中国などにいる北朝鮮出身の留学生に対して、帰国命令が出されたことはデイリーNKでも既報の通りだが、彼らは北朝鮮に面した中国の丹東で待機させられ、いつ帰国するかはわかっていなかった。

その帰国がついに始まったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

丹東の情報筋は、カザフスタンで開かれる国際テコンドー連盟世界選手権大会に参加する選手や関係者を乗せて北朝鮮から中国にやってきたバス2台が、16日午後4時、留学生と患者を乗せて北朝鮮に戻ったと伝えた。留学生は既に卒業したものの帰国できずにいた者、患者は何らかの重い病気を患い、命が危ぶまれる状況にある者で、いずれも入国後、7日間隔離されるとのことだ。

なお、別の情報筋によると、留学生は自由奔放な生活を送り、大使館にも問題があると報告されていた。また、患者は長期入院に伴う医療費がかさんでいたという。

世界中の国が国境を越えた行き来を通常の状態に戻した中、北朝鮮だけは自国民に対してすら帰国を許さず、物資の行き来だけを認めていたが、ついに人の入国が認められた。

一方、RFAの平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、早ければ今月第4週(20日〜26日)にも、丹東と新義州(シニジュ)を結ぶ国際列車が運行を再開すると述べた。再開となれば、3年7ヶ月ぶりのこととなる。

平安北道の貿易関係者によると、列車は8両編成で、帰国できずにいた貿易関係者、派遣労働者、留学生ら500人が乗車予定とのことだ。ただ、運行が1回だけか、定期運行が再開するのかは明らかになっていない。

また、瀋陽で貿易業に携わる中国朝鮮族の情報筋は、遼寧省、吉林省など中国東北部の各地で働く派遣労働者の一部が帰国すると述べた。また、北朝鮮と中国を行き来する旅客機の運行もまもなく再開されると述べた。

国境が再び開かれるのは、いいことばかりでない。脱北して中国で逮捕されたものの、北朝鮮が強制送還の受け入れを拒否して中国にとどまっていた脱北者も、遅かれ早かれ送還されることになるからだ。

列車の窓から顔を出す北朝鮮の軍人 (画像:Roman Harak)