株式市場の各セクターにどのような企業が存在しているのか。どの企業が業界ナンバーワンであるのか。オンリーワン企業にどのような企業があるのか。株式投資するなら、理解したいですよね。そこで、本連載では長期株式投資氏による著書『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った“割安買い”の極意』(KADOKAWA)から一部抜粋して、株価が暴落した時に買いたいかどうかの銘柄を以下の4段階で評価して紹介します。◎⇒ぜひ買いたい、〇⇒買いたい、△⇒検討したい、―⇒原則として検討の対象とはしていない。長期保有を前提とし、時価総額(企業価値評価の指標。株価×発行済み株式数で計算)、収益性、財務健全性、成長性、配当の持続可能性などから、複合的に判断しています。各セクターにおける主要企業を理解し、投資先として検討しましょう。今回は繊維製品、パルプ・紙業界の企業です。

繊維製品~暴落時のねらい目はズバリ…~

繊維製品は、素材・化学セクターに分類されます。

東レ

東レは炭素繊維世界一で、国内唯一の総合繊維メーカー。時価総額もこの業種では他社を圧倒しています。

ですが、配当は業績に連動するため、コロナ禍で業績が悪化した際には減配されており、配当投資の投資先としては二の足を踏むところでしょう。

ゴールドウイン

ゴールドウインは、アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」の日本における商標権を取得しており、近年の山歩きブームで急速に業績を拡大中。

売上高営業利益率は10%を超えており、高い利益率を誇っています。

実質累進配当となっていて魅力的な銘柄ではありますが、人気があることから株価は割高な水準で推移し、配当利回りは低い状態が続いています。注意点として、ブームに乗って急成長した業績が今後も伸び続けるという保証はなく、投資先として選択するかは判断の分かれるところでしょう。

帝人

帝人は合成繊維の大手企業で、炭素繊維は世界首位級です。配当性向は30%を目安としていますが、業績連動のため減配されることもあり、現状だと投資対象とするのは難しいでしょう。

ニッケ(日本毛織株式会社)

ニッケは羊毛紡織企業ですが、収益の柱は商業施設賃貸という一風変わった会社です。

会社規模はそれほど大きくありませんが、保有不動産が収益の柱となっているため、業績は極めて安定しています。

配当性向30%、DOE(株主資本配当率。Dividend(配当)On Equity(株主資本)ratio(率)の略で、株主資本の内どの程度の割合を配当するかという指標)2%としていますが、45年以上減配がない累進配当銘柄で、近年は増配傾向にあります。

安定的な配当が高い確率で見込める点から、もしも暴落時に株価が下落し、配当利回りが3%台半ば程度まで上昇すれば、魅力的な投資先の一つになるでしょう。

パルプ・紙~積極的に投資する理由はないけれど~

パルプ・紙は素材・化学セクターに分類されます。業界的に売上高営業利益率が低く、全体的に有利子負債も多く、いわゆる儲かる業種ではありません。

そのため、特段の理由がない限り、あえて投資対象とする必要はないでしょう。

王子ホールディングス

王子ホールディングスが国内首位、世界4位で、同業他社を圧倒しています。

IRでは業績により減配される可能性に含みを持たせつつも、実質累進配当銘柄です。

もしも投資を検討するのであれば、株価が暴落して配当利回りが3%台後半に突入したあたりから考えるのが、安全域を確保するという視点からも無難でしょう。

日本製紙

日本製紙は国内2位の製紙メーカー。配当は安定を基本方針としつつ、業績が苦しく減配となる事態もしばしば発生しています。株主優待を実施しているので、優待目的で投資を検討している個人投資家もいるかもしれません。

ですが、配当投資という観点から考えると、このように業績が安定していない銘柄には近づかない方がいいでしょう。

レンゴー

レンゴーは国内3位、大王製紙は国内4位です。

業界首位の王子ホールディングスと比較すると、企業規模や利益率でかなり見劣りすることから、あえて選択する理由はないといえます。