古いカセットテープから流れてくる不気味な少女の歌声を聴いた者は呪われる…。「呪怨」シリーズや『犬鳴村』(19)に始まる「恐怖の村」シリーズの清水崇監督の最新作『ミンナのウタ』(公開中)は、そんな音楽と音をめぐる新感覚ホラーだ。MOVIE WALKER PRESSではこれまで、ホラークイーン“さな”の魅力や、清水監督へのAsk Me Anything企画などでたっぷり本作の特集を展開してきたが、呪いのターゲットとしてが“本人役”で出演しているダンス&ボーカルグループ「GENERATIONS」の白濱亜嵐、片寄涼太、小森隼、佐野玲於、関口メンディー、中務裕太、数原龍友を直撃!絶叫が飛び交う恐怖の撮影現場を振り返ってもらった。

【写真を撮る】『ミンナのウタ』に全員“本人役”で出演したGENERATIONSをシューティング!

本作の物語は、ラジオ局の倉庫で30年前に届いたまま放置されていた一本のカセットテープを発見したGENERATIONSの小森隼が、番組収録中に不穏なノイズと声を聞き、突然姿を消してしまうことから始まる。数日後に迫ったライブのため、早急かつ秘密裏に事態を解決しようとしたマネージャーの凛(早見あかり)は、元刑事の探偵・権田(マキタスポーツ)に捜査を依頼。聞き取り調査が進められると、ほかのメンバーたちも“少女の霊”を目撃したと証言。やがて少女が奏でる呪いのメロディーによる恐怖の連鎖が始まる。

■「“この場所、なんか気持ち悪いな~”みたいなのはいまもありますね」(中務)

――白濱さんは早見あかりさん、マキタスポーツさんと一緒に物語の核心に迫っていく役でしたけど、お2人と共演された印象を教えてください。

白濱「早見さんは年齢も近いし、昔から活躍されていたので僕も知っていたけれど、共演してみてすごく器用な方だと感じました。彼女が演じた凛ちゃんは、僕たちのマネージャーという役どころです。でも、“マネージャー役”って意外とイメージしづらいと思うんですよ。しかも本人役の僕らとは違って、彼女は凛ちゃんというキャラクターを作らなきゃいけない。それを自然にやられていたので流石だなと思いましたね。

マキタさんは一度コント番組で共演したことがあるんですが、マキタさんが演じられた探偵の権田はこの作品の裏の主役だと僕は思っています。出番も多いし、お芝居にも真剣に取り組まれていて、現場の中心に立ってこの作品を作り上げてくれました」

――現場でもいつも3人で集まって、楽しそうに談笑されていましたね。

白濱「そうですね。3人で行動することが多かったから、僕はマキタさんが寝落ちする瞬間の動画も撮らせてもらったし、早見さんといっつもマキタさんを観察していました(笑)」

――この作品では皆さんが本人役で出演されていることでも話題です。そんななかで、中務さんが怨霊の“さな”が見える、霊感の強いキャラクターになったのはどうしてですか?

片寄「昔、『なにかが見える』って言ってた時期があったよね』

中務「そうなんですよ」

小森「本当なんです!」

片寄「6年前か7年前だっけ?」

中務「7年ぐらい前かな。いまはもう、感じるぐらいですけど、“この場所、なんか気持ち悪いな~”みたいなのはいまもありますね」

――清水崇監督がそのエピソードを事前に聞いて、脚本に反映させたんですね。

中務「そうですね。なので、役柄はそのままって感じです」

――だから、あの“呪われた家”から逃げ出すところも真に迫っていたんですね。

中務「いや、あれは本当に怖かったですね。相手の俳優さんがすごい勢いでバーッと迫ってきたし、清水監督と『ここは白目を剥いたほうがいいですか?』といった話し合いをしながら、テイクごとにアドリブを入れてくるから毎回違う怖さがあって。だから、あのシーンは芝居とかじゃなく、普通にめっちゃ怖かった(笑)」

■「緻密に作り上げる現場は初めてだったので、僕はすごく新鮮でしたね」(小森)

――ほかの皆さんは怖がる芝居はいかがでした?

