2023年8月25日より、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam向けタイトル「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」(以下、AC6)が発売される。本作は、フロム・ソフトウェアが手がけてきたロボットアクション「アーマード・コア」シリーズの約10年ぶりとなる最新作だ。


本稿では、そんな本作をひと足早くPS5版を遊んだうえでのレビューを2回にわたりお届け。前編では世界観や物語、機体の組み合わせを中心に解説していこう。

【大きな画像をもっと見る】

声や機体の外見だけで進むストーリーが考察欲をそそる

 

 

本作の舞台となるのは、辺境にあるルビコンという惑星。かつてここは「コーラル」という新物質の発見で注目を集めるも、そのコーラルは大災害を引き起こし、星自体を汚染したあげく焼失してしまう。未曾有の事態から半世紀後、失われたはずのコーラルが再び発見されたことで、企業は秘密裏にルビコンへ進出。現地で生きる人々や、ルビコンへの侵入者を阻む惑星封鎖機構との争いが激化していた。

 

 

そんな中、主人公(プレイヤー)のC4-621は、ハンドラー・ウォルターという人物の指示でルビコン不法侵入コーラルを見つけるという共通の目的のもとで協力し、企業や現地の組織といったさまざまな勢力の依頼をこなしていく。というのが本作のあらすじだ。

 

 

ルビコンに眠っているコーラルを求める、アーキバスベイラムといった企業側、彼らと敵対している惑星封鎖機構、現地で生きるルビコニアンたちの自由を求めて活動するルビコン解放戦線など、「AC6」には多くの勢力が登場する。だが、彼らの姿はまったく登場しない。作戦のブリーフィングや再生されるメッセージなど、キャラクターの情報として出てくるのは声のみにとどめられている。

 

主人公を労わってくれるハンドラー・ウォルターを始め、明らかにプレイヤーを見下しているスネイル、こちらにフランクに接してくれるラスティに、鬼教官のごとく罵詈雑言を飛ばしてくるミシガンなど、ことあるごとに個性的なキャラクターが登場する。話し方が特徴的なおかげで、声だけでも本人の性格や立ち位置などが連想しやすい。

 

 

さらに本作の企業はアーキバスを軸としたグループと、ベイラムが率いるグループという2大グループに分かれており、ルビコンコーラルを巡って利害が対立している。彼らがどのようなグループ企業で構成されていて、ルビコンでどのような活動をしているのか。キャラクターの個性や企業の言動から、本作の情勢の考察もはかどる。

 

 

日本の戦国時代を題材にした「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」(以下、SEKIRO)や、「狭間の地」と呼ばれる世界を舞台にした「エルデンリング」といった、フロム・ソフトウェアの過去の作品と同様、本作では考察の余地が少なからず存在し、はたから見て明らかにわかるような情報は限られている。世界観や物語の全容を把握するには、フレーバーテキストやセリフといった情報から背景を分析することが重要になりそうだ。

 

 

とはいえ、そうした考察はあくまで理解を深めるためのものであり、「AC6」を遊ぶうえで必須ではない点は強調しておきたい。主人公や企業の目的はコーラルという点ではっきりしているし、各ミッションにはブリーフィングが用意され、依頼の意義や依頼側の狙いも教えてくれる。

 

考察が好きな人には「アーカイブ」がオススメ。アーカイブはミッションで点在する機体の残骸から入手できる情報のことで、個人の通信記録を始めさまざまな内容を垣間見られる

 

二脚に四脚、軽量に重量と、さまざまな組み合わせが楽しいアセンブル

 

 

本作には膨大な数のパーツが用意されており、それらを自由に組み合わせてオリジナルの「アーマード・コア」(以下、AC)を組めるのが大きな魅力だ。機体に限定して言うと、頭部やコア、腕部、脚部といった基礎となるパーツのほかに、武器のロックオン速度などに関わるFCS、ブースト移動を担うブースタ、そのブースタ などにエネルギーを供給するジェネレータがある。

 

 

機体には体力を示すAP、実弾などに対する防御力である防御性能や、ブーストを使った際のスピードの目安となるブースト速度など、パーツごとに多くのパラメーターがあり、すべて機体の操作感に直結する。全部を吟味するならそれだけで1日がつぶれそうなほど、細かなところまで数値化されており、ロボット系が好きな人にはたまらない。

 

とくに脚部パーツは、種類によってAC自体の動き方が大きく変わる。「二脚」はバランスタイプで、地上での移動から空中戦までそつなくこなせる。いっぽうで特徴がないため、プレイヤーの腕前が影響しやすい。「逆関節」は、左右に加えて上下の動きを混ぜた三次元の機動力にすぐれており、相手を上空から攻撃する際に真価を発揮する。

 

 

「四脚」は滞空能力を持っており、長時間浮かびながら地上の敵を攻撃できる。さらに二脚や逆関節系と違い、一部の武器を構えずにそのまま使うことも可能だ。「タンク」は機動力ではほかの脚部に及ばないものの、代わりに圧倒的な防御力を誇り、多少の攻撃なら受け止めつつ反撃できる。四脚と同様、一部の武器を使う際に構える必要がなく、強力な武器を絶え間なく使える点もうれしいところ。

 

また、こうした脚部パーツに加えて、AC全体の積載量が軽いか重いかで機動力も変化していく。さらに搭載可能な武器にも、近距離向けのマシンガンや中距離向けのアサルトライフル、接近戦向けのブレードや敵を追尾するミサイルなどもある。すべてを考慮したうえでの組み合わせは幅が広すぎて、具体的な数は見当もつかない。

 

 

パーツごとに備わっているパラメーターや、種類によって特徴が大きく変化する脚部パーツなど、本作は考えることが非常に多い。とはいえ、機体の脚部パーツと重量さえ決めてしまえば、後のカスタマイズの方向性はおのずとわかってきたりする。

 

たとえば、重量を抑えた軽量の逆関節タイプを組んだ場合。軽量の機動力と、逆関節ならではの上空に跳び上がる力を生かすため、マシンガンショットガンといった、軽量あるいは近接向けの武器が候補になるだろう。グレネードランチャーをはじめとする爆発系の武器を上空から地上に向かって放ち、爆発に相手を巻き込むというのも悪くない。

 

 

反対に、防御力を突き詰めた重量タイプをコンセプトとしてタンク系の機体を組んだ場合、上で書いたような近接向けの武器との相性は悪い。近づかれるとブレードで一方的に斬られたりするため、機動力に乏しい重量系のタンクは至近距離の戦闘に向いていないのだ。なるべく遠くから敵をつぶすためにも、弾幕で相手にプレッシャーを与えるガトリングや、チャージすると威力が上がるレーザーキャノン、相手に回避を強いるミサイルのほうが使いやすい。

 

 

こうした考えとは逆に、軽量の機体にレーザーキャノンバズーカといった重い武器をやたらに積むと、せっかくの軽さが台無しになってしまう。機動力を捨てた重装甲の機体にブレードを積んだところで、相手に近づいて斬りつけるだけの軽さはそもそもないので、武器のポテンシャルは生かしにくい。

 

つまり、選んだ脚部の特徴と機体の重さによって、ほかのパーツの組み合わせは自然と絞られてくる。本作から「アーマード・コア」シリーズに触れる人や、ロボット系のゲームになじみがないという人は、まず脚部と機体全体の重さから考えてパーツを組んでみるのがオススメだ。

 

 

パーツの組み合わせに慣れてくると、さまざまな機体でミッションに出られるようになる。性能を追求するのもいいし、見た目重視の構成で挑むこともあるだろう。オリジナルのACで目標をこなしていき、カットシーンでその姿が映ったときの感慨は非常に大きい。自分の機体がその世界に溶け込み、その一部になっているのだという一体感はクセになる。

 

 

後編ではさまざまなシチュエーションが収録されたミッション、「スタッガー」システムを交えた戦闘などを解説していく。

夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。

©Bandai Namco Entertainment Inc. / ©1997-2023 FromSoftware, Inc. All rights reserved.


>> 「アーマード・コア6」先行レビュー! シリーズ10年ぶりの新作がついに発売! の元記事はこちら
「アーマード・コア6」先行レビュー! シリーズ10年ぶりの新作がついに発売!