マンダロリアン」シーズン3に続く「スター・ウォーズ」の実写ドラマシリーズ最新作「スター・ウォーズ:アソーカ」が8月23日(水)よりディズニープラスで配信される。本作の主人公は、アナキン・スカイウォーカーの生涯唯一の弟子としてアニメ「スター・ウォーズクローン・ウォーズ」で大活躍した元ジェダイのアソーカ・タノ。しかし、陰謀に巻き込まれたことで教義に失望し、ジェダイから去った悲劇の戦士だ。

【写真を見る】「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」ではアソーカとも剣を交えたモール

銀河帝国の崩壊後を舞台にした最新ドラマは、アソーカが帝国再建をねらう勢力に立ち向かう姿が描かれる。そんな本作のトピックが、アニメ「スター・ウォーズ 反乱者たち」で存在感を見せつけたスローン大提督の登場だ。帝国の立て直しを画策するスローンは、本作のヴィランという位置づけ。スローン初の実写化にあたり、「スター・ウォーズサーガを彩ってきた魅力的なヴィランたちを振り返ってみたい。

銀河帝国を牽引したダース・ベイダーとその師ダース・シディアス

ダース・ベイダー

スター・ウォーズ」を象徴するヴィランアナキン・スカイウォーカーことダース・ベイダーだ。幼少時代に“選ばれし者”として見いだされ、オビ=ワン・ケノービのパダワンとして訓練を積み、優れたジェダイ騎士へと成長するが、シス卿ダース・シディアスに魅入られてダークサイドに墜ち、ダース・ベイダーを名乗るように。師であるオビ=ワンとの死闘に破れたが、一命をとりとめマスク姿になって復活。鎧のような黒いスーツを身に纏い、フォースを操り銀河帝国興隆の推進力となっていく。

アソーカにとってアナキンは信頼できる師であり、自身がジェダイ聖堂爆破事件の犯人として疑われた際も無実を信じて庇ってくれた唯一の人物だった。しかし、彼女がジェダイ・オーダーを去り、数少ないジェダイの生き残りとなったあと、帝国に対する反抗運動を陰ながら支援していたなかでベイダーと対決することに。激しい戦闘を経て、仮面の欠けたところから素顔を覗かせるも、そこにはアナキンのころの面影は残されていなかった。その後のベイダーは、悪の権化として恐怖をまき散らすなか、息子ルークとの出会いによって忘れていた善の心を取り戻していくという、波瀾万丈のドラマを展開。ヴィランとはいえ「スター・ウォーズサーガで最もドラマチックなキャラクターである。

ダース・シディアス

本名シーヴ・パルパティーン。ジェダイ騎士団を倒し、銀河帝国の皇帝に上り詰めたシス卿だ。シスであることを隠し、銀河共和国の元老院議員になったパルパティーンは、言葉巧みにパドメ・アミダラ女王に取り入り元老院の最高議長に就任。銀河共和国に対抗する分離主義勢力と戦うという名目でクローン軍を組織するなど権力を広げ、共和国を銀河帝国に再編した。しかし19年後、反乱同盟軍の猛攻とダース・ベイダーの裏切りで帝国が崩壊。その後は表舞台から姿を消し、ファースト・オーダーの最高指導者スノークを影で操るが、孫娘であるレイによって倒された。権力の権化というべき「スター・ウォーズ」最大の悪役だ。

ダークサイドに囚われ、翻弄された者たち

モール(ダース・モール)

ダース・シディアスの弟子で、クワイ=ガン・ジンに勝ったことでジェダイを破った類まれなシスとなった。幼いころからシディアスによる指導でジェダイへの憎しみを植えつけられ、ダブルブレードのライトセーバーを操る殺し屋として暗躍。惑星ナブークワイ=ガンに勝利するが、オビ=ワンに倒される。クワイ=ガンオビ=ワン、2人のジェダイを相手にアクロバティックなバトルを繰り広げる様は圧巻だった。

一時は死んだと思われていたが、サイボーグとなって生き延びてオビ=ワンを倒すためクローン大戦に参戦し、アソーカとも剣を交えたことがある。自身を見限ったシスを恨み、“ダース”を捨てたモールマンダロリアン過激派であるデス・ウォッチをはじめとする闇の勢力をまとめ上げ、強大な犯罪組織“シャドウ・コレクティブ”を率いて平和主義マンダロリアン政府を倒し、一時は惑星マンダロアを支配。帝国誕生後、マンダロアが壊滅し、ダース・シディアスの命によって追われる身となったモールは、尋問官との戦いで一時的にアソーカと協力関係を結んだことも。その後、苦杯をなめさせられ、何度も戦った宿敵オビ=ワンとの最後の戦いに敗れて息を引き取ったが、シディアスにコマとして使い捨てられた哀しき戦士といえる。

ドゥークー伯爵

ジェダイ・マスターにしてダース・シディアスの弟子になったシス卿。パダワンであるクワイ=ガン・ジンの死後、銀河共和国の腐敗になすすべがないジェダイ騎士団に失望してジェダイと決別。その後、シディアスのもとで暗黒面を学びダース・ティラナスの名を授かる。シディアスの命でクローン軍を作らせると同時に、分離主義勢力を煽り立て銀河共和国と対立させるため暗躍。しかし、役目が終わるとシディアスに切り捨てられ、アナキンに倒された。老いているとはいえ、オビ=ワンアナキン相手に一人で戦い、圧倒的な力の違いをみせるほどの実力の持ち主だ。アソーカとは共にジェダイの在り方に疑問を抱き、袂を分かったという点で共通。しかし、大きく異なるのが、ドゥークーダークサイドへ堕ちたのに対し、アソーカは自身が信じる正義の道を突き進んでいったこと。苦しむ人々を見過ごせない慈愛に満ちた人物だったはずの彼が、悪の道を選んでしまったところに「スター・ウォーズサーガの奥深さを感じさせる。

