蓮佛美沙子伊藤万理華、上川周作が出演する映画『女優は泣かない』の公開日が、12月1日と決まった。

【インタビュー】蓮佛美沙子、30代迎え「世間からの見方が変わった」 好きに生きたいとより強く思うように

 本作は、CMディレクターでもあり、『働かざる者たち』『おしゃれの答えがわからない』『面白南極料理人』『賭けからはじまるサヨナラの恋』など数々のドラマ作品の脚本・監督を手がけてきたディレクターの有働佳史が、生まれ育った熊本・荒尾を舞台に挑んだ長編映画初監督作。

 スキャンダルで女優の仕事を失った主人公・梨枝は、ドラマ部志望の若手ディレクター・咲と共に“女優が生まれ故郷の熊本で素顔を見せる”密着ドキュメンタリー撮影に渋々挑むことに。互いに衝突しながらも、女優復帰と希望部署への異動をかけて再起を図ろうとする2人。そんな崖っぷちの彼女たちが、家族の問題や才能の限界などの厳しい現実に直面しながらも、過ちやコンプレックスを乗り越え、やがて自分の居場所、ルーツを再発見するまでを描く。

 監督の有働は、脚本完成に2年近くを費やし、2021年8月に一度クランクインするも、コロナ禍の影響で、2日目にして撮影中断。その後、1年3ヵ月を経て、2022年10月末に再クランクインし、今年11月に九州先行公開、その後、12月に全国公開を迎える。企画立案から完成まで6年。まさに有働の「地元で映画を撮る」という執念が生み出した渾身(こんしん)の一作だ。

 スキャンダルで女優の仕事を失った主人公・梨枝を演じるのは蓮佛美沙子。そして梨枝と衝突しながらもバディとして結束していく若手ディレクターの咲役には伊藤万理華。梨枝の同級生でタクシー運転手の拓郎役を上川周作が演じる。

 蓮佛は「この映画がたくさんの人に届きますように。そして、タイトルの意味を、梨枝のあと一歩の覚悟を、受け取ってもらえますように」と期待を寄せ、伊藤は「カメラ越しで見た梨枝の強さと弱さ、凛としたあの横顔がずっと頭から離れません。美しかったです」とコメント。上川は「現場は熱量がとても高く、みんな一丸となって撮影することができました」と撮影を述懐した。

 有働監督は「『どこかの誰かの物語』ではなく、『いつかの自分の物語』として、様々な境遇の人々に楽しんで頂けるものを作ったつもりです」と自信をのぞかせた。

 映画『女優は泣かない』は、12月1日より全国順次公開。

 コメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■蓮佛美沙子

 「こんなに面白い作品のオファーをもらえるなんて、なんて幸運なんだろう」。脚本を読み終わった瞬間にそう思い、「絶対にやりたい」とマネージャーさんに興奮しながら連絡した時のことを、今でもよく覚えています。本当に、宝物のような日々でした。映画の神様に祝福されているような、たくさんの奇跡と出会いました。

 この映画がたくさんの人に届きますように。そして、タイトルの意味を、梨枝のあと一歩の覚悟を、受け取ってもらえますように。心から願っています。

伊藤万理華

 咲として、蓮佛さん演じる梨枝を追い続けた日々でした。熊本の広大な景色を背に、どうしようもないめちゃくちゃな、ほぼ喧嘩の掛け合いがずっと楽しかったです。慣れないカメラの重さで常に腕が筋肉痛でしたが、撮影中はそれも忘れるくらい夢中になって撮り続けていました。カメラ越しで見た梨枝の強さと弱さ、凛としたあの横顔がずっと頭から離れません。美しかったです。

■上川周作

 地元のタクシー運転手で蓮佛さん演じる園田梨枝の同級・猿渡拓郎(さるたく)役を演じました。

 さるたくは少しお節介な所がありますが人懐っこくて純粋で明るくて。撮影が終わった今でもさるたくと友達になりたいな、と思うくらい親しみを感じていました。現場は熱量がとても高く、みんな一丸となって撮影することができました。沢山のみなさまに、スクリーンでご覧いただけたら嬉しいです!

■有働佳史監督

 元々、地元で映画を撮るために始めたこの仕事でしたが、色々と遠回りをしてしまい、だいぶ時間がかかってしまいました。その間、幾度となく心が折れかけましたが、地元の皆さんや、キャスト、スタッフ、また仕事では直接関わっていない友人たちの力を大いにお借りして、なんとか大望を実現することができました。

 この映画は、スキャンダルで仕事を失った「女優・梨枝」が、テレビ局の「AD・咲」とともに、地元で復帰仕事のドキュメンタリー撮影に挑みながら、人生のリスタートを切るという内容です。

 コロナ禍を経て、不要不急という言葉が定着しました。エンターテインメントの世界は、それこそ、不要不急の代名詞のように扱われてきました。結局は、たかがエンターテインメント。無くてもいいものかもしれません。しかし、それでもエンターテインメントの可能性を信じ、この仕事に「命」をかけている人間たちがいます。

 この映画を通して、そのことを少しでも多くの人に知って頂ければ嬉しいですし、リスタートを切ろうとする人の背中を押す一助になれたら本望です。また、本作は、エンターテインメント制作の裏側を通して「人生のリスタート」を描きつつ、同時に、誰しもが抱える「仕事と家族、どちらが大事なのか?」という普遍的な命題もテーマにしています。「どこかの誰かの物語」ではなく、「いつかの自分の物語」として、様々な境遇の人々に楽しんで頂けるものを作ったつもりです。是非とも、一度劇場に足を運んで頂けますと幸いです。

映画『女優は泣かない』ポスタービジュアル (C)2023「女優は泣かない」製作委員会