーグ”の新シーズンは、どんな選手が活躍するのか? そして誰が栄誉ある年間最優秀選手賞に選ばれるのか? 果たして日本代表MF三笘薫にもチャンスはあるのだろうか?

 イングランドには主に2つの年間最優秀選手賞がある。1つは記者協会(FWA)の年間最優秀選手賞だ。これはフットボールに精通する記者たちの投票によって決められ、1947-48シーズンから続く最も古い個人賞だ。もう1つは選手協会(PFA)の年間最優秀選手賞だ。こちらは現役選手たちの投票によって選出される。今まではFWA賞が最も栄誉と言われてきたが、近年は同じ選手たちの投票で決まるPFA賞の方が価値が高いと囁かれているとか。

 昨季はプレミアリーグ最多ゴール記録を叩き出したマンチェスター・シティアーリング・ハーランドが個人賞を独占した。FWA年間最優秀選手に選ばれたほか、プレミアリーグ年間最優秀選手にも選出された。PFAアウォードに関しては、同賞の50周年を記念して8月29日に授賞式が開かれ、そこで昨季の受賞者が発表される。同賞に関してもハーランドが受賞し、個人賞を総なめするのではないかと見られている。

では、新シーズンはどんな才能が個人賞を手にするのだろうか? 英国ブックメーカーウィリアムヒル』が2023-24シーズンのPFA年間最優秀選手賞のオッズを公開しているので見てみよう。なんと、ブライトンに所属するMF三笘薫が上位にランクインしているのだ。

三笘薫への期待値

 PFA年間最優秀選手賞のオッズを見ると、三笘薫は33番手で「67倍」。これが何を意味するかというと、三笘薫は世界最高と呼ばれるプレミアリーグで33番目のタレントということ。いや、33番目どころではない。個人賞とはいえ、いくら孤軍奮闘してもチーム自体が結果を残さなければ年間最優秀選手に選ばれる可能性はない。

そのためオッズで上位にランクインした選手たちは、いずれもビッグクラブのプレーヤー。伝統的なビッグ6(マンチェスター・シティマンチェスター・ユナイテッドアーセナルリヴァプールチェルシートッテナム)と、中東の資金で躍進を遂げたニューカッスルに所属する選手たちだ。ようするに、多少なりとも“ビッグクラブ補正”がかかっているとの見方もできる。

 事実、上記7クラブ以外の選手で上位32名に選ばれたのは1人だけ。ブライトンに所属するエクアドル代表MFモイセス・カイセドだ。そのカイセドに関しても今夏、もしくは冬にビッグクラブへの移籍が有力視されるため、それを加味して12番手となる「34倍」のオッズを付けられているのだろう。

 そう考えると、実質的に“ビッグ7”以外のクラブでは三笘薫が最上位と考えられる。ということは、プレミアリーグビッグ7以外のクラブにおけるベストプレーヤー三笘薫と言っても過言ではないだろう。さらに“ビッグクラブ補正”を取り除けば、三笘薫プレミアリーグのトップ25に入るくらいの才能だと考えることもできる。

 無論、この評価は驚きではない。三笘薫は昨季プレミアリーグ初挑戦にしてリーグ戦33試合に出場し、7ゴール・5アシストをマーク。日本人のプレミアでの1シーズンのゴール記録を更新した。さらにワールドカップ以降のリーグ戦は全24試合に出場し、チームの6位という大躍進に貢献したのである。

 データサイト『Fbref』によると、三笘薫は前方に9m以上ボールを運んだ回数がプレミアリーグで2位(1位はアーセナルのサカ)。昨季の欧州5大リーグ全体で見ても10位だった。ペナルティエリア内にボールを運んだ回数は、モハメド・サラー(87回)に次いでリーグ2位の「85回」。こちらに関しては欧州5大リーグで見ると4位だった。三笘薫を上回ったのはレアル・マドリードヴィニシウス・ジュニオール(140回)、リヴァプールサラー(87回)、PSGキリアン・エンバペ(86回)という、いずれも世界的スターの3名だ。

 さらに三笘薫は相手を抜いた回数でもプレミアリーグで5位。そしてパスやドリブルなど「ゴールを生み出すプレー」も90分毎で見ると0.58回で、プレミアリーグ9位という実績を残した。昨季のブライトンは6位と躍進したとはいえ、これらの数字をビッグ7以外のクラブで、しかも主にワールドカップ以降だけで達成したのは快挙なのだ。だから、仮にブライトンが昨季以上の大旋風を巻き起こし、例えばトップ4に食い込んだりしたら、三笘薫は間違いなくPFA年間最優秀選手賞の候補になるだろう。

■本命たち…トップ10の面々は!?

 『ウィリアムヒル』のPFA年間最優秀選手オッズに話を戻すと、最有力と見られているのは8月29日に発表される昨季のPFA賞でも大本命のハーランドだ。昨季プレミアリーグで36ゴールを叩き出し、全公式戦で見ると53試合で52ゴールという驚異的な結果を残したハーランドは、新シーズンもゴールを量産すると見られており、オッズは1番手の「3倍」が付けられている。

 2番手はハーランドの同僚であるシティのMFケヴィン・デ・ブライネで「8倍」。彼は2019-20、2020-21シーズンと過去に2シーズン連続でPFA年間最優秀選手賞に選ばれており、同じ選手たちから見ても彼のパスとゲームメイクは異質なのだろう。3番手はバイエルンへの移籍が発表された元トッテナムイングランド代表FWハリー・ケインだ。昨季はハーランドに次ぐ30ゴールを決めたほか、プレミアでは9シーズン連続で15ゴール以上をマーク。プレミアリーグの歴代得点ランクでも2位に着けており、1位アラン・シアラー(260ゴール)にあと47ゴールまで迫っていた。

 4位はリヴァプールモハメド・サラー(12倍)。サラーも2017-18と2021-22シーズンに同賞を受賞しており、デ・ブライネもそうだが3度目の受賞となれば歴代最多となる! 5位はシティのジャック・グリーリッシュ(13倍)。シティを史上初のリーグ4連覇に導けば選ばれる可能性もあるだろう。

■PFA年間最優秀選手賞オッズ上位10名
1位 アーリング・ハーランドマンC) 3倍
2位 ケヴィン・デ・ブライネマンC) 8倍
3位 ハリー・ケイントッテナム) 11倍
4位 モハメド・サラーリヴァプール) 12倍
5位 ジャック・グリーリッシュ(マンC) 13倍
6位 ブカヨ・サカアーセナル) 15倍
7位 マルティン・ウーデゴーアアーセナル) 17倍
8位 デクラン・ライスアーセナル) 21倍
9位 マーカス・ラッシュフォードマンU) 21倍
10位 フィル・フォーデンマンC) 26倍
10位 トレントアレクサンダーアーノルド(リヴァプール) 26倍
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33位 三笘薫ブライトン)67倍

(記事/Footmedia)