研究者とオオカミ愛好家にとって、うれしいニュースが舞い込んできた。
米国カリフォルニア州に横たわるシエラ山脈の森で、絶滅の危機に瀕しているハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)の新しい群れが確認されたそうだ。
かつてカリフォルニア州ではハイイロオオカミが駆逐され、1920年代にはついには絶滅してしまっていた。ところがこの10年ほどで、他の州からオオカミたちが移り住んできているのだ。
カリフォルニア州の魚類野生生物局によると、トゥーレアリ郡セコイア国有林でオオカミの目撃情報が寄せられたのは先月のこと。
それにもとづき調査を開始したところ、足跡を発見したほか、落ちていた被毛とフンからDNAを採取することに成功したという。
その結果からは、これまで知られていなかった少なくとも5頭のオオカミの群れであることがわかっている。どうやら大人のメスとその子供4頭であるらしい。
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少しずつオオカミが戻ってきている
過去にはカリフォルニア州から完全に駆逐されてしまったハイイロオオカミだが、最近では他の州から少しずつ移り住んできている。
今回の群れから320km離れたカリフォルニア州北東部のラッセン火山国立公園にもまた別の群れがいるし、カリフォルニア北部にも第三の群れが存在する。
かつて目の敵にされていたオオカミも、今では絶滅危惧種保護法のもと州法と連邦法で保護されており、彼らを傷つけたり殺したりすることは違法となっている。
なお今回のメスのオオカミは、2011年にオレゴン州からやってきて、およそ100年ぶりにカリフォルニア州を縄張りとした「OR7」と呼ばれるオオカミの直接の子孫であるとのこと。
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OR7は、その後オレゴン州に戻り、そこで死んだと考えられている。だが、嬉しいことにカリフォルニア州で子供を残していたのだ。
新しい群れにオスがいる形跡はみられなかったが、子供の遺伝子から、ラッセン火山国立公園の群れの子孫であることがうかがえるそうだ。
References:Researchers have identified a new pack of endangered gray wolves in California / written by hiroching / edited by / parumo
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