チェルシーが、エクアドル代表MFモイセス・カイセドを獲得することが決定的になっているようだ。13日、イギリスメディア『BBC』や同『アスレティック』、同『スカイスポーツ』などが伝えている。

 現在21歳のカイセドは母国クラブのインデペンディエンテ・デル・バジェの下部組織出身で2019年10月にトップチームデビューを果たした。2021年2月にブライトンに完全移籍で加入すると、同年8月から半年間はベルギーベールスホットへの期限付き移籍も経験し、2022年1月からブライトンに復帰。2022-23シーズンは公式戦43試合出場で1ゴール1アシストを記録し、中心選手としてクラブ史上初となる欧州大会出場権獲得に大きく貢献した。

 そんなカイセドには今冬の移籍市場から多くのクラブから関心が寄せられ、一時は移籍志願も表明し、クラブからはトレーニングに参加しないように通達されるなど、退団の可能性が浮上していたが、最終的には残留して今年3月には1年の延長オプションが付随した2027年6月30日まで契約を延長した。

 しかし、今夏の移籍市場でも依然として移籍の可能性が浮上し、かねてより関心が寄せられていたチェルシーとはすでに個人合意に至っていることも伝えられていた。それでも、クラブ間交渉が難航し、最大総額8000万ポンド(約147億円)となるオファーも1億ポンド(約184億円)を要求していたブライトンに拒否されていた。

 そんななか、今夏にイングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンやブラジル代表MFファビーニョなどを売却したことで資金を得たリヴァプールが、カイセド争奪戦に本格参戦。これを受け、ブライトンは10日24時を締め切りとしたオークションを開催し、プレミアリーグ史上最高額の移籍金1億1000万ポンド(約202億円)を提示したリヴァプールとクラブ間合意に至ったことが報じられていた。

 これにより、カイセドは短時間で交渉をまとめ上げたリヴァプールに加入すると見られていたが、すでにブライトンにあるロッカーを片付け、ロンドンで移籍の行方を待っていた選手本人が、かねてより個人合意に至っていたチェルシー加入を望んでいることをリヴァプールに伝えたため、交渉は破談となっていた。

 このような状況から、ブライトンリヴァプールの提示した移籍金を上回るオファーでのみチェルシーに売却することを伝え、チェルシーはそれを準備していることが明らかになっていた。

 そして、今回の報道によると、チェルシーは1億ポンド(約184億円)に1500万ポンド(約28億円)の追加オプションが付随した総額1億1500万ポンド(約212億円)でついにブライトンとクラブ間で合意に至ったという。なお、追加オプションの半分はチームの成績(欧州大会の出場権獲得等)などで簡単に発動されやすい条件となっている一方、残りは実際には達成が難しい条件になっている模様。それでも、契約には重要と見られる売却条項が付随することも濃厚になっているようだ。

 また、チェルシーはカイセドと2031年6月30日までとなる8年契約に1年の延長オプションが付随した長期契約を締結する模様で、14日にはメディカルチェックも予定されていることが伝えられており、チェルシー加入は決定的と見られている。

 なお、これまでの英国史上最高額となる移籍金は今年1月にベンフィカからチェルシーへと加入したアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスの1億2100万ユーロ(当時のレートで1億700万ポンド/約170億円)だったことから、チェルシーはわずか半年で再びプレミアリーグの移籍金記録を塗り替えてカイセドを獲得することになりそうだ。

チェルシー加入が決定的になったカイセド [写真]=Getty Images