「不動産投資」は、誰でも儲かるというわけではありません。今後、日本で不動産投資をして着実に収益が期待できるのは、どのような物件でしょうか。YouTubeチャンネル「不動産Gメン滝島」にて、「不動産の知識がない人」が損しないための情報を発信している滝島一統氏による著書『誰でも儲かる、わけがない 初めての不動産投資必勝ルール 罠を見抜いてお金を増やす』から、一部抜粋してご紹介します。

日本で将来があるのは「東京18区」だけ

まずはどんな物件なら収益が得られるかを知りましょう。

十分な収益性が期待できる物件と投資の方法。それは「東京18区・RC造(鉄筋コンクリート造)の中古ビル一棟買い」です。

長期的に高い入居率を維持できそうなのは、東京都の特定のエリアに限られます。「東京18区」というのは、東京23区から足立区板橋区、北区、江戸川区葛飾区を除いたエリアです([図表1]参照)。

採算性を考えるなら「RC造」

ピカピカの新築ビルは採算性がよくありません。マンションの一室を買う区分所有ではコストが割高で、修繕の自由もありません。RC造なら、長く使えて、ローンもある程度長めに組めます。

以上のことから、不動産投資をするなら「東京18区・RC造の中古一棟ビル」一択、と考えられるのです。順に見ていきましょう。

人口減少については説明するまでもありません。地方では空き家が増加しており、国がさまざまな施策を打ち出していますが、人が減るのに新しい家をどんどん建てているのですから、余るのは当たり前です。

家が余るということは、貸し手市場ではなく、借り手市場ということであり、貸す側は空室リスクに脅かされることになります。少子化対策が功を奏して出生率が高くなったとしても、10年、20年先まで、家が余る状況は続きます。

そうなると、不動産投資はほとんどの地域においては逆風であり、唯一、期待が持てるのが、東京都です。

首都機能の地方分散などが多少進むとしても、「TOKYO」は国際的なブランドです。多少、東京に住む日本人の人口が減っても、外国人が住むでしょう。

もし居住者が減って東京の賃料が安くなれば、今度は地方の人が東京に住むようになることも考えられます。東京は生き残る、それ以外は賃貸市場としては危険、というわけです。なお、ここで言う東京とは、東京都の18区です。不動産業界では、東京23区から足立区板橋区、北区、江戸川区葛飾区を除いた地域を東京18区と呼び、競争力があると考えられています。

これは私が言っているわけではなく、業者によってはこれらの地域(5区)は取り扱わないと明言しているのです。ただ、これらの区でも特別駅に近いなどのポテンシャルがあったり、北千住など人気の駅周辺物件は資産性が高いと思います。

短期的にも、長期的にも、東京18区をメインの候補にするのが得策でしょう。

収益を狙うなら中古一択

できれば新築の物件が欲しいと考える人も少なくありませんが、不動産投資は憧れを叶えるものではなく、収益を得るためのものです。より収益性が高いのはどちらかという観点で見れば、圧倒的に新築より中古です。

新築は開発者の利益や宣伝費が価格に転嫁されているため、その分、割高になっています。収益性を高めるには、コスト(購入価格)を抑える必要があり、その点だけでも新築より中古です。

築年数や物件の状態によっては修繕が必要なケースもありますが、多くの場合、修繕費を加えても、新築を買うより安く済みます。それほど、新築は割高なのです。

家賃は新築の方が高いのでは、と思うかも知れません。たしかにそうですが、新築と言えるのは最初の入居者募集の時だけ。最初の入居者が退去し、次に募集を掛ける時からは中古の扱いです。

中古より新築の方が家賃は高いのなら新築時より家賃を下げなければなりません。家賃を高く設定できるのは、ほんのわずかな期間に限られ、中古より重くかかったコストを回収できるほどではないのです。

また新築は家賃が高めに設定できるがゆえに、絶対に下がる、かつ下がる幅が大きい、という特性もあります。対してある程度築年数が経った中古では、家賃がすでに下がっており、それ以上は下がりにくい、下がったとしても下げ幅は限定的と言えます。

そのため、先々の収益についても見通しが立ちやすいというメリットもあります。

新築アパートを手掛け、テレビCMもガンガンやっている、とある大手建設会社のホームページには、実に驚く内容が書かれています。

2億5,000万円、3億円という規模の物件で年間のキャッシュフロー(家賃収入から返済や経費支払いなどをして手元に残るお金)が100万円程度、1部屋でも空き部屋が出たら赤字だと言います。

「1年で100万円儲かるならいいのでは?」と思ってしまいそうですが、1部屋でも空室になれば赤字です。

また2〜3年経てば家賃は下がりますから、空室が出なくてもすぐに赤字になるでしょう。「家賃が下がりません」とは書いてありませんが、少し考えれば、「下がれば損しますよ」と書いてあるようなものです。それなのに買おうとする人がいるのか、不思議です。

新築が有利なのは、税金対策で不動産投資をする場合くらいです。

収益物件を購入すると、一定の年数、建物の価値を減価償却することができます。

減価償却とは、建物価値が年数を経るごとに減っていくので、それを経費として認めてあげますよ、というものです。

減価償却することで利益が抑えられ、利益にかかる税額が軽減されます。減価償却ができるのは法律で定められた耐用年数(RC造で47年など)の間なので、新築で取得した方が、長い期間減価償却が利用でき、税軽減のメリットがあります。

また自身が所有する土地にアパートなどを建てる場合は、不動産会社の利潤がのらない分、不動産会社から新築の物件を購入するよりは建物分の費用が多少安くできると考えられます。

税金対策を目的とするケースや土地を持っている人なら、新築も検討の余地がありますが、普通に収益物件を買うのであれば、新築ではなく中古です。

滝島 一統

株式会社光文堂インターナショナル

代表

(※写真はイメージです/PIXTA)