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 意図的か、それとも不運な事故か。現在、オーストラリアのビクトリア州で起こった「毒キノコ食中毒事件」が謎を呼んでいる。

 女性が、元夫の両親と元夫の叔母夫婦を招いて料理をふるまったのだが、そこに猛毒キノコタマゴテングタケが含まれていた。3人が命を落とし、1人は重体の状況だ。

 毒キノコを料理に混入した容疑者とみられている女性は、「店でキノコを購入した」と供述するなど容疑を認めず釈放され、その後行方不明になっているようだ。

【画像】 毒キノコを食べて元夫の両親と叔母が死亡

Woman Seeks Lawyer Over 'Mushroom Poisoning' Deaths | 10 News First

 7月29日、ビクトリア州南東部レオンガタ在住のエリン・パターソン(48歳)は、別居している元夫の両親で、義母にあたるゲイル・パターソンさんとその夫のドンさん(ともに70歳)、義母の妹夫妻ヘザーさん(66歳)とイアンさんを自宅に招待し、昼食のビーフウェリントンパイを振る舞った。

 ビーフウェリントンパイのレシピには、一般的にキノコが加えられる。

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pixabay

 食事中は問題なかったが、数時間後にゲイルさんとドンさん、ヘザーさんとイアンさんが胃腸の問題を訴え始めた。

 同日真夜中に症状が悪化し、4人はメルボルンの病院に運ばれ、その数日後、ゲイルさんとドンさん、そしてヘザーさんが病院で死亡した。

 ヘザーさんの夫で、バプテスト教会の牧師イアンウィルキンソンさん(68歳)は、現在肝移植を待ちながら、依然として重篤な状態で入院しているという。

料理に入っていたのは猛毒キノコのタマゴテングタケ

 警察は、被害者らが腎不全や肝不全を引き起こす可能性がある、テングタケ属のデスキャップキノコタマゴテングタケ)の摂取と一致する症状があったことを確認した。

 タマゴテングタケは世界で最も有毒なキノコの1種であり、世界中のキノコ関連の死亡の約90% の原因になっているという。

 その主な毒素はα-アマニチンで、これは調理や乾燥では破壊できず、肝不全や腎不全を引き起こす可能性があるそうだ。

 通常、楢(なら)の木の下で成長し、オーストラリアのビクトリア州とオーストラリア首都特別地域で頻繁に見られるが、最近ではアメリカでも大繁殖の兆しを見せている。

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 成長の初期段階では、タマゴテングタケは食用のフクロタケに似た白いクリーム色をしている。

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photo by iStock

 エリンの住む地域ではキノコ採集が人気で、捜査では料理をしたエリンの周りの森に、タマゴテングタケが自生していることがわかった。

 また、事件が発生した後、エリンの家の近くのゴミ廃棄場に、食品乾燥機が捨てられてあるのが発見された。

 料理をしたエリンと、昼食時に一緒にいたエリンの2人の子供たちも予防措置として病院に運ばれたが、症状はまったく出なかった。

 というのも、エリンと子供たちは義両親らと同じ料理を食べていなかったからだ。それが判明した後、警察はエリンから話を聞いた。

 それによると、「店でキノコを買った」とエリンは供述したという。

 だが、猛毒キノコが店で販売されているとは考えにくい。また、地元メディアの調査では、地元の農産物を販売している複数の店舗で、リコールや警告が一切出されていないそうだ。

 自分に容疑が降りかかると、エリンはメディアの前で涙を流して全面否定した。

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image credit: youtube
かつての義理の両親を失ったことを、私自身とても悲しんでいます。

義母のゲイルは、私にとっては母親のような存在でした。私の母は4 年前に亡くなりましたが、ゲイルは私にいつも良くしてくれて、親切でした。

イアンとヘザーは、私がこれまで会った中で最高の人々の1人でした。彼らは、私に何ひとつ悪いことをしたことはありません。

私は、彼らを愛していました。彼らを傷つけようと考えたことなどありませんでした。私は何もしていません。キノコの有毒な成分については、なにも知りませんでした。

彼らが亡くなってとてもショックを受けています。

Mushroom poisoning mother speaks out

元夫とヨリを戻したかったエリン

 興味深いことに、この昼食会はエリンが現在別居中の元夫サイモンさんとヨリを戻すきっかけになるはずのものだったようだ。

 サイモンさんの友人は、「エリンサイモンとよりを戻したかったが、サイモンの家族は彼女が息子と復縁することを望んでいなかった」と語っている。

 サイモンさんは、この日両親や叔母と一緒に、エリン宅に食事に招待されていたが、出席できなかった。

 「サイモンとは別れたが、友好的な関係を保っている」とエリンは主張している。警察の捜査でも、2人の関係は友好的だったことがわかっている。

 だからこその復縁をエリンは望んだのか。

 サイモンさんの友人は、「あの日は単なる昼食会ではなく、牧師のイアンさん(元義母の妹の夫)を仲介者として呼んでいたようだ」と話している。

 だが、奇妙なのは、サイモンさんが昨年5月、謎の胃の不調を訴えて倒れてから、21日間集中治療室で過ごし「死にかけた」経験があることだ。

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image credit: youtube

 サイモンさんは、その後夫婦が別居した後も、深刻な腸疾患で入院していたという。

 ただ、警察によると、サイモンさんの体調不良の1件が、今回の事件に関連しているという証拠は、現時点ではないそうだ。

 サイモンさんの友人は、「サイモンは自分の体調不良の件で、元妻エリンを非難したことはなかった」と話している。

 サイモンさんの両親は裕福な不動産所有者で、4、5軒の不動産を所有しているということをある情報筋が明らかにしている。

 エリンが、別れた夫やその両親とも友好的な関係を維持していたのは、何らかの目的があったのか。今のところはわかっていない。

限りなく黒に近いグレーな要注意人物としてマーク

 ビクトリア州警察殺人課のディーン・トーマス警部補は、次のように述べている。

料理をした彼女(エリン)には、何の症状も出ていません。私たちはこの件に関して、さまざまな角度から捜査をしていかなければなりません。

この事件にはまだ不明な点が多いため、現時点では彼女は「容疑者に限りなく近い要注意人物」となっています。

偏見を持たずに、何が起こったのかを解明するためには、時間がかかるでしょう。なにしろ、彼女は不正行為を全否定していて、捜査の現段階では告発される予定はありません。

 現在、警察はエリンの家で押収した物品の法医学検査を実施している。

Suspected mushroom poisoning: Police investigate beef wellington theory after three killed

エリンは行方不明中との報道

 エリンは、捜索令状が執行され事情聴取を受けたものの、さらなる捜査が行われるまで釈放となった。

 だが、最新の報道によると、エリンの代理を務める弁護士らは10日の朝から「メルボルンの弁護士を訪ねに行く」と言って自宅を出て以来、帰宅せず、行方不明になったことを明かしている。

 警察では、3人の死は今のところ「説明不能」として扱っている。

 捜査は、現在も進行中であり、捜査員らは保健省と緊密に協力しているということだ。

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 ちなみに2012年、キャンベラでは大晦日のディナーパーティーでタマゴテングタケを食べた後、3人が死亡したことが伝えられた。

The toxic mushrooms that turned a family lunch into a tragedy | 7.30

References:Mushroom poisoning deaths: Estranged husband of mushroom chef breaks cover for the first time since his parents died/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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毒キノコを意図的に混入か?謎の食中毒事件で、容疑者とみられる女性が行方不明に