カイロ・レン

本名ベン・ソロハン・ソロレイア・オーガナの息子で、ファースト・オーダーの幹部として軍を率いた。叔父であるルーク・スカイウォーカーのもとで訓練を積む一方、密かに祖父ダース・ベイダーを崇拝。スノークに誘われて彼の弟子としてファースト・オーダーに加わった。自分を連れ戻しにやってきた父ソロをライトセーバーで殺害。母レイアが率いるレジスタンスと激しい戦いを繰り広げながら、スノークを裏切ってファースト・オーダーの最高指導者の座に就いた。その後、レイアの死を察知し、失意のなかで亡き父の幻影から言葉をかけられたことでダークサイドから抜けたレンは、レイに協力してファースト・オーダーの黒幕だったダース・シディアスを倒す。優れたフォースの才能と精神的な未熟さを持ち合わせた、アナキンを彷彿とさせるドラマチックヴィランである。

銀河帝国やドロイド軍を指揮した将校、将軍たち

●グランド・モフ・ターキン

野心的な銀河帝国の軍人。元々、パルパティーンに近い銀河共和国の軍人で、アソーカを反逆者に仕立てた陰謀に関わっていた一人。銀河帝国の創設にあたり、パルパティーンよりデス・スター建造の責任者に任命された。ローグ・ワンによってデス・スターの設計図が盗みだされると、レイア・オーガナを拘束し彼女の目の前で故郷の惑星オルデランを木っ端微塵に破壊するという冷酷さを見せた。最後は、デス・スター爆発によって死亡。ターキンを演じたのは英国の名優ピーター・カッシングで、ドゥークー伯爵を演じたクリストファー・リーとのコンビで1950~70年代に多くのホラー映画に出演した。

●ハックス将軍

最高指導者スノークに仕えたファースト・オーダーの将校。同格であるフォースの使い手カイロ・レンに強いライバル心を抱き、出し抜くチャンスをねらっている。分析力や判断力など軍人としての能力に欠け、スノークからの叱責のほかレンからフォースでお仕置きをされるひと幕も。レンが最高指導者になったあと、スパイとしてファースト・オーダーの情報をレジスタンスに流していたことが発覚し射殺された。コメディリリーフ的な立ち位置で存在感を発揮したユニークなヴィランで、意外にファンも多かったはず。

グリーヴァス将軍

ドゥークー伯爵に扇動された、分離主義勢力のアンドロイド軍の司令官。もとは爬虫類型のヒューマノイドだが、サイボーグ化によって高い戦闘能力を身につけた。ドゥークー伯爵よりジェダイの戦い方を会得。ジェダイのライトセーバー戦利品として集めており、ウータパウの戦いでオビ=ワンに倒された。4本の腕でライトセーバーを操ったオビ=ワンとの一騎打ちは、新三部作のなかでも有数の見せ場になった。グリーヴァスもまた、アソーカが直接戦った強敵の一人で、R2-D2救出作戦で初対決。その後、再戦した際にはグリーヴァスが4本腕で戦うなど、アソーカを手練れとして見ていたと考えられる。

■“帝国の後継者”と呼ばれる優秀な指揮官スローン大提督

スローン大提督

スター・ウォーズ 帝国の後継者」などの小説に登場し、人気を博した銀河帝国の軍人。青い肌に赤い目を持つチスという種族のヒューマノイドで、人間が多くを占める帝国軍では珍しい存在。それでも大提督に上り詰めたということはかなりの実力の持ち主なのだ。スローン初の映像化である「スター・ウォーズ 反乱者たち」では、シーズン3のヴィランとして登場。冷徹なキレ者として反乱者の前に立ちはだかった。卓越した指揮能力で反乱分子を壊滅寸前にまで追い詰めるも、星系から星系へと移動する巨大生物パーギルの群れに乗っていた船ごと衝突し、反乱者の主要メンバー、エズラ・ブリッジャーと共にハイパージャンプに巻き込まれて消息を絶ってしまう。帝国の壊滅後、残党勢力がその居所を追い求めているようで、それを危険視したアソーカが密かに動向を探っている。

実写版で彼を演じるのは、アニメ版でも声優を務めていたラース・ミケルセン。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)に登場し、デス・スターの設計と破壊に貢献した科学者、ゲイレン・アーソを演じたマッツ・ミケルセンの兄というキャスティングもファンにはうれしいニュースだ。

ここで紹介したヴィランの多くは、クローン大戦の第一線で活躍していたアソーカにとって直接、または間接的に関わりのあった人物たち。すでに世を去った者も多いが、回想を含めなんらかの形で「スター・ウォーズ:アソーカ」に登場してもおかしくない。個性的なヴィランの存在も「スター・ウォーズサーガの魅力だけに、アソーカの大冒険にどんな悪役たちが絡んでくるのか期待したい。

文/神武団四郎

ダース・ベイダーら「スター・ウォーズ」シリーズに登場したヴィランを一挙紹介!(『スター・ウォーズ/帝国の逆襲(エピソード5)』)/[c]2023 Lucasfilm Ltd.