関口「さなが下からボーンと出てきて驚くシーンがあったんですけど、僕はそれよりも彼女の弟の俊雄くんのほうが怖くて。子どもが無言でただ走ってくるのがあんなに怖いとは思わなかった…」

小森「あれは怖いよ!」

関口「それが驚きと言うか、発見でしたね。お芝居をするとかではなく、普通に怖かったから素の表情が出ちゃいました」

――ラジオ局のスタジオのシーンで、脅える関口さんの声が裏返っちゃったのも覚えています。

白濱「ああ、(カセットレコーダーを)『止めて!』って言わなきゃいけないのに、メンディー君がずっと『ウウッ、ウウッ』って唸っていて…」

関口「ひたすら悶えていたやつですね(笑)。でも、あのシーンも怖かった。カセットレコーダーから聴こえてくる音が本当に不気味で。できれば、もう聴きたくない!」

小森「逆再生のシーンは、怖かった!」

白濱「で、やっと言葉を発したと思ったら、『止めろ!』とかじゃなくて『やめてえ~!』って急に女子みたいに叫ぶから、カットがかかった瞬間、現場は爆笑でしたよ(笑)」

小森「僕が怖がるところは、けっこうタイミングが大事なシーンが多かったですね。電気がつくタイミングでADの明日香が消えていたり、カセットテープを持つタイミングで明日香が入ってきてドン!って大きな音がしたりするとか、どちらかと言うと、そういう“タイミング”を監督と何回も話し合いながら『違うパターンも撮ってみましょうか』とか、『ここは電気がついてから、ちょっと表情が見えたほうがいいです』と指示をいただいたので、すごく勉強になりました。『驚くタイミングがリアルとは違うと思うんだけど』って監督もおっしゃっていたし、そういうふうに緻密に作り上げる現場は初めてだったので、僕はすごく新鮮でしたね」

■「ホラーでは肝になるシーンの怖がり方や怖がるタイミングが大事なんだなっていうことを学びましたね」(片寄)

――佐野さんはいかがでしたか?マキタさんのボールペンノックの音に反応しておかしくなっていくくだりがありましたが。

佐野「ああ。あそこは映像の連動性なので、僕はあまり特別なことは意識せずに芝居をしていました。ただ、いま隼も言ったように、タイミングは難しかったですね。カメラワークを変えながら何回も細かく撮っていくので、それに合わせて表情を作るのは大変でした」

――片寄さんのシャワールームのシーンも怖かったですね。

片寄「あれは大変でした。タイトなスケジュールだったし、ホラーでは肝になるシーンの怖がり方や怖がるタイミングが大事なんだなっていうことを学びましたね。でも、おもしろかったですよ。意外とスムーズにやれたので、それはすごくありがたかったです」

■「監督から『声が出ないほどの恐怖というか、身体が固まっちゃって動けないという芝居でお願します』って言われて」(白濱)

――先ほど中務さんのエピソードでも出た“呪われた家”のクライマックスは、白濱さんの怖がる芝居も圧巻でしたね。

白濱「あの家の中はセットだったんですけど、中に入ったら本当に怖くて。セットに入って怖いと感じることなんてなかなかないから、あれには驚きました。でも、ラストシーンは清水監督がすごくこだわっていて、ワンカットごとに20分ぐらいかけて撮っていたので、僕らよりも“さな”を演じた穂紫(朋子)さんがめちゃくちゃ大変そうでした」

小森「吊るされていたもんね」

白濱「もう、アクションを撮るのと同じぐらいハードだし、“さな”の特殊メイクもスゴかった」

関口「あれ、めっちゃ怖いよね!」

白濱「ただ、僕もマキタさんも最初はもっと大声を出しながらビビるのかな~とか、『ウワ~!』って絶叫しちゃうのかなって思っていたんですけど、監督から『声が出ないほどの恐怖というか、身体が固まっちゃって動けないという芝居でお願します』って言われて。だから難しかった。目を見開いて絶叫したりすれば怖がっているように見えると思うんですが、それも出来ないほどの恐怖というのは経験したことがなかったですからね」

――それこそ現場で、白濱さんが早見さんとマキタさんに「ホラー映画が好きなのに、怖がる演技がこんなに難しいとは思わなかった」って言われていたのも印象に残っています。

白濱「それぐらい難しかったんですよ!マキタさんと本当に近い距離で怖がったり、ビビったりしてましたけど、なかなか勘がつかめなかったですから(笑)」

関口「そう言えば、ラジオ局のエレベーターのシーンを撮っている時にちょっとおかしな出来事があったよね?」

白濱「ああ、勝手に動いたやつだよね。エレベーターを停めて撮影していたはずなのに、いつの間にか1階に戻っちゃって」

――それは演出でもなんでもなく?

白濱「はい。ワンテイクごとに1階に戻って、それを繰り返すから、なんなんだろうね?って話になって。そしたら、次は1階ではなく、まったく電気がついていない別のフロアに行っちゃって。で、それで、気づいたら記憶がなくなっていたっていう…いやいや、最後のは嘘ですけどね(笑)」

関口「あのエレベーターには僕も乗っていたし、隼も…」

小森「僕も乗ってました。だけど、ビックリするぐらい、その時の記憶がなくて…」

白濱「乗っかるなよ!(笑)」

小森「いやいや、いまのも、もしかしたら、劇中の僕のエピソードの伏線になっているかもしれませんよ(笑)」

■「自分のこの30年間のホラーに対する印象をガラッと変えるきっかけになりました」(数原)

――数原さんと片寄さんには、書き下ろしの主題歌「ミンナノウタ」のことをお聞きしたいです。

数原「僕もほとんど記憶がなくて…」

小森「なんでやねん!(笑)」

数原「スタジオに入ったのは覚えているんですけどね。入ってからはまったく記憶がない」

片寄「怖いから!(笑)」

――まじめな話、タイトルもそうですが映画の内容とリンクしていて、“さな”の想いも重なります。

数原「そうですね」

――「聞こえてる?届いてる?」という冒頭の歌詞なんてまさにそうでしたけど、この曲を歌う時に意識したことは?

数原「こういうホラー映画の企画があったからこそ、自分たちが選ぶきっかけになった楽曲だなっていうのはすごく感じていました。ただ、静かな曲調からいきなり跳ね上がって、情緒不安定な感じになると言うか、狂ったような歌い方になるあの展開はすごくおもしろくて。そこで“さな”の感情を表現できればな~と思いながら歌わせてもらいましたけど、叫ぶように歌って気づいたら記憶がなかったという(笑)」

片寄「まだ続けてる(笑)。まあ、確かに明るい曲ではないし、荒々しさもあるから、ちょっとダークな感じも意識しながら歌いましたね。でも、自分たちGENERATIONSの曲としても成立しているし、めちゃくちゃカッコいいと思うので、ホラー映画のイメージにとらわれずに幅広い方に聴いてもらえたらうれしいかな」

――数原さんは今回、一番客観的にこの映画を観られたと思うんですけど、ご覧になっていかがでした?

数原「僕、ホラーがすごく苦手なんですよ…。でも、怖いシーンを撮った次の日のライブのリハーサルの時に、みんなが『ヤバかったよ、昨日の撮影』って楽しそうに話していて。それを聞きながら、そういうおもしろさもあるんだなと思ったし、それは自分のこの30年間のホラーに対する印象をガラッと変えるきっかけになりました」

――芝居のシーンにも参加しておけばよかったなって思いました?

数原「いやいや、それは…呪われたら嫌ですからね(笑)」

――でも、実際どうですか?客観的に見て、本人役で出演したほかのメンバーは普段と一緒でした?

数原「いやいや、みんなそのまんまでしたね。でも、あんなに恐怖する表情はなかなか見ることがないので、そこはおもしろかった(笑)。でも、めっちゃ怖かったから、もう観ないかも…1回でいいですよ!」

■「清水崇監督らしい日本の本物の恐怖を描きながら、謎解きの要素などもあって、何度も楽しめますよね」(関口)

――ほかの皆さんはいかがでした?

白濱「僕、2回観ました」

小森「回数の話じゃないから(笑)。何回観ました、の話じゃない!」

白濱「これから重ねていこうかなと思っています」

小森「違う、違う、違う。そういうことじゃない!」

白濱「でも、久しぶりにゾクゾクする怖さがある“ザ・Jホラー”を観たなと思いました。いちホラーファンとしてもこういう映画が観たかったので、その作品に出ることができて本当にうれしかったです」

関口「僕もホラーが好きなんですけど、この作品は清水崇監督らしい日本の本物の恐怖を描きながら、謎解きの要素などもあって、何度も楽しめますよね。そんな作品に出られて僕もすごく光栄です」

■「僕、心霊系のYouTubeチャンネルはめっちゃ観ます」(白濱)

――ホラーファンということですが、映画に限らず、おすすめのホラーコンテンツはありますか?

白濱「僕、心霊系のYouTubeチャンネルはめっちゃ観ます」

関口「あ~」

白濱「『オカルトスイーパーズ』っていうYouTubeがあるんですけど、そのメインの男の子が、まさかの僕の同級生で。高校時代の同級生から『あれ、アイツだよ』って言われて最近気づいたんですけど、自分が観ていたおもしろいYouTuberがまさかの同級生だったっていうのには驚きましたね」

関口「僕もいろいろあるけど、なにがいいかな~?」

片寄「昔、ホラー系のゲームやってたよね」

関口「そうそう。ハラハラ系で怖いのは『シャドーコリドー』かな」

中務「うわ~、『シャドーコリドー』はヤバいね」

小森「わかるんだ?」

関口「迷路みたいなところを探索しつつ、鍵を見つけて次に進むゲームなんですけど、その迷宮の中にお面をつけたお化けみたいなのがいっぱいいて。それぞれに特性があるそのお化けの恐怖をかいくぐりながら先に進んでいくんです。けっこうハラハラするし、あれはオススメですね」

■「ホラー映画にハマる人たちの気持ちがちょっとだけ理解できたのはよかった」(佐野)

――ほかの皆さんは、ホラーはお好きですか?

佐野「僕はホラー映画の“作り”が苦手なんですよ。いきなりバーンって大きな音が鳴って、それにビックリさせられるのが嫌なんですけど、逆に、ホラー映画のおもしろさは僕が苦手な驚きや恐怖をリアルに体感できるところなんでしょうね。今回の『ミンナのウタ』を観て、そんなホラー映画にハマる人たちの気持ちがちょっとだけ理解できたのはよかったです」

小森「そうっすね。僕は涼太くんとまったく一緒で…」

片寄「いや、俺、まだなにも喋ってない!(笑)」

中務「記憶がなくなってるやん!」

白濱「いちばん怖い!」

中務「呪いやな」

小森「ここからですね、僕らの呪いは」

関口「怖いこと言わないで!」

中務「僕はさっき話した自分が襲われるシーンに驚きました。あそこは撮影中も怖かったけど、完成した映画ではもっと怖くて。視覚効果や編集、音響などでこんな怖くなるんだ!と思って。清水崇監督のこだわりとスゴさを改めて感じました」

片寄「でも、おもしろかったですね。作品としても楽しめたし、アトラクション感覚で、友達とワーキャー怖がりながら観られるような映画になっていたから、それにGENERATIONSのメンバーで出ることができてうれしかったです」

取材・文/イソガイマサト

『ミンナのウタ』でホラー作品の撮影に挑んだGENERATIONSにインタビュー/撮影/黒羽政士 ヘアメイク/寺本 剛(JYUNESU) スタイリスト/吉田佳輔