2023-24シーズンのセリエAが19日に開幕する。昨季はナポリが33年ぶりにスクデットを戴冠した印象的なシーズンとなった。迎える新シーズン、優勝を争うと思われる上位勢の主力が軒並み流出しており、予想が難しいシーズンとなりそうだ。

◆キム・ミンジェ流出に留め連覇狙える陣容~ナポリ

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主力の流出が目立った開幕前のセリエAだが、そんな中でDFキム・ミンジェの流出のみに留めた王者ナポリが本命か。とりわけ昨季得点王のFWオシムヘン、MVP受賞のFWクワラツヘリアの残留は大きく、リーグ最強の攻撃陣を維持できている。優勝の立役者となったスパレッティ監督の退任は痛いが、スタイルが近いと思われるルディ・ガルシア監督を後任に選出したフロントも隙がない。大幅なスタイル変更が考えにくく、キム・ミンジェの後釜として獲得されたDFナタンが大崩れしない限り、優勝に最も近いのはナポリと言えそうだ。

◆守護神流出も昨季CL準Vが対抗か~インテル
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ナポリの対抗となりそうなのが3季ぶりのスクデット奪還を目指すインテルか。守護神オナナ、功労者のハンダノビッチ、MFブロゾビッチ、FWジェコと主力が流出してはいるが、GKゾマー、MFフラッテージ、FWテュラムと的確な穴埋めができており、新戦力が順調にチームにフィットすれば十分にナポリに対抗できる陣容となっている。昨季チャンピオンズリーグ準優勝の自信を得た各選手たちがチーム力をさらに押し上げれば、スクデット奪還が見えてくる。

◆結果問われる第2次アッレグリ政権3季目~ユベントス
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昨季は不正会計問題による勝ち点10剥奪のペナルティがなければ4位フィニッシュだったユベントス。とはいえナポリの独走を許したことに変わりはなく、かつての王者の面影は失われている。第2次アッレグリ政権3季目となる今季は結果が求められる中、FWディ・マリアとDFクアドラードが退団。両者とも、ベテランながら昨季の主軸だっただけに戦力ダウンと見るか。新戦力ではミランレジェンドであるジョージ・ウェアの息子ティモシーが加入したが、本命のFWルカク獲りが成功するかがシーズンの行方を左右しそうだ。時代とは逆行する守備偏重スタイルを突き詰め、ビアンコネロ復活のシーズンとなるか。

マルディーニ排除の選択はいかに~ミラン
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連覇の懸かっていた昨季は何とか4位に滑り込み、最低限のCL出場権を確保したミラン。しかし、ミラン復活の礎を築いたテクニカル・ディレクターのマルディーニを昨季終了後、解任とした。確かにFWデ・ケテラエルを筆頭に新戦力の不発など、補強が失敗に終わっていた面もあるが、このフロントの判断が吉と出るか。また、勝者のメンタリティを植え付けたFWイブラヒモビッチの引退、中盤を支えたMFトナーリの移籍、MFブラヒム・ディアスレアル・マドリー復帰と不安があるが、クラブの顔となったFWレオンがチームを牽引できるか。新戦力も軒並み若手が多く崩れた際の立て直しが難しそうだが、4季目を迎えるピオリ監督の確かな手腕はミラニスタの救いとなりそうだ。

◆戦力維持、モウリーニョ政権3季目~ローマ
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セリエAでは6位と振るわなかったものの、一昨季のヨーロッパ・カンファレンスリーグ優勝に続き、昨季ヨーロッパリーグ準優勝と欧州で結果を出しているローマモウリーニョのチームらしくノックアウトラウンドに強さを見せるチームだが、新シーズンに向けては主力DFのイバニェスがサウジアラビアへ旅立ったのみ。代役のDFエンディカも実力十分で穴を埋められそうだ。中盤にはMFアワール、MFレナト・サンチェス、MFパレデスを迎えており、陣容は十分。モウリーニョ体制3季目の今季はセリエAで結果を出したい。

◆鎌田加入、サッリ政権3季目~ラツィオ
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昨季はナポリに次ぐ2位フィニッシュと手応えを掴むシーズンとなったラツィオ。ただ、主軸のMFミリンコビッチ=サビッチがサウジアラビアへ旅立ってしまった。代わって加入したのがMF鎌田。フランクフルトで実績をしっかり残した中、守備の国イタリアでもゴール、アシストと結果を出せるか。サッリ監督が標榜するスタイルとの相性は良さそうなだけにMFルイス・アルベルトとのコンビが洗練されれば、ラツィオを上位に導く可能性も十分だ。