株式市場の各セクターにどのような企業が存在しているのか。どの企業が業界ナンバーワンであるのか。オンリーワン企業にどのような企業があるのか。株式投資するなら、理解したいですよね。そこで、本連載では長期株式投資氏による著書『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った“割安買い”の極意』(KADOKAWA)から一部抜粋して、株価が暴落した時に買いたいかどうかの銘柄を以下の4段階で評価して紹介します。◎⇒ぜひ買いたい、〇⇒買いたい、△⇒検討したい、―⇒原則として検討の対象とはしていない。長期保有を前提とし、時価総額(企業価値評価の指標。株価×発行済み株式数で計算)、収益性、財務健全性、成長性、配当の持続可能性などから、複合的に判断しています。各セクターにおける主要企業を理解し、投資先として検討しましょう。今回は鉱業、石油・石炭製品、建設業界の企業です。

鉱業~INPEXを脅かす企業はあるか?~

鉱業はエネルギー資源セクターに分類されます。

INPEX

この業界で時価総額が1,000億円を超えているのはINPEXと石油資源開発のみですが、この2社は時価総額に相当な開きがあり、実際はINPEXの1強です。

投資対象としてもINPEXに注視していれば事足りるでしょう。INPEXは業績連動型配当で、配当下限を30円に設定しつつも、過去には減配となったこともあります。

資源価格の影響を大きく受けることによる減配リスクを考慮すると、少なくとも4%以上の配当利回りを確保して投資したいところ。

石油・石炭製品~ここでもINPEX を注視するべきワケ~

石油・石炭製品はエネルギー資源セクターに分類されます。業界再編により現在は、ENEOS HD、出光興産コスモエネルギーHDの3社体制に集約されています。

石油元売りではENEOS が実質1強ですが、エネルギー資源セクターという枠組みで考えた場合、開発という上流工程に携わっているINPEXを投資対象として注視していた方が無難でしょう。

建設業~暴落で「買いたい」2社は?~

建設業は建設・資材セクターに分類されます。ハウスメーカーとしては、大和ハウス工業積水ハウスの2強です。

総合建設会社(通称ゼネコン。「総合請負業」を意味するgeneral contractor が由来)では、鹿島建設清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店(非上場)の大手5社が日本を代表する企業で、スーパーゼネコンと呼ばれています。

大和ハウス工業

大和ハウス工業は、建設・資材セクターで時価総額トップ。ハウスメーカーでありながら、準大手ゼネコンのフジタを100%子会社としているなど、事業の多角化を推進しています。

配当性向は35%、配当下限を130円と設定している累進配当銘柄で、株主還元への姿勢は評価できますし、株価が暴落した時には、ポートフォリオへ組み込むことを検討してもよい銘柄の一つでしょう。

ここ数年の配当利回りの推移は3~4%半ば程度となっており、配当利回りが4%を超えてきたら注視していきたいところ。

積水ハウス

積水ハウスは、累積建築戸数250万戸超と、戸建て住宅では長年NO.1を誇っています。

中期的な平均配当性向を40%以上とするとともに、断続的な自社株買いをおこなっています。実質累進配当銘柄で、業績が一時的に振るわなくなった時期であっても、わずかでも増配しようとする経営陣の姿勢は評価でき、長期的に保有したいと思える銘柄の一つです。

ここ数年の配当利回りの推移は3.5~5%弱。大和ハウス工業と同様に、配当利回り4%を確保した上で投資できればまずまずと考えられます。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコン5社の内、竹中工務店は非上場企業ですので、投資可能銘柄はそれ以外の4社となります。ここ数年は、震災の復興需要や東京オリンピック関連で需要が旺盛でしたが、それもひと段落した現在の業績は、予断を許さない状況といえるでしょう。

原材料価格の高騰が利益を圧迫する展開も予想され、投資対象としては慎重に検討していく必要があります。

「銘柄分散のために、どうしても投資したい」ということであれば、実質累進配当で財務基盤も相対的に固い大成建設を、株価が暴落して配当利回りが納得できる水準まで上昇した時に投資する、という選択はありでしょう。

ショーボンドホールディングス

ショーボンドホールディングスは、時価総額はそれほど高くはありませんが、安くなったら積極的に検討したい銘柄です。売上高営業利益率20%前後という、非常に高い水準で安定的に推移していて、無借金で14年連続増配中。

優良企業のため、株価はなかなか安くなりませんが、株価暴落時に配当利回りが2%を大きく上回るようであれば、検討に値するでしょう。