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「欧州最安」のダチア 新たな方針

ルーマニアの自動車メーカーでルノー・グループ傘下のダチアDacia)は、ジープに対抗するようなオフロード重視、「ライフスタイル」志向のブランドとして、新たな市場展開を進めていく方針を示した。

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ルノー・グループのデザイン責任者であるローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏はAUTOCARの取材に対し、同グループのルカ・デ・メオCEOから2021年の就任時に、ダチアに「手頃さを超えた憧れ」を持たせたいという発言があったことを明かした。

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次期型ダスターを筆頭に、ルーマニアダチアはライフスタイル系SUVを複数投入する。

「そこで、アウトドアというテーマが出てきたのです。わたしの考えでは、欧州にはジープの本格的なライバルがいない。なぜダチアにそれができないのか? 特にパンデミック以降に存在感が大きくなりつつある、街を飛び出すようなアウトドアと結びついた(手頃な)ブランドは存在しません」

「(ダチアは)アウトドアが好きな人たちにとって、とても良いポジションにあるブランドです。クルマを買う理由を1つだけでなく、2つ与えてくれる」

ダチアは数ある欧州車メーカーの中でも比較的安価で親しみやすいブランドとして知られている。主力製品の1つである小型SUVダスター(Duster)は、2024年にフルモデルチェンジを迎える予定で、冒頭に述べたように「ライフスタイル」に焦点を当てた新シリーズの第1弾となる見通しだ。

次期型ダスターに続いて登場するのが、ファミリー層をターゲットにした大型SUVビッグスター(Bigster)である。サイズが大きくなり、必然的に価格も高くなるにもかかわらず、ビッグスターは既定路線を外れてプレミアム化するわけではない、とヴァン・デン・アッカー氏は述べている。

「大型化は事実ですが、プレミアム化は事実ではありません。現実問題として、大きなクルマを作り始めると、新たな競争相手と戦うことになります」

「ですから、サンデロ(Sandero、小型ハッチバック)のレシピをそのままCセグメントにコピーすることはできません。そうしても上手くいかないでしょう。そのため、競争という点で何がわたし達の前に立ちはだかるのか、はっきりさせておかなければなりません」

ダチアはCセグメントで信頼を得るために、競争上の優位性である『低価格』を失うことなく、正しいことをするつもりです」

ヴァン・デン・アッカー氏は、ルノー・グループが現在直面する最大の課題は、競争力の高い中国車の波が欧州に向かっていることだと考えているが、その中でダチアは新興ブランドに対する反撃をリードするのに最適なポジションにあると話す。

「すべてのブランドがEV化によって高価になっている今、誰もがこのステップを踏めるわけではありません。そして、まともで手頃で、必要不可欠で、クールな移動手段を探したいと思う人が出てくるでしょう。ダチアが “木から落ちる葉” をたくさん拾ってくれることを願っています」

実際、低価格路線を貫くダチアは、欧州で加速するEV化やここ数か月のインフレの影響によって、特に注目を集めるようになっている。2023年上半期にダチアの生産台数は24%増加し、市場シェアは8.4%と、欧州における販売台数第2位のブランドとなった。


ジープに「意外」なライバル現る? ダチア、手頃なライフスタイル系ブランドへ